電気なくして生活が成り立たたず、マンガやアニメを見ると電気を使って戦うキャラクターが数多くいる現代社会、電気について教科書をガリガリ読むほどでは無い程度に緩く興味関心を持っている人は多いと思う。そういう初学者未満の人々向けの本と言うのは質と量のバランスが難しいのだが、『電磁気学のABC』は迷うことなく(非理系の人に)オススメできる本だ。
2019年12月31日火曜日
2019年12月30日月曜日
不倫をしそうにない人にも読む価値がある『不倫のリーガル・レッスン』
法律家でもないと業務に関係のない法律やその運用知識と言うのはなかなか得がたく、結婚に纏わる問題でも例外ではない。昨日も北海道の大学にお勤めの教育思想史の専門家が、日本は少子化対策として事実婚を認めるべきと主張していた。まぁ、内縁の妻って聞かなくなりました。結婚や離婚、不倫などに関する手軽な本があるのでコソコソと読むことをオススメしたい。
2019年12月29日日曜日
文系学部は不要と言われないために、ネット界隈の社会学者にも用語を大事に、文献への言及を丁寧にして欲しい
社会学者の渡辺健太郎氏の週刊ゲンダイ掲載のエッセイ「日本の〈文系大卒男性〉から失われはじめた「リベラルさ」」とにコメントしろとリクエストが来たので拝読してみたのだが、どうも語義曖昧で誤謬推理になっている気がするし、言及している文献(渡辺氏自身のモノを含む!)の内容をよく吟味していないように感じた。ネット界隈の社会学者全般に言えると思うのだが、用語を慎重に定義・把握し、注意深く参考文献に言及して欲しい。
2019年12月26日木曜日
ジェンダー社会学者「狂言による痴漢冤罪を警戒するのは女性叩きだ」
2019年12月21日土曜日
ジェンダー社会学者が無視するマンガ/アニメ/ゲームにおける女性キャラクターの描き分け
2019年12月20日金曜日
映画『奇蹟がくれた数式』が好きな文系は読むしかない『連分数のふしぎ』
数学検定を御存知であろうか。「9歳で理数系大卒レベルの数学検定1級合格!」と言うニュースではじめて存在が知られる程度の実用数学技能検定だ。経団連が近年、大学生は全員、数学を学ぶべしと主張しているので、加盟企業の新卒採用でこの数学検定を評価してやることで数学学習を促せばよいと思っているのだが、出題を確認していなかったので公開されている過去問を見てみた。
2019年12月16日月曜日
主題「スザンナと長老たち」で比較する、性的モノ化された裸婦画とそうでない裸婦画
2019年12月15日日曜日
2019年12月9日月曜日
2019年12月7日土曜日
格差社会で出世したい女は肌の露出を増やす
Mail Onlineなどで報じられているのだが、オーストラリアのメルボルン大学の心理学者たちが、所得格差の程度などに差がある仮想の社会で生活しているとして、出世欲を答えてもらった上で、保守的なものから露出度の高いものまでから服装を選ぶロールプレイング・ゲームを300名の女性に演じてもらったところ、格差社会にある方が出世欲が強く、露出度の高い服装を選ぶ結果が得られたそうだ(Blake and Brooks (2019))。
2019年12月6日金曜日
ジンバブエは財政赤字ではなく、生産力低下でハイパーインフレーションになった説がダメなところ
そろそろブームが去った感のあるMMT方面から、ジンバブエは財政赤字ではなく、不適切な土地改革による生産力低下でハイパー・インフレーションになった説が唱えられることがある*1。確証バイアスがあるのだと思うが、インフレが加速していった時期の認識が曖昧で、眺めている経済指標の種類が僅かなことから生じる誤謬である。時系列を確認すると生産力の低下の前にインフレ加速をしており、インフレーションによって投資が落ち込んで生産力が低下したと考える方が自然だ。
2019年12月4日水曜日
2019年12月1日日曜日
月経周期が女性の味覚を変える説は、非科学的とは言えない
クーリエ・ジャポンの「すきやばし次郎の「ミシュラン落ち」 海外での報道は過去の発言に注目が…」と言う記事で紹介されていた、著名寿司店「すきやばし次郎」店主の小野二郎氏の「月経周期が女性の味覚を変えるので、女性は寿司職人に向かない」と言う趣旨の過去発言が、非科学的な女性蔑視だと話題になっていた。
