哲学分野の独立研究者の谷口一平氏が、日本大学哲学会『精神科学』に投稿した論文への査読コメントを𝕏/Twitterで公開しつつ、ジェンダー学者が査読するのはおかしく、また明らかに不適切な評価であると非難している*1。ジェンダー学界隈に疑念がある人々が谷口氏の非難に同調しているのだが、谷口論文が公開されていないわけで、党派的な動きになっている。
2023年12月29日金曜日
2023年12月25日月曜日
2023年12月24日日曜日
ITジャーナリストの星暁雄さんが功利主義について誤解を広めている件
ITジャーナリスト星暁雄氏が「OpenAI内紛劇の背後に「21世紀の優生思想」、EAコミュニティとe/accの危険性」と言う記事が流れていたのだが、功利主義について誤解をふりまいている。功利主義は高校の倫理の教科書では詳しい説明が不足しているし、大学生向けの本でも徳倫理や義務倫理好きの人が著者だと議論が薄い傾向があるのだが、星氏には以下の点を認識して欲しい。
2023年12月16日土曜日
規制行政に関心がある人は読むべき『家政婦の歴史』
労働法とそれに関連した歴史的な話題を発掘整理している濱口桂一郎氏の新著(といっても出てから4ヶ月経った)『家政婦の歴史』を拝読したので、感想を記しておきたい。
私にとって家政婦はマンガやドラマの中でしか見かけない存在で、最初に題名を見たときはテーマがマニアックすぎだとお茶を噴いてしまったのだが、創作物の設定と現実のどこがどの程度乖離しているかという話題が好物なので目を通してみた。
2023年12月10日日曜日
ヘイトスピーチだとレッテルを貼って、論敵の口を封じたがるトランス擁護派
㈱KADOKAWAがアビゲイル・シュライアー氏の『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』を刊行中止にしたことで、㈱KADOKAWAおよび、発売中止を求めていたトランス擁護派に非難が集まっている。翻訳を完了し、装丁ができて、宣伝をはじめた後に出版できなくなるのは、誰かの圧力による干渉が予想され、そうであれば言論の自由の観点から由々しき問題だからだ。
2023年12月8日金曜日
エビデンスをもとに他者の主張を批判するのは美徳.本当の悪徳は…
2023年12月6日水曜日
2023年11月23日木曜日
縄文稲作は根拠となる土器の年代に疑念があるよ
縄文時代後期にイネがあった傍証が見つかっていることから、日本の稲作は縄文時代にははじまっており、しかも華南の長江下流域から東シナ海を渡って北九州に伝来したという江南(直接ルート)説が、日韓問題に強い関心がある一方、考古学に関心が薄そうな人々の間で人気だ。最近は、稲作が日本から朝鮮半島に伝播したとまで言っている。
2023年11月19日日曜日
2023年の夏から秋のウクライナ侵攻は、ロシアの狙い通りに進んだのだけれども
ウクライナの反転攻勢は9月中旬から大きな動きがなくなり、ゼレンスキー大統領は否定しているが、膠着状態に陥いった。
8月末に南東部ロボティネ(Robotyne)を奪還したが、そこから大きな前進はない。逆に、ロシア軍は南東のアウディーイウカ(Avdiivka)を損害を出しつつも包囲を完成しつつある。東部ではバフムート周辺などでも、ロシア軍が攻勢を強めていると言う見解がある。ウクライナはドニプロ川の渡河作戦を活発化させているが、牽制と思われる規模である。
2023年10月26日木曜日
手術要件が違憲に不満がある皆さんは、性同一性障害特例法の廃止を目指そう
性同一性障害特例法が定める戸籍上の性別変更に必要な要件のうち、3条1項4号の生殖不能要件が違憲だという判断が示され、3条1項5号の外観要件手術要件が高裁差し戻しになって*1違憲となる可能性が強くなった。トランスジェンダー男性が戸籍上の性別を男性に変更する場合、性別適合手術が不要になると考えられ、また高裁判決によってはトランス女性が女性に変更する場合も不要になる可能性が高まった。
2023年10月24日火曜日
減量目的で糖尿病治療薬を用いていることを報告をしたポルノ女優が炎上した理由
AV女優の月島さくらさんが、糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬オゼンピック®を減量に用いていることをツイートし、薬剤が不足に拍車をかけるので糖尿病患者の命に関わる、厚生労働省や日本糖尿病学会は美容医療で利用しないように働きかけているなどと批判を受けた。
