「クロス集計表を作るのは簡単だけれど、カイ二乗検定の説明になると難易度が数段上がってしまう」と言うツイートを見かけた。まさにその通りで、クロス表の独立性検定はよく見かける一方で、その説明は難しい。
クロス表は二種類の因子の組み合わせごとの度数をまとめた表のことで、独立性検定とは二種類の因子に相関が無いと言えるかを調べる方法だ。共変量を統制できないので効果的に利用できる場面は限られるが、入門レベルの教科書や学部の講義ではよく紹介されている。
インターネット上で話題になっている事件を、理論とデータをもとに社会科学的に分析。
「クロス集計表を作るのは簡単だけれど、カイ二乗検定の説明になると難易度が数段上がってしまう」と言うツイートを見かけた。まさにその通りで、クロス表の独立性検定はよく見かける一方で、その説明は難しい。
クロス表は二種類の因子の組み合わせごとの度数をまとめた表のことで、独立性検定とは二種類の因子に相関が無いと言えるかを調べる方法だ。共変量を統制できないので効果的に利用できる場面は限られるが、入門レベルの教科書や学部の講義ではよく紹介されている。
アファーマティブアクションなどDEI施策批判者で、英文雑誌に論文を載せてしまうNENENENE@研究氏が、「欧米先進国で「女子枠」「黒人枠」「地方出身者枠」のような選抜方式になっていないのはアファーマティブアクション(AA)は支援対象の中で最も恵まれた層が得をするという事実があるからです(Sowell,2004)」とツイートし、統計学と経済学の博士号を持つ大学教員のマクリン氏に、Sowell (2004)は事実を示したと言える論証を行っていないと批判されている(togetter)。
デジタル庁クラウドチームはモダンなシステム構築の手法としてIaCの利用を勧めている。しかし、これまた説明に具体性がなくよくないので役に立つのか疑問に思われている。
IaCは宣言型プログラミング言語でインフラストラクチャーのリソース配置を記す技術(e.g. terraform)の総称で、クラウド事業者のサービスやコンテナオーケストレーションツール(i.e. Kubernetes)にそのコードを書いたテキストファイルを読み込ませることで、クラウドの設定を行うことができる。
デジタル庁テックブログの「ガバメントクラウドにおけるモダン化の意味と定義」の説明がよろしくないので「それ何の役に立つの?」と言う反応が出てしまっているメッセージキュー(バッチ処理のイベントドリブン化)なのだが、困ったときに上手く使うと便利なので紹介しておきたい。
業務システムは、ウェブアプリなどのオンライントランザクション処理(OLTP)と、バッチ処理に大きく分かれる。OLTPでは入力してから3秒反応ないと利用者が困惑すると言われ、30秒から60秒以内で処理を完了しないと、だいたいのミドルウェアの標準設定でリクエスト・タイム・アウトになってしまう。一方、バッチ処理は原則として時間制限がない。
これまで名誉毀損で何回も問題になり、虚構を含めた情報を拡散させるなどしてクルド人への憎悪を煽っていると非難されている、ジャーナリストの石井孝明氏が出した埼玉県の外国人検挙率の数字を参照し、「リベラルや反差別を掲げる人々」は「統計的根拠に基づいて差別をすることを肯定するべきかどうか」「答えなければならない」と主張しだした人がいるのだが、その前に石井孝明氏の出した数字がミスリーディングなものでないか検討する必要があるので指摘したい。
デジタル庁クラウドチームがクラウドサービス上でオートスケールを動かすと言う観点でしか話をしないので、コンテナ化技術(Docker, Kubernetes)とオブジェクトストレージの有用性が疑われているようだ。しかし、オンプレミスなシステムでも、地方自治体のシステムでも、有用な面があるので指摘したい。
デジタル庁テックブログの「ガバメントクラウドにおけるモダン化の意味と定義」が、SNSで強い反発を受けている*1。