2019年11月24日日曜日
“GSOMIA終了の通告停止”でわかる文在寅政権の振り上げた拳の下ろし方
外交では国際儀礼が重視されるしやり取りも慎重に行われることが多いが、行き当たりばったりで自滅しても、うまく無かったことにする豪腕もいる。韓国の文在寅政権にも、そういう人がいるようだ。物議を醸している“GSOMIA終了の通告停止”は、意外に上手い方便になっている。むしろ、その意図が見えてくると、延長ではなく、終了の通告停止と言う二重否定の冗長さが最高に思えてくるぐらいだ。
2019年11月22日金曜日
ジェンダー社会学者によって「お気持ちフェミニスト」が適切な表現であることを示される
ジェンダー社会学者の小宮友根氏の雑誌『世界』に掲載された「表象はなぜフェミニズムの問題になるのか」と言うエッセイがウェブで公開されたのだが、そこでネット界隈のフェミニストの近年の創作物への非難が気分が悪いと言うだけの話であることが高らかに宣言されていた。萌え絵などの問題の表現物*1はなぜか女性差別を連想をして気分が悪いと言うだけの話だったらしい。
2019年11月17日日曜日
フェミニストはリバタリアン論客の青識亜論とどう言い争うべきか
ネット論客の青識亜論氏と元グラビアアイドル/現ライターの石川優実氏が、ここ数年で話題になった女性ジェンダーに関する問題に関して討論会を開いたのだが、司会進行の人が残念な展開になったと嘆いていた*1。どうも議論が噛み合わなかったらしい。青識亜論氏の方はよくツイートが流れてくるし、ある程度、話をしたこともあるのだが、なかなかフェミニストの皆さんにはとっつきづらいと思う。
2019年11月14日木曜日
2019年11月13日水曜日
訴求内容と訴求対象に合った、より効果的な表現方法を工夫したら、アイドルと萌え絵の女の子がアイキャッチャーとして残ることもある
極東ブログのfinalvent氏が「男女共同参画の視点からの公的広報の手引」をひいて、日本赤十字社の「宇崎ちゃんは遊びたい」×献血コラボキャンペーンの絵は好ましくないと主張している*1のだが、少し注意深さが足りなかったようだ。「安易に」「訴求対象」「効果的」に留意して欲しいのだが、よく考えると駄目な事例とは言えないことが分かる。
2019年11月12日火曜日
日本赤十字社の理念は「お気持ち」ではなく血液製剤の安全性と品質の向上という帰結重視ですよ
2019年11月7日木曜日
献血の広告におけるジェンダー表現規制は、献血の提供者と受益者の健康に貢献するのか?
しないよ。
献血の広告に今風のマンガの絵(つまり、萌え絵)を使うことに関して、シェイクスピア(もしくはその関連)を研究している文学者の北村紗衣氏が、「私の一家は輸血による肝炎感染被害を受けました。私は献血の広告に高い倫理性を求めたい」と主張しだし、「輸血による肝炎感染被害と宇崎ちゃんを使った広告には何の関連性もない」「実際は「高い倫理」(=個人的好み)」と弁護士勢から批判されている。
2019年11月4日月曜日
「鏡のヴィーナス」損壊事件からは、初期のフェミニストが表象の差別性に関心を持っていたとは言えない
ジェンダー社会学者の小宮友根氏が「鏡のヴィーナス」損壊事件をひいて、1910年代に婦人参政権運動をしていた頃の英国のフェミニストからして、裸婦画にある表象の差別性について関心があったと主張しているのだが、根拠が薄すぎなので指摘しておきたい。話によると歴史家Lynda Neadが可能性を示唆した説なのだが、直接の根拠どころか傍証も弱い。
2019年11月3日日曜日
昭和な数学随筆『トポロジー入門 奇妙な図形のからくり』
講談社ブルーバックスが、1974年刊行の『トポロジー入門』(日科技連出版社)の復刻版『トポロジー入門 奇妙な図形のからくり』を今年になって出したのだが、拝読してみたので感想を記しておきたい。なぜか書評を求められたので。悪い本ではないと思うが、初学者向けの紹介本と言うよりは、昭和を懐かしむ何かになっている。
2019年10月21日月曜日
「宇崎ちゃんは遊びたい」×献血コラボキャンペーンの絵は過度に性的なのか?
