ラベル 数学 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 数学 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年6月18日日曜日

人工知能を学ぶつもりで代数幾何学を勉強してしまう可能性はあるよ

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

AIを学ぶのに必要な最低限の数学の知識は5つだけ!」と言うエントリーの「最近、「AIを理解したくて代数幾何の教科書を勉強しているんですよ」という人によく会う」と言う一節の代数幾何が、線形代数の誤りではないかと言う指摘が多数からされている。

2022年7月29日金曜日

三角関数不要論にかこつけた宣伝にのって『無限のなかの数学』を読む

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

定期的に発生する三角関数不要論にかこつけて、岩波書店が露骨に宣伝していた志賀浩二『無限のなかの数学』を宣伝していたので拝読してみた。学習教材ではないと言うか、ちょっと中高生だと知識的につらいかも知れないが、大学生以上だと、そうそうこういう話もあった…と言う具合に、知識の確認に使える。

2022年2月22日火曜日

代数に不慣れな人にも読みやすい『数の世界 — 自然数から実数、複素数、そして四元数へ』

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

三次元グラフィックスをいじらなくなって久しいためか、四元数の存在すら忘れていたことがあり、せめて名前を記憶に留めるために手軽な解説本が欲しいなと思っていたのだが、『数の世界 — 自然数から実数、複素数、そして四元数へ』と言うちょうど良さそうな本が出ていたので拝読した。

2020年5月26日火曜日

数学の漸次的な発展過程が分かる『数の大航海―対数の誕生と広がり』

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

科学・技術史の文脈で言及されていて、内容を確認しようと思っていた『数の大航海―対数の誕生と広がり』を読了した。著者は、数学30講シリーズで数学徒以外にも馴染みが深い(かも知れない)志賀浩二氏。古代から近世ぐらいまでの数学史を、対数と言う切り口で数学者がまとめたもので、表面的な話に留まらず、数学的な意義に考察が及んでいる。

2019年12月20日金曜日

映画『奇蹟がくれた数式』が好きな文系は読むしかない『連分数のふしぎ』

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

数学検定を御存知であろうか。「9歳で理数系大卒レベルの数学検定1級合格!」と言うニュースではじめて存在が知られる程度の実用数学技能検定だ。経団連が近年、大学生は全員、数学を学ぶべしと主張しているので、加盟企業の新卒採用でこの数学検定を評価してやることで数学学習を促せばよいと思っているのだが、出題を確認していなかったので公開されている過去問を見てみた。

2019年11月3日日曜日

昭和な数学随筆『トポロジー入門 奇妙な図形のからくり』

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

講談社ブルーバックスが、1974年刊行の『トポロジー入門』(日科技連出版社)の復刻版『トポロジー入門 奇妙な図形のからくり』を今年になって出したのだが、拝読してみたので感想を記しておきたい。なぜか書評を求められたので。悪い本ではないと思うが、初学者向けの紹介本と言うよりは、昭和を懐かしむ何かになっている。

2018年11月17日土曜日

解析学のさくらんぼ計算

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

小学校によっては桁上げのある足し算で、さくらんぼ計算なる小技を教えているらしい。7 + 5 = (2 + 5) + 5 = 2 + (5 + 5) = 2 + 10 = 12と言うような、回りくどい方法。

一桁同士の足し算45パターン全ての暗記をせずとも、合計して10以下になる足し算のパターン24を覚えれば桁上げ演算を行なうことができる省メモリ手法*1ではあるが、足し算に習熟した学童には回り道でしかないし、学童によっては余計に混乱するそうなので*2教えない方が良い。

2018年10月31日水曜日

プログラマも、そうでない人も、手にとってみて欲しい「白と黒のとびら」

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

ここ十年間ぐらいで数学ラノベ的な本は何十冊も出ているのだが、小説としてのクオリティを持ちつつストーリーの鍵に数学を取り込めたものは殆ど無い。登場人物間の会話のコンテクストとしてのみ数学が使われているライトノベル、説明される数学の内容と乖離したストーリーが他作品の雑な模倣に思える人物設定で展開される学習ガイドと、人気作品でも求める水準とは言えない。

2018年9月24日月曜日

証明問題が苦手な中高生が読むとよさげな『定理のつくりかた』

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

数学書と言えば、定理の説明とその証明の組み合わせが続く如何にもと言う内容のものが典型だが、定理が導き出されるまでの模索について説明されることは少ない。学術史的に動機が説明される事はあるが、数学者がどのような試行錯誤を行なっているのかは、大学院に進学して教員に指導されてみないと中々見えない世界であろう。

2018年9月13日木曜日

「集合と位相」をなぜ学ぶのか ― 数学の基礎として根づくまでの歴史

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

数学を真面目に使おうとすると避けては通れない集合と位相だが、その教科書を読むとやや抽象的なきらいがあって気が滅入る傾向があり、必要になったときに学べば良いのでわざわざ講義を設けるほどではないと言っている著名数学者もいる*1

どのみち必要になるので悩む前に学べと言うのが大方の見解だと思うが、それではちょっとつれないと思われるかも知れない。今後の見通しが欲しい初学者がいたら、よい補助教材が出ていたので紹介してあげよう。

2018年8月27日月曜日

ミレニアム問題は概説するのも難しいことが分かる「数学ガール/ポアンカレ予想」

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

深みにはまりそうな話の表面を、キチンと証明も説明もせずに泳いでいかないといけない数学読本を書くのは易しくはなく、数学徒でも理解するのに苦労する未解明問題や最近証明されたミレニアム問題だと尚更そうなるようだ。実にもやもやっとしたP≠NP問題の紹介本を読んだ事がある。結城浩氏の人気シリーズ最新作「数学ガール/ポアンカレ予想」も例外では無かった*1