その理由はおそらく二つだ。一つは、踏み込みすぎな感のある要素技術の布教になっている*2。一つは、紹介しているモダンな技術の利点を十分に説明できていない。モダンな技術の長所・短所を理解できているのか、どうも疑わしく感じる。
コンテナに積み込んだドローンを民間人に複数のロシア軍基地付近まで運搬させ、コンテナまではモバイル網でコンテナからは光ファイバーでドローンに接続して制御し、コンテナから一斉に発進させ、ロシアの戦略爆撃機と早期警戒管制機を狙い撃ちにした、ウクライナ保安庁の「蜘蛛の巣作戦」は衝撃をもって報じられた。
衛星写真で確認されただけでもオレニヤ、ベラヤ、イヴァノヴォ・セヴェルヌイの三箇所で14機から15機が損傷を受け、うち10機から13機が大破したと目されている。作戦は完全な成功とは言えず、ウクライーンカではコンテナから発進に失敗してコンテナが炎上爆発、ジェギレヴォでは目標に命中しなかったそうだが。
SNS男女論界隈では、ここ数年でフェミニズムが急速に支持を失ってきたと言うような主張が、フェミニズム批判者から見られることがある。𝕏/Twitterでの議論では勢いが無くなっているようだ。しかし、日本全体で見るとそう大きな変化はない。
世論調査の結果を参照して、男女共同参画推進派フェミニストが数を減らしているという主張もあったりするのだが、これは解釈に難がある。
ジェンダー学者の田中東子氏が、ジェンダー論の大学院生が公開している論文を分野外からSNSで論評するなと言い出して非難を浴びている。公開された著作物をSNSで意見論評するなと言うのは、言論の自由に反する姿勢だ。
田中東子氏の主張も半分は分かる。田中東子氏には昨年末に誤解や曲解に基づく大きな非難が集まっていて、それらは建設的なものとは言い難かった。また、平均的な大学院生は半人前なので、論文を完成させて学術雑誌に掲載するための改善を提案する指導的、建設的なコメントが必要で、それは分野外の、とくに学術未経験者には難しい。雑な非難によって、大学院生が潰されてしまう危惧はある。
中国人の外国免許切り替えが話題になっており、「保守」界隈では中国人の外免切替自体を規制しろと言い出す人もいる。中国は道路交通に関するジュネーブ条約に入っていないので、中国の自動車免許取得者は交通ルールを理解していないと考えているようだ。しかし、これは短絡的な考えだ。中国の免許保有者は、アメリカの免許保有者などよりずっとマシなドライバーである蓋然性が高い。
フェミニストの巣窟である日本女性学会でトランス権利活動家(TRA)なフェミニスト有志が公開で声明と賛同募集を発し、現在の学会執行部と対立する事態になっている*1。分科会での報告と質疑応答に「人権侵害」があったそうだ。
学会の報告と質疑応答はあくまで学術的な議論なわけであるから、トランスジェンダーの人権を侵害するのは困難であるし、主張に問題があれば直接間接に反論していけば済む話なのだが、社会圧で異端を封殺しようとする態度がTRAらしいものとなっている。
今年の1月に表自界隈のネット論客が「フジテレビも中居さんも松本人志さんも、全員、刑事判決が確定したわけでもないにもかかわらず、性犯罪者(不同意性交等罪)があったみたいな言説がこんだけ流通してるのはやりすぎ」と言うような主張を繰り返しツイートしていたのだが、3月31日の第3者委員会の報告書が出た後はこの話題に触れなくなっていた。今から振り返らずとも、筋の悪い話だ。
反リベラル界隈から「奴隷制はある時代まで当然視されていたが、しかし現代では悪だとされている。」と言う主張が流れてきたのだが、問題があるので指摘したい。古来から奴隷制度は存在しているが、道徳的な正当性については古くから疑念の目で見られていた。
奴隷制度に対する明確な批判は、1世紀には、初期のキリスト教指導者たちから発せられていた。神の下に平等であれば自由民と奴隷という区別はおかしいわけで、理屈は明快で強固だ。長い間、奴隷制廃止ではなく奴隷解放を目指したり、異端や異教徒は例外にしていたりと御都合主義な面もあったが*1、キリスト教の指導者たちは、原則として奴隷制に批判的で、その声を徐々に強めてきた。1680年頃からはじまったアメリカの奴隷制度にも、カトリックと北部のプロテスタントは反対していた。