月島さくらさんは批判に対して「国は控えるようにとは言っていない」「うるせぇ。文句なら処方する医師に言いな!」「(ピルは)避妊目的の使用は意外なことに認可されていない」「糖尿病の9割を超える2型の人は自らの不摂生が原因なケースが多い」「体型の維持は仕事で必須」「みんな我が身が可愛いのは一緒」「私にだけ自己犠牲の精神を求めないでほしい」と反論し、反論に多数の非難が集まり炎上した*1。
2023年10月20日金曜日
ネット界隈では男女論が好きな人々に読んで欲しい『ジェンダー格差 — 実証経済学は何を語るか』
2023年10月15日日曜日
性的児童虐待の被害を受けると、成人後に性的児童虐待を犯しやすくなるとは言えない
Salter et al. (2003)を紹介している日経メディカルの記事に参照しつつ、性的児童虐待の被害者は、性的児童虐待を犯しやすいと主張している人がいた。あるイギリスの総合教育病院にかかった家族外からの児童性虐待の被害を受けた224名の男性のうち26名が、後日、家族外に児童性虐待を行っていたことを指摘する論文だ。他にも、Ogloff et al. (2012)はオーストラリアのデータから相対リスク7.59としている。これらの論文からは、性的虐待の被害者は明らかに高リスク群に思えてくる。
2023年9月30日土曜日
ジェンダー社会学者の牟田和恵氏はキャンセルカルチャーに組したことはないから、誰かをキャンセルしたことがあるように言うのは名誉毀損だよ
トランスジェンダーに関する言説が理由なのだと思うが、ジェンダー社会学者の牟田和恵氏がキャンセルカルチャーの被害にあったと主張している*1ことに対して、これまで他者をキャンセルしてきたのに自分がキャンセルされるのには文句があるのかと揶揄する声が多数からあがっている。しかし、牟田和恵氏が他者をコミュニティから村八分にしようとしたことは(私が知る限り)ないし、ジェンダー社会学者やフェミニストが多数賛同しているキャンセルカルチャーを推奨するオープンレターの賛同者にも名前を連ねていない。
2023年9月28日木曜日
ダンボール授乳室を非難する前に
2023年9月27日水曜日
ネット界隈のフェミニストとそのアンチのための用語集(β版)
ネット界隈ではフェミニスト嫌いのアンフェと呼ばれる人々が少なくなく、学者でも匿名アカウントでもフェミニストと思われる人物の言説に文句をつけている。
しかし、往々にして学者を含めてフェミニストの皆様の言葉の運用は厳密ではなく、アンフェの皆さんもフェミニズム用語を請け売りかつ濫用する癖があり、フェミニストの言いたい放題をアンフェが支離滅裂に非難する現象がよく発生している。
2023年9月21日木曜日
2023年9月16日土曜日
2023年9月14日木曜日
2023年9月8日金曜日
2023年9月5日火曜日
ペドフィリア差別に反対する前に知っておくべき15のこと
訳本『イン・クィア・タイム』の帯を書いた王谷晶氏のツイートにペドフィリアとチャイルドマレスターを混同するペドフィリア蔑視があると*1、本の翻訳者の村上さつき氏らがハッシュタグ「#ペドフィリア差別に反対します」を用いて𝕏/Twitterで王谷氏の非難をはじめ、村上氏と氏に同調した人々がアカウントを凍結された*2。
2023年9月4日月曜日
2023年9月3日日曜日
海洋や大気などにあるトリチウムは、来年以降も、どんどん減っていくので
福島第一原発の処理済汚染水に含まれるトリチウムに関して、生体濃縮やら何やらといった用語を持ち出し、その危険性を強調し、処理水の海洋放出に反対する人々がいる。その中には科学者に分類される人や、原子核物理学を学んだと称する人々もいるのだが、皆さん、冷戦時代に核兵器の実験で地球に大量のトリチウムがばら撒かれた事、残存総量の5.4%強が毎年崩壊して無くなることを見落としている。
2023年8月29日火曜日
タクシー会社のツイートは何が問題であったのか
三条タクシーのツイッターアカウントの「今、うちには3名の女性ドライバーが居るが、全員20代である。ちなみに、全員めちゃくちゃ可愛い。繰り返す。全員めちゃくちゃ可愛い。」「レンタル彼女でもなく、観光ガイドでもなく、タクシードライバーを貸切る。っていう新しいジャンルを築きたい。」というツイートが炎上し、その後、アカウントが凍結されて、同社社長が謝罪し、SNSアカウント担当者の変更などを行ったと説明した*1。
