税で貨幣を回収することが、貨幣価値を維持し、貨幣の流通を促進しており、何かの実物資産の本位制である必要も、支払手段の強制も必要がないと言う租税貨幣論*1が、古代日本の貨幣によく当てはまると言う話を見かけた。しかし、検討してみたのだが当てはまりは悪い。税と無関係に流通していた私鋳銭もあり、政府貨幣も絹布や麻布との納税時公定交換レートが通貨価値を定めており、支払手段の強制もされていた。
2021年10月31日日曜日
2021年5月5日水曜日
貨幣価値がベイズ推定されてきたことが分かる(かも知れない)『撰銭とビタ一文の戦国史』
そもそも通貨とは~と語っている人々の我田引水や牽強付会*1を指摘するために、『撰銭とビタ一文の戦国史』を拝読した。本書の著者の高木久史氏はずっと中世から近世の貨幣を研究している人で、2018年と比較的新しい本書はこういう用途に最適。悪銭やビタといった単語が示す意味がそう自明でもないところに歴史研究の難しさがわかって興味深い一冊で、記述の端々から貨幣研究も史料と発掘で進められていることも分かる。
2019年4月25日木曜日
トルコ経済を見るとMMTの現実説明力が低いことが分かる
話題の非主流派経済学MMTの信者たちは、彼らの言う主流派マクロ経済学が権威を笠に着てモデルを振り回すだけで、現実経済を説明していないと主張しているのだが、藁人形論法が過ぎて呆れてくる。実証研究は山のようにあるからだ。
素朴なものから難解なものまで、誘導形でも構造形でも計量的な検証は山のように行われている。論文を読まずとも、教科書でモデルの説明の後には実例を紹介していることも多い。そもそも経験則を説明するためにモデルがあるわけで、既存の研究でも大雑把な経験則ぐらいは言える。もちろん上手く説明できない状況もあり、説明力がイマイチのモデルも多くある*1が、こういうのも実証研究をしているから分かってくることだ。
2019年3月23日土曜日
MMTのインフレ率決定モデルに関する議論の問題点
話題の非主流派経済学MMT教祖の一人、Tymoigne氏のブログのエントリーMoney & Bankingをどう思うかと言う御題が投げられて、Part 11: Inflationをやる気なく読んでみた感想を書いておきたい。MMT信者には何が問題なのかわかりづらいようなのだが、何を主張したいかは分からなくもないのだが、色々と議論に問題があって、ほとんど根拠をつけることができていない。
2019年3月15日金曜日
2019年3月9日土曜日
円キャリー取引もしくは強制ロスカットによる為替レート決定理論
日本には外国為替証拠金取引を嗜む人々が多いせいか、為替レートが大きく円高に動くと翌朝の通勤列車の運行状況が心配されたりする。一方、円安に動いたときは、そうでもない。このネットに響き渡る現代のマンドレイク、相場の養分の悲鳴なのだが、相場自体にも大きな影響を与えているかも知れない。
2019年2月17日日曜日
MMTの財政赤字は金利上昇をもたらさない説の変なところ
2019年2月9日土曜日
ジンバブエ経済のここ10年間の成長が意味すること
ネット界隈の経済論壇ではちょっとづつMMT信者が増えてきており、存在感が薄くなりつつあるリフレ派なのだが、それでも信仰の強い人々はいる。昨日はここ10年間のジンバブエの経済成長率を引き合いに出して、比較すると日本の成長率が低いと、日本の財務省を非難していた。曰く「職員に最低限の知識がない」そうだ。
2019年1月12日土曜日
日米金利差をつかった推定によるアベノミクスの円安効果の効果量
ネット界隈ではアベノミクスによって円安になり輸出企業や観光産業に利益があったとするリフレ派と、輸入物価があがって庶民の生活に不利益であったという左派が言い争っているのだが、そもそもアベノミクスが円安を引き起こしたのか、どの程度の効果量があったのか自明ではない。
2019年1月9日水曜日
近いうち解散と野田総理の退陣は円安をもたらしたのか?
