2025年6月17日火曜日

オートスケール不要な地方自治体のシステムでも、オブジェクトストレージとコンテナ化技術は有用だよ

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デジタル庁クラウドチームがクラウドサービス上でオートスケールを動かすと言う観点でしか話をしないので、コンテナ化技術(Docker, Kubernetes)とオブジェクトストレージの有用性が疑われているようだ。しかし、オンプレミスなシステムでも、地方自治体のシステムでも、有用な面があるので指摘したい。

オブジェクトストレージは、特殊な機器を使わない技術で、容量の拡張が可能でぺタバイト単位の巨大な並列化でき冗長性のある仮想ストレージをつくることができ、ネットワーク経由で共有できる。実体はhttp(s)のサーバーなのでアプリケーションからの利用、OSの設定、ネットワークでの制御が容易だ。画像や動画のデータの大量蓄積に有用で、工事や何やらで画像や動画の記録を蓄積してく組織であれば、使いどころがある。オープンソースのサーバーソフトApache Ozoneがあり、iSCSI/SANを使うよりも手軽だ。

コンテナ化技術(Docker)は、アプリケーションとそれに必要なライブラリをまとめ、動作環境を隔離する技術で、運用環境のセットアップを迅速にしたり、ライブラリのバージョン不整合を回避する有用な手段だ。地方自治体のシステムで仮想化技術を使っているところもあるので、この用途の需要は確かにある。また、地方自治体のシステムもサーバーソフトウェアが何十と動いている。どのコンテナをどのハードウェアで実行させるか一元管理ができるコンテナオーケストレーションツール(e.g. Kubernetes)も有用だ。障害からの復旧が容易になるし、ローリングアップデートなどサービス継続しながら保守をする仕組みもある。

デジタル庁クラウドチームの話にはこれらの基本的な有用性の説明が無く、いきなり究極の応用方法のオートスケールを完全に活かす方向に話が寄っている。オートスケールと言うのは、コンテナ化技術を応用して、トラヒックにあわせてウェブサーバーなどのコンテナを自動で増減する技術だ。オートスケールは無制約に使えるわけではなく、組み合わせる技術に向き不向きが出てくる。TCP/IPで通信する経路が用意されていれば利用できるオブジェクトストレージは、オートスケールでコンテナがどんどん複製される状況でも使いやすい。しかし、大概の地方自治体のシステムはトラヒックが一定で(スループットへの)スケーラビリティへの要求が大きくなく、オートスケールに強い訴求力はない。

コンテナ化技術も、オブジェクトストレージも、もっと基本的な長所を紹介しないと混乱を招く。オンプレミスのプライベートクラウドでも利用可能で、クラウド事業者が運営するガバメントクラウドを使う理由にはならないが。

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