弥助は安土桃山時代に日本にいた黒人で、宣教師の従者もしくは奴隷から織田信長の郎党になった人物だ。史料は乏しく、詳しいことはほとんど分かっていない。
1990年代からNHK大河ドラマやマンガなどのキャラクターとして登場することがあり、歴史ファンには地味に人気だ。2010年頃から欧米での知名度もあがり、2019年にはロックリー本でデタラメに紹介された*1。
その結果、国外で熱心な弥助ファンが登場し、弥助は英雄的な働きをした侍だと信じており、(具体例を確認できていないのだが)そうではないと否定されると黒人蔑視だと罵ってくるそうだ。弥助ファンの暴走。
虚偽の性被害告発をした新井町議のリコールに関して抗議を行った草津町フラワーデモ主催者側の一人である北原みのり氏が、市民団体が提案した港区男女平等参画センターの講師を勤めることを拒絶されたことが話題になっている。企画確定前のキャンセルだ。
北原氏が公開した港区の担当者の市民団体へのメール*1では、審査会で①草津町フラワーデモと②トランスジェンダーの性自認に懸念を示したことにSNS上で非難が集まっていることが問題視され、「SNSや来館者の反応による運営リスク」が懸念されるため、市民団体に講師を変更するように依頼している。
反DEI界隈の人々が、どうも2025年1月のカルフォルニア山火事大規模化の原因は、DEI雇用されたウォークによってクラマス川からダムが撤去されて取水ができなくなったためだと主張している。
アメリカのMAGAの話*1を日本の反DEIの人々が請け売りしているわけだが、二重三重に話がおかしい虚偽であるので指摘したい。
アメリカの共和党支持者や民主党左派の間では、民主党主流派がウォーキズムに傾斜して製造業労働者を省みなくなったという物語が人気だ。
バイデン政権は製造業雇用の促進や労働争議の仲介などに熱心であったので事実に即しているとは言いがたいのだが、民主党から製造業労働者を引き剥がしたり、ウォーキズムを牽制したりするのに便利なナラティブなので繰り返されている。
中国人が日本の社会保険制度を悪用していると言う話が「保守」界隈でよくされている。しかし半分は陰謀論だから、官公庁がしっかり仕事しているか監視するのに留めよう。過去事例では入管が雑な仕事をしているのに付け込まれて、悪用されている。
2011年に中国人48名が来日直後に生活保護申請をして認められた事例では、48名が本来は定住者の在留資格を認められない状況を正直に申告したのにも関わらず、入管が在留を認可してしまっていた。問題が発覚してから生活保護の支給を打ち切り、特定活動に在留資格を変更したわけだが、入管は書面審査すらまともに行えていなかった。
トランプ大統領が非難している先に自分が嫌いなものがあると、我が意を得たりと親近感を抱いて熱心なトランプ支持者になる人々がいる。しかし、トランプ氏の過去の虚言の多さから考えて、深く考えないタイプのおっさんの放言でしかない。一貫性があるのは、親ロシア政策ぐらいだ。
「R言語は本当に実装向きではないのか?— 固定観念を問い直す」と言う記事を見かけたのだが、シングルスレッドだからシステム構築に向いていないと言う主張がされていた。Pythonのウェブアプリケーションもシングルスレッドで使われているわけで、話がおかしい。恐らくシステム構築に関わったことが無い人が書いている。
ウェブやデータサイエンス方面のソフトウェア構築では、気づくとコンテナ化ソフトウェアのDockerが必須技術のように言われており、コンテナオーケストレーションツールのKubernetesがデータセンターの新たな基盤になったような話を見かけるようになった。コンテナ化技術の時代。
コンテナ化技術は、データセンターのクラウド化(IaaS)を可能にした仮想マシン技術とよく対比される。技術的には随分と異なる。仮想マシンはオペレーティング・システム(OS)にまるでハードウェアがあるかのように見せる技術だが、コンテナ化はOSの名前空間とプロセス管理をつかったアプリケーションの隔離である。しかし、コンテナ向きの仕事を、仮想マシンがしばらく担ってきた。