2023年8月28日月曜日
盤面が動きはじめたウクライナの反転攻勢
新設の機械化旅団の突破力がイマイチで、ウクライナの反転攻勢が失敗しそうだと思っていたのだが、盤面に変化が出てきた。ウクライナ軍が南部ザポリージャ州ロボティネ周辺でロシア軍の第1防衛線を突破し、ロシア軍は第2防衛線まで後退しつつ、東北部に配置していた精鋭部隊を南部に移動させた。
科学的評価は倫理的判断の前提になるものだよ
政治学者の田中信一郎氏が、福島第一原発のトリチウムを含有する処理水の海洋放出に関して、「「科学」の問題じゃなくて、「倫理」の問題」だと言い出した。田中氏の発言に理系 vs 文系のような対立軸を見出している理工系の人々がいるのだが、どちらかと言うと田中氏の倫理に関する知識が欠落しているのが問題になっている。
2023年8月27日日曜日
萌え絵における制服のプリーツスカート描写問題
宇都宮市(公認もしくは勝手)産業PRキャラクター蒼空はるかの宇都宮LRT開業報告イラストのプリーツの制服スカート描写が非現実的だと言う非難がおき、実現可能だと言う反論がされている。女子キャラクターが話題になる度に起きる口論*1だが、服飾文化の理解になるので検討してみる。
まずは話題の一葵さやか氏作画の絵を見てみよう。具体的に奇妙な点があげられたら、平均的な男性よりも女性の服飾に詳しい。
2023年8月18日金曜日
音楽イベントMUSIC CIRCUS'23でのDJ SODAへの痴漢発生の原因は予防措置不足
音楽イベントMUSIC CIRCUS'23にて、複数の男女が女性アーティストDJ SODAさんの胸を触る痴漢を行ったことに関して、日本人男性や日本人オタクやDJ SODAの他のイベントにおけるマイクロビキニなどに原因があると言う根拠不明の主張がSNSを賑わしている。加害者は男女だし、観客はオタクではなくパリピだし、当日のDJ SODAさんの格好は露出過多とはいえなかったし、そもそも露出過多でも触るものではない。
2023年8月1日火曜日
アメリカ人にとってマンハッタン計画の核実験は輝かしい栄光で、無差別殺戮を意味しないので
"Barbie"と"Oppenheimer"と言う対照的な映画が同時公開されて話題になり、まるで一つの映画かのように指し示す単語Barbenheimerができて、そのような映画があるかのようにイラストを描いたり、さらにTシャツや架空の動画のトレイラーを作成する人まで出ているのだが、TwitterのBarbieの映画公式アカウントがこのBarbenheimerを歓迎するようなツイートを行い、日本人からポリコレ違反だと非難を受けている。動画にピンク色のキノコ雲のトリニティ実験のシーンがBarbenheimerのイメージとなっているからだ。
2023年7月30日日曜日
2023年7月23日日曜日
表現の自由戦士の皆さん、今の公序良俗では女性がマイクロビキニで外出することは許されないので
埼玉県営公園プールでの水着グラビア撮影会中止騒動*1のときに、大野もとひろ知事が6月11日に公園緑地協会に依頼したと言っていた、埼玉県営水上公園の水着撮影会開催許可条件が、7月19日に公開された。
マイクロビキニや下着に見える水着、水着の紐を外したり、手で乳房を隠したり、水着が食い込んだポーズの禁止などが図付きで明文化された。未成年者も適法な範囲でモデル出演が許され、また違反があってもペナルティを与える前に指導することとされたので、全般的に水着グラビア撮影会の主催者や参加者にも配慮した内容となっている。
2023年7月17日月曜日
ウクライナの反転攻勢が失敗しそうな件
2023年7月9日日曜日
ヘイトスピーチは不合理な差別や排斥を煽るような言説に使う言葉だよ
ネット界隈のアンチ・リベラルの人々が、ちょっとした蔑視の表明(にとれる言及)に対してヘイトスピーチだと非難するようになってきた。一部の社会学者やリベラル活動家が、気に入らない言説を安易にヘイトスピーチと言って回っているのを真似しているのだと思うが、日本での「日本人男性は○○の意識が低い。」と言うような言説は、ヘイトスピーチに該当しない。「日本人男性は○○を努力しろ。」という呼びかけと解釈するのが穏当なので。
2023年7月6日木曜日
2023年7月2日日曜日
情報発信媒体、口論メディアとしてのTwitterの死(つまり強みゼロ化)
2023年6月27日火曜日
2023年6月23日金曜日