2018年4月26日木曜日

機械学習をやる前に学んでおくべき最低の数学

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

機械学習を勉強する前に学んでおくべき最低の数学の範囲について、あれこれ議論されている*1。この手の議論、なかなか不毛である。ライブラリをブラックボックスとして使う分には、数学の知識はほぼ不要。中身を考えながら使うには、大学の学部の微分積分と線形代数と確率・統計の教科書をまずは頑張れと言う自明な話になるからだ。

2018年4月24日火曜日

男「お前のことが好きだ」女「私はその2倍すき」男「じゃ、俺はその3倍すきだ」の解3種類

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

検索する限りでは、2011年10月17日前後のClockTowerEX氏のツイートが元だと思うのが、そのパクりツイートが人気になっていた。男「お前のことが好きだ」女「私はその2倍すき」男「じゃ、俺はその3倍すきだ」と言う会話から想定される、好きの度合いの解を求める問題に関するものだ。何年にもわたってパクられ続けているのだが、多少は亜種が発生していて、だいたい3種類の解が考えられている。

2018年4月15日日曜日

お気軽確率・統計ユーザーのための必須数学知識チェックリスト

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

測度論などは使わないぐらいのお気軽な確率・統計の利用者でも、ある程度は数学的に確率・統計を説明できる方が望ましい。学部一般教養の微分積分と線形代数を学べば良いのだが、もう少し具体的な目標があっても良いかも知れない。

以下に20項目の必須数学知識チェックリストを用意してみた。チートペーパーを整備するなりしてでも説明できるようにしておこう。慣れてくると飲み過ぎのチェックにも使える*1

2018年3月18日日曜日

位相幾何学用語に慣れる『トポロジー:やわらかい幾何学』

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

大学の一般教養で習う数学は解析学と線形代数なので位相幾何学には縁遠い人が多いと思うが、人文系で用語が濫用される数学の分野と言えばトポロジーなので、ネット界隈で現代思想を標榜する論者を陰で笑うのには有用な知識だ。それどころか真面目にホモロジー群まで理解すると、ブラウアーの不動点定理と言う広く応用されている定理まで行き着ける*1。数物系の世界なのでどうやって学ぶかが難点なのだが、『トポロジー:やわらかい幾何学』と言う古めの本を手にとってみた。

2018年2月11日日曜日

頭が悪い人のための-1×-1=1の証明

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

-1と-1を乗じると1になる理由が分からないと言うのは、小中学生がよく抱く疑問だそうだ。これに対してマイナス方向に向いている人が逆方向に向く、もしくは180度回ると、プラス方向に向くというような説明がよくされている*1。しかし、良く考えるとこの説明は良くない。方向と回転の二つの概念の導入が要るからだ。

2017年11月4日土曜日

数物系のお供「リー群の話」

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

ネット界隈で言及される数学用語は幅広いが、数物系学徒が呟く率が高いものと言えば、リー群やリー環だ。学部生向けの数物系の本の最後でも、リー代数について言及があることが多い。線形代数で表される連続群*1と、その接ベクトルが構成する交代積について閉じている環の代数は物理学徒にとっては無くてもならないものらしく、なんと縦列駐車の分析にまで使われる*2ぐらいだ。ちょっと気になるので、『不完全ではあっても“リ一群”の実体を簡単な実例によってまず把握する』と言う「リー群の話」を開いてみた。著者の佐武一郎氏は数学界隈では高名な研究者だ。

2017年10月28日土曜日

「曲がった空間の幾何学」で掴みは万全

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

数学の中で、大学までとそれ以降で風景が大きく変わるものが幾何学だ。中高までの独立感のある図形の話ではなくなり、解析学や線形代数などの発展としての話になる一方、群が導入され、様々な不変量が出てきて抽象化も進み、ぐっと話が難しくなる。また、中高で幾何学に全く触れないことは無いと思うが、数物系でないと卒業までリーマン幾何学、位相幾何学に縁が無いことも多い。

2017年3月3日金曜日

不変量とはなにか―現代数学のこころ

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

結局は証明しないと始まらない数学は、一般書の題材に向かない分野であると思う。最後はやはり「教科書を読め」になってしまうのだが、それでも何だか面白い紹介本はある。2002年に出た「不変量とはなにか―現代数学のこころ」もそういう類の本で、2013年にちくま学芸文庫で「不変量と対称性」と書名を少し変えて改訂新版が出ている。偶然、古い版を手にとったのだが、内容はそうは変わらないと思うので紹介したい。有名な定理の名前を掲げているわけではないのだが、数歩先の数学の切り口が見えるワクワク感がある中身だと思う。

2017年1月11日水曜日

導関数dy/dxのdyとdxを説明するのは実は苦労

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

中高の微積分でも出てくる導関数dy/dxの、微分と呼ばれる記号dyとdxが指すものが何なのか、じっくり考えた経験はあるであろうか。「dy/dxは分数ではない」と生徒に教える数学教師に疑問を投げる塾講師のツイートから、あれこれ大学教員の間でやり取りがあった*1のを眺めていて気づいたのだが、仕方が無いとは言え、このdxとdyが何なのか少なくない人々が誤魔化されたまま終えるようだ。実際、私も良く分かっていなかった。