アメリカの世論はロシアに厳しい。ロシアのウクライナ侵攻に関して、世論調査では有権者の52%がウクライナ側につくと答え一方、ロシアを支持した人は4%に過ぎなかった*1。また、70%が開戦責任はロシアだといっている*2。ところがトランプ大統領は親ロシア派だ。
トランプ大統領はロシアの戦争責任を認めず、国連の非難決議に反対している*3。概ねクリミア併合以降の対ロシア制裁の撤廃を主張しており、実際に2019年1月にはロシアの企業や個人への制裁を解除した*4。現在も制裁解除を模索していると報じられている*5。
共和党の影響もあるのか2018年3月と8月に対ロシア制裁の強化も行っているが、積極的とは言えないものであった。
ガバメントクラウドは、クラウドの中でもシステムの土台の方へのサービス(IaaS,PaaS)に関する認定で、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)に基づき高いレベルのセキュリティ対策が必要になる。しかし、ガバメントクラウド上で動く(SaaSを含む)アプリケーションに関しては、特段の監査は行われない。
地方自治体向けのアプリケーションのASP向けの規制案「ガバメントクラウドにおけるSaaS(公共SaaS)について(案)」が出て来て、不十分なセキュリティ対策ではないかと言う声が上がっている。ASPは事業者で、SaaSはアプリケーションを提供するサービス。対策不十分と言うだけではなく、何か勘違いをしている可能性がある。
筆が滑っただけだと思うが、デジタル庁クラウドチームのデータベースへの理解が不十分な気がしてきたので指摘したい。データ中心主義(DOA)からプロセス中心主義(POA)に逆戻りしている。また、業務要件からデータベースのトランザクションが満たすべき性質を考えていない。
古臭い話で、クラウド大好きギークの皆さんは好きではない概念だと思うが、忘却すると地獄の業火に焼かれることになる。
デジタル庁はガバメントクラウドに熱心なのだが、現時点での自治体システムのガバメントクラウドへの移行は、実質的にAWSなどの外資系クラウドサービスにサーバー周りのインフラを移行を意味している。クラウドサービスはグローバル寡占市場であり、価格や品質に問題が生じた場合の代替策はオンプレミス回帰だ。
炎上防止コンサルタントの非難で表情や仕草や生成AIの利用が議論が広まった東洋水産株式会社(マルちゃん)が投稿したアニメ動画なのだが、注目すべき点が無視されていたのが残念であった。女性キャラクターがカップ麺(赤いきつね)を食べている間にソファーが消えている。
…と言う率直な意見のツイートが10日ほど前に流れ、盛り上がっていた*1。
さくらのクラウドは、日本でもっとも頑張っているシステム構築用途のクラウドサービスだ。ホスティング事業者さくらインターネットが運営している。AWSはインターネット通販最大手が手がけるサービスで、世界市場で3割強、日本においては5割のシェアを誇る。実績から利用ノウハウの共有が進んでおり、提供されているサービスが先進的だ。
アンフェのネット論客の朱夏論氏が脱リバタニアン宣言を行なったあと、「テクノ封建制」によってもたらされると言う人工知能が人間にあれこれ指図するパターナリズム*1を予言している*2。
議論自体も粗いのだが*3、言葉の使い方がぐちゃぐちゃなところが気になった。AI家父長制ではなくて、人工知能パターナリズムと呼ぶほうが適切だから。朱夏論氏には共同体主義と家父長制の混乱もありそうだったので、その辺もまとめて指摘したい。
アメリカの公立学校ではMerry Christmasと言うのを禁じていると言うMAGA言説をたれ流している自称在米アカウントがいるのだが、そんなことはないので指摘しておきたい。アメリカ合衆国憲法の修正第1条違反になるのだが、宗教保守と知られる福音派キリスト教徒が全人口の4分の1と言われるわけで、Merry Christmasと言うのを禁じた瞬間に裁判になる。