新型コロナウイルスのデルタ株で新規感染者数が急増していたインドだが、5月に入って新規陽性者数はどんどんと減っていっている一方*1、抗体保有率が7割に達している事が調査で示されている*2。社会的距離をとるように施策を打っているとは言え、欧米ではデルタ株のせいか人々の心情の変化か上手く機能していないことを考えると、集団免疫を獲得した可能性が高い。このまま安定して減少傾向が維持されるか注目だ*3。
2021年7月31日土曜日
2021年7月26日月曜日
尊厳 — その歴史と意味
哲学者マイケル・ローゼンの『尊厳 — その歴史と意味』がネット界隈の哲学クラスターでぼちぼちと言及されている。尊厳はそこそこよく見かける単語であり、尊厳と言わなくても尊厳を問題にしている気がする不満や苦情は多々ある一方で、厳密にはよく分からない単語でもある。本書は、尊厳と言う単語が何を意味してきたかを整理し、尊厳を尊重すべき道徳的根拠を考察した本だ。
2021年7月23日金曜日
中国のウイグル政策をジェノサイドとすると、漢民族は一人っ子政策でセルフ・ジェノサイドをしてきた事になる
欧米の人権団体が2018年から強化された中国のウイグル政策をジェノサイドだと言い出し、米国政府も同調して非難している昨今なのだが、雑なレッテル貼りである事を認識しておきたい。中国のウイグル政策が人道的に問題なのはそうであろうが、同化政策や出生抑制政策をジェノサイドと認定すると、かなりの事がジェノサイドになってしまう。
2021年7月19日月曜日
パターナリズムにすっかり傾斜しているジェンダー法学者
立憲民主党が性犯罪刑法改正に関するワーキングチームにおける本多平直衆院議員のジェンダー法学者の島岡まな氏らへの発言に関する調査報告書を公開していたので拝読したのだが、現在のジェンダー法学の思想が色濃く出ている文書になっていて興味深かった。
委員長は労働ジャーナリストの金子雅臣氏だが、ハラスメントの有無よりもラディカルな思想の正当性を訴える内容、一般的とは言えない用語、やたらとつける鍵括弧、文脈に関係なく嫌っていそうなモノへの言及が散りばめられた文*1、唐突で無根拠な日本批判*2から、ジェンダー法学者が大部分を書いている蓋然性が高い。
2021年7月17日土曜日
功利主義で表現の自由をどこまで擁護できるか
…と言うネット論客の青識亜論氏から御題があって、だらだら話していたところをまとめておきたい。幾つか観点を追加している。
功利主義は人々の快苦の多寡や選好の強さを合計する快楽計算によって物事の是非を判断し、表現の自由も快楽計算によって判断する道徳的立場。ある表現物の是非を考える場合は、その表現物が誰かに与える快楽と、その表現物が与える苦痛の大きさを比較して、快楽が大きければ善しとする。
㈳Springの性被害の実態調査アンケートからは、性的同意年齢の引き上げの必要性は言えない
立憲民主党の本多議員の騒動に関連して、一般社団法人Springの性被害の実態調査アンケートの中身を見てくれと言われて、ざっと目を通して見たのだが、回答者数が多くても、標本の偏りが激しいネット世論調査の一つの事例になってしまっていた。しかも、同一人物が複数回回答可能とあって、悪戯を排除できているのか疑問もある。サンプリングの問題でこれは完全に信憑しませんと言われても仕方が無いし、統計に真面目な人ほど言いかねない。
2021年7月13日火曜日
ツイフェミは女性の尊厳を毀損していると感じる絵を非難している
…と言う可能性があるので、指摘しておきたい。
自分で自分の主張に「銀の弾丸」と言ってしまっているトランプ節のタイトルの「フェミ炎上にトドメを刺す「銀の弾丸」」と言うネット論客の青識亜論氏のエッセイが流れてきた*1。相変わらずなのだが、ツイフェミが何を感じているのか掴もうとしていない。自分の持つ不満を明瞭に表現できる人は少数なので、ツイフェミの主張の分析をして、その原理を構築する作業をしないと、ツイフェミの議論の弱点は示せない。
2021年7月12日月曜日
ペドフィリア(小児性愛)は犯罪因子と蔑視しておいて問題ない
BUSINESS INSIDER JAPANの記者の竹下郁子氏がペドフィリアの人々(小児性愛者)を犯罪者と同様のように言及したそうで*1、児童性虐待の実行前であれば犯罪者ではない、自制できるペドフィリアもいると非難されていた。しかし、用語定義と現在の社会倫理から、ペドフィリアは犯罪者予備軍と見なさざるを得ないし、犯罪者予備軍と蔑視することは公益に資する面もある。
2021年7月4日日曜日
医療や介護の従事者に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチン接種を原則強制するのは、ハラスメントとは言えませんよ
メディアが医療や介護の従事者や医学/看護学生が新型コロナウイルスのワクチン接種を陰に陽に強制されていることを、ワクチンハラスメントと言い出した。日弁連の人権擁護委員会が大元のようで*1頭が痛いのだが、感染予防策をとっても感染可能性が高かったり、周囲に感染に脆弱な人々がいる環境で働いたり学んでいる人々に、広く利用されているワクチン接種を強制しても違法性は恐らく無いし、社会厚生の改善にもなるから。
2021年7月1日木曜日
「ナチスは良いこともした」を否定するのは困難なので
それでホロコーストの贖罪にはならないとか、そこは過剰評価されているとか言い返す方が建設的。
歴史社会学者の田野大輔氏が未曾有の災禍の元凶であるナチスは絶対悪であるのは常識で、「ナチスは良いこともした」と言うのは不勉強で、ナチスの政策で肯定できるところなど無いと主張している*1。手ごろな新書があるのでそれで勉強しろと言うのは良い提案だと思うのだが、ナチスの実行した政策のすべてが悪いと言うのは論理的に困難で無理がある。