第二次安倍政権になったおかげで、大規模な量的緩和がなされて景気回復がなされたと言うのは、リフレ派の多くが信じていることだ。しかし、景気一致指数である有効求人倍率の他、景気遅行指数である完全失業率や就業率の回復開始も野田政権期にはじまる*1ので、時系列的に無理がある主張となっている。
2018年11月8日木曜日
貨幣が語るローマ帝国史—権力と図像の千年
ネット界隈で貨幣の起源に関する話がたまに流れているのを見かけるのだが、追いかけるとだいたい胡散臭い。先日も『貨幣が語るローマ帝国史』に、古代ギリシャや古代ローマではインフレを防ぐために硬貨に意匠を掘ったような事が書いてあると言うツイートを見かけて確認してみたのだが、そんな事は書いていなかった。
2018年10月9日火曜日
ノーベル賞受賞経済学者曰く、政治は景気循環をもたらす
2018年のノーベル経済学賞もしくはスウェーデン銀行協会賞は、マクロ経済学者のローマーとノードハウスに与えられた。内生的成長理論のローマーの方が経済学徒には有名かなとは思うものの、気候変動や炭素税と言うトピックからノードハウスの方が分野外では有名かも知れない。
2018年8月16日木曜日
金融の教科書にある信用創造の説明を貶しても
学部の金融の教科書には、だいたい次のような信用創造の説明があると思う。預金歩留まり率をαとするとき、H円のハイパワード・マネーを持つ銀行が、H円を融資するとαH円が預金として戻り、αH円を融資するとα2H円が預金として戻り、n回目の融資ではαnH円が預金として戻り、無限に続けて和をとるとH/(1-α)円融資になる。法定準備率βがあれば、H/(1-α+αβ)円が融資量の上限。先日出た経済学を説明するマンガ*1でも、この説明が踏襲されている。
2018年7月11日水曜日
リフレ派原田泰日銀審議委員「金融政策は神の領域にないと、イエスは言った。QQE批判者は、認知的不協和を起こしている」
雨乞い経済成長派と揶揄されるリフレ派の一人、原田泰日銀審議委員が、2018年7月4日の石川県金融経済懇談会の挨拶で、あれこれ神話を持ち出してコレはやばいと評判になっている。締まりの無い挨拶をするおっさんっているよねと言う程度の話なのだが、該当部分を検討してみよう。「QQEに対する認知的不協和」(pp.19--20)のところである。
2018年3月5日月曜日
Fedの量的緩和は長期金利を1%ポイントも引き下げていない
2018年1月17日水曜日
MMT教祖はバブル回避のために財政赤字を出せと言っている
非主流派経済学として徐々に注目を浴びてきたMMTだが、MMT信者の説明は多種多様で全体像が掴みづらい。先日も、ある熱心なMMT信者が、主流派経済学では簿記の仕分けと矛盾するが、MMTではそうでは無いようなことを力説していたが、何か色々と勘違いがされていそうだ。ミクロ経済学の企業行動などシンプル極まりないので簿記に落とし込めないわけがなく、そこが論点になるとは考えづらい。別のMMT信者は、ハイマン・ミンスキーの議論をよく参照している。
タリー・スティックは中世イングランドでも貨幣として流通していない
非主流派経済学の信奉者の間で、中世イングランドでタリー・スティック(tally stick)が貨幣として流通していたと言う話が、真しやかに話されている。政府債務が貨幣として流通したから、政府債務を増やしても大丈夫だという議論なのだが、確認したら色々と誤解がある事がわかった。タリー・スティックは納税証明書もしくは手形として機能しており、原理的には割引価格で売買されうるが、実際に広く売買されていた記録は無いそうだ。
2017年11月15日水曜日
タックスヘイブン対策税制はそこそこ機能している
租税回避地の利用者リストであるパラダイス文書が話題になっている。この手のタックスヘイブンが話題になるたびに高収益の国際企業の節税行為が問題視され、税制の見直しがされて来ているのであるが、某大手携帯電話/コンピューター製造販売者のように毎回、槍玉に挙げられる企業も存在する。これまでの国内法や国際協調BEPSなどの規制強化は意味が無かったのであろうか。報道されている限りは、そういうわけでは無さそうだ。










