経済学と言えば、需要曲線と供給曲線が交わる図を思い浮かべる人は多いと思う。教科書では価格規制などの政策効果の分析をしたりするのだが、実はこの図には大きな仮定がある。分析している財の支出に占める割合が小さい事を理由に、所得効果が無視されているのだ。
ミクロ経済学ではスルツキー分解として習うが、価格の変化は代替効果と所得効果による需要の変化をもたらす。電気代が一定で、灯油価格が下がったときの暖房を考えよう。まず、エアコンではなく、灯油ファンヒーターを使うようになるはずで、これを代替効果と呼ぶ。次に、電気代と灯油代が少なくなって余裕が出来ることから、暖房を良く効かせるようになるはずで、これを所得効果と呼ぶ。