2019年10月19日土曜日
2019年10月14日月曜日
2019年10月10日木曜日
「食べログ3.8問題を検証」のヒストグラムの階級幅は狭すぎるのか?
人気の口コミ・グルメサイト「食べログ」で「評価3.8以上は年会費を払わなければ3.6に下げられる」のでは無いかという噂が広まっているのだが、これを店の評価点の分布から検証したエントリー「食べログ3.8問題を検証」が話題になっていた。しかし、「ヒストグラムのビンが細くて、いびつな分布に見えているだけ」と言う批判が付いている。しかし、それを考慮しても異常値に思える。
2019年10月7日月曜日
分析ツールを選び間違えたか、分析ツールが不足している社会学者の悲哀が感じられる『エスノメソドロジーを学ぶ人のために』
ネット界隈で炎上源のひとつである、あるフェミニスト社会学者が根拠不明の暗黙の前提に無自覚で議論を展開しているのが以前から気になっていた。ジェンダー論とエスノメソドロジーが御専門だが、ジェンダー論の方はお気持ちポエムの粋を出ない混沌とした主張がよく観察されている*1。エスノメソドロジーの方は大丈夫なのであろうか気になって、『エスノメソドロジーを学ぶ人のために』を拝読してみた。複数の著者による独立したエッセイ集だが、どういう使い道があるのか雰囲気を掴むことができ、初学者向けの本として文献ガイドも充実している。
2019年9月23日月曜日
社会学者の卵の古谷有希子さん、大正デモクラシーで普通選挙が実現されたことを忘れていませんか?
社会学者の卵の古谷有希子氏が「日韓関係:互いを敵視してしまうのはなぜなのか」と言うエッセイを書いているのだが、現時点でそこにある事実誤認もしくは表現上の問題を誰も指摘していないようなので記しておきたい。他人を歴史修正主義と罵る前に、しっかりとした文献で事実関係を確認する癖をつけるべきではないであろうか。
2019年9月20日金曜日
一昨年にあった多核種除去設備(ALPS)の不具合を、今でもあるように騒ぎ立てる前に
福島第一原発の災害・事故処理で生じた大量に蓄積されたトリチウム水の海洋投棄を巡って色々と議論があるのだが、多核種除去設備(ALPS)がトリチウム以外の核種を取りきれていないと疑惑がネット界隈で拡散している。だいたい放射脳と揶揄される類のいつもの反原発派が声を大きくしているのだが、吹聴する前に事実誤認が無いか、そして目標と整合的な主張なのかよく考えて見て欲しい。
2019年9月19日木曜日
国民経済計算(SNA)至上主義者は一度は読むべき『GDP―〈小さくて大きな数字〉の歴史』
パフォーマンス評価の測定基準は基準ごとの癖があるのだが、普及すると指標として乱用されてしまう傾向がある。国民経済計算(SNA)の中の一つGDPも例外ではなく、GDP成長率が国政の重要な評価基準のように扱われている。しかし、一般に思われているほど完璧なツールではないし、経済構造の変化により問題点の影響が大きくなってきている。ダイアン・コイルの『GDP―〈小さくて大きな数字〉の歴史』は、SNAの歴史を振り返った上で、このようなGDPの性質と問題点について説明してくれる本だ。
2019年9月13日金曜日
2019年9月7日土曜日
日刊ゲンダイの財務省“インチキ統計”記事に関して
日刊ゲンダイが「財務省また“インチキ統計” 計算方法変更で設備投資「増」」と言う記事で、法人企業統計の設備投資の推移に関して「コッソリと統計手法を変更して、「うまくいっている」ように見せ」ていると財務省、安倍政権を批判している。しかし、この記事を書いた記者、急いでネタを探していて、資料を空目したのでは無いであろうか。
韓国政府、韓国国民へのメッセージは具体的かつ明確に
韓国の文在寅大統領がASEAN訪問で各国に協力を求めると言い出し、韓国の康京和外相がBBCのHARDtalkと言う番組に出演したり、文在寅大統領の政策ブレーンとして知られる延世大学の金基正教授がThe National Interestと言う雑誌に寄稿*1したりと、日韓関係の悪化に関して韓国首脳は自己正当化に余念が無い。さらには福島第一原発のトリチウムを含む処理水の投棄や旭日旗の問題など次々に話題をつくってくれるわけだが、おかげでちょっと困ったことなっている。皆さん、日本政府の主張が何であったか覚えているであろうか?
2019年8月29日木曜日
2019年8月25日日曜日
フェミニストの江原由美子さん、指標の大小の意味はよく確認しましょう
横浜国立大学の江原由美子氏が、「フェミニストの私は「男の生きづらさ」問題をどう考えるか」と言うエッセイの3ページ目で、「日本では男性よりも女性のほうが、幸福度が高い」ことを、男女共同参画局の調査レポートにある生活満足度の集計値*1では男性の方が指標が高いことから、信憑性が低いと主張している。確かに、男性の方が指標が高い。しかし、これ、(すもも氏のツイートの請け売りなのだが)指標が低い方が生活満足度が高くなっているので、調査結果の読み間違いである。
2019年8月24日土曜日
『ヒトラーとナチ・ドイツ』を読んで、ヒトラーの出世街道を確認しよう
国際政治史が専門の板橋拓己氏が、ヒトラーとナチについては知りたい人々向けに、石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』とリチャード・ベッセル『ナチスの戦争1918-1949 - 民族と人種の戦い』を推奨していた。ナチス・ドイツ好きでは無いのだが、色々な人が言及したがるドイツ史なので、常識的なことは知っておきたい。『ナチスの戦争』は以前、拝読したことがある*1ので、『ヒトラーとナチ・ドイツ』をざっと拝読してみた。
2019年8月23日金曜日
どこに行きたいのか文在寅
対日批判を続けてきた韓国の文在寅大統領だが、2019年8月15日の光復節のスピーチではそれをトーンダウンさせ、日本が対話を望めば「喜んで手を結ぶ」 と柔軟な態度を見せた。しかし、日韓請求権協定に規定された、日韓で協定解釈が異なったときの対話手段である仲裁委員会の設置については拒絶し続けているし、日本国民を挑発するかのように、福島第一原発の災害・事故から8年以上経った今頃になって、日本産食品の放射線検査強化をはじめたり*1、韓国も海洋投棄を行っているトリチウムの廃棄に関して日本政府に説明を求めだしている*2。昨日はとうとう、GSOMIAの破棄を決定した。文在寅政権は、一体どうしたいのであろうか?
2019年8月18日日曜日
社会学者の卵の古谷有希子さんの日韓関係への認識について
社会学者の卵の古谷有希子氏が「日韓関係の悪化は長期的には日本の敗北で終わる」と言うエッセイを書いていて、色々とツッコミどころがあるのではてなブックマークのコメントが賑わっている。既出な問題な気もするが、大きな無理解が4つあるようなので指摘しておきたい。
2019年8月17日土曜日
徴用工問題で日本は韓国に落としどころを示しているハズ
荻上チキ氏のラジオ番組*1で、朝鮮半島を専門とする政治学者の木村幹氏がインタビューを受けていて拝聴した。社会学畑の荻上チキ氏が振り回す日本人の植民地主義が日韓の軋轢を生み出したかのような話を、木村幹氏が日本人の植民地主義を否定し、日本側は変わっていないのだから韓国が原因で発生した問題とやんわりと全面否定していて面白い。しかし、木村幹氏の説明にも、ちょっと謎なところがある。
2019年8月14日水曜日
2019年8月12日月曜日
小泉進次郎衆院議員、政府の役職につくまで国会質問はして来ていますよ
Twitterで小泉進次郎衆院議員が10年間の議員生活で一度も国会で質問を行っていないと言う噂が駆け抜けた*1のだが、国会会議録検索システムで確認したところ、野党時代も与党時代も国会質問をしていたのでガセであった。内閣府大臣政務官と言う謎の役職についてからは、政府側の人間になるので政府に議