NHK高校講座の数学Ⅰの統計的仮説検定に関する理解度チェック問題は、母平均の検定を念頭に置いていない蓋然性が高い
NHK高校講座の数学Ⅰの統計的仮説検定に関する理解度チェック問題が、間違っているのではないかと話題になっている。
統計的仮説検定では、分布のパラメーターがある値である等号の式を帰無仮説としてとることが多く、片側検定の場合は不等号で表記することもあるといった慣習なのだが、不等号の帰無仮説のみを正解としているからだ。
2023年6月18日日曜日
人工知能を学ぶつもりで代数幾何学を勉強してしまう可能性はあるよ
「AIを学ぶのに必要な最低限の数学の知識は5つだけ!」と言うエントリーの「最近、「AIを理解したくて代数幾何の教科書を勉強しているんですよ」という人によく会う」と言う一節の代数幾何が、線形代数の誤りではないかと言う指摘が多数からされている。
2023年6月14日水曜日
論敵の印象が悪くなるように論敵の発言を捏造したり戯画化したりすると、名誉毀損になるよ
2023年6月11日日曜日
埼玉県営公園プールでの水着グラビア撮影会の中止は、行政の怠慢の結果
埼玉県営公園での水着グラビア撮影会の突然の中止をめぐって、ネット界隈の表現規制反対派である表現の自由戦士の皆さんの間で、日本共産党を非難する声が高まっている*1。しかし、責任者は共産党ではないし、共産党の主張と中止理由は異なる蓋然性が高い。公明党あたりから文句が出てもおかしくない問題が水着グラビア撮影会には今まであり、結局はそれが中止の最大の理由だと考えられる。
2023年6月7日水曜日
トランスジェンダーの判別と「治療」とトランスジェンダーへの配慮は別の話
ジェンダー社会学者の千田有紀氏が、現在国会で審議中の「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」(LGBT理解増進法案)では、学校でトランスジェンダーをどう取り扱うのかが焦点で、英国タヴィストック・ジェンダー診療所の事件を参照しつつ、子どもたちが保護者の同意なく誤ってトランスジェンダーだと診断され、不必要に二次成長抑制剤の投与や外科手術を受ける可能性を指摘している*1。
2023年6月4日日曜日
ウクライナ軍2023年反転攻勢の作戦内容予想
2023年5月30日火曜日
表現の自由戦士が「性犯罪誘発の懸念」「性犯罪と本当に地続き」と言う主張へのヒステリックな非難を一年半も続けている件
表現の自由戦士界隈は、フェミ議連の「性犯罪誘発の懸念」*1、社会活動家の仁藤夢乃氏の「性犯罪と本当に地続き」*2を、萌え絵などの愛好者の自尊心を傷つける行為だと、どちらも1年半以上、発言をしたこと自体を非難し続けている。しかし、問題が3つある。
2023年5月27日土曜日
性スペクトラム説からの性自認重視論に疑いの目を
トランスジェンダーを巡る問題に関連して、性分化疾患を念頭に、生物学的にヒトの性別がきれいに二分できないという指摘がされていた。いわゆる、性スペクトラム説。生物学的な性別分類がよくできていないので、トランスジェンダーの性自認を重視すべきという主張になっている。
誤謬が多い議論だ。性分化疾患を考慮してもヒトは雌雄に二分することができる。また、分類不能な性分化疾患があったとしても、その患者の性自認を尊重しようという話にしかならず、身体的には男女明確なトランスジェンダーの性自認を尊重すべきとはならない。
2023年5月14日日曜日
2023年5月4日木曜日
2023年5月2日火曜日
「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が大ヒットしたのはポリコレに配慮していないからではないし、任天堂はポリコレ重視で知られているよ
2023年4月21日金曜日
2023年4月19日水曜日
人権の裏にある倫理にも触れて欲しかった『人権と国家 — 理念の力と国際政治の現実』
社会学者の筒井清輝氏の『人権と国家 — 理念の力と国際政治の現実』を拝読したのだが、議論がぼんやりとしていたので記しておきたい。
本書は第二次世界大戦後に国連憲章と世界人権宣言によってできた国際人権なるものが、紆余曲折を経て国際社会にどのような影響を与えてきたかをまとめたもので、為政者が人権に口先だけでもコミットしたら、そのうち真面目に対応することになる「空虚な約束のパラドックス」によって、国際人権が世界に浸透してきたというのが主な主張である。細かい話で気になる部分もある*1が、ここまではそういうものか~と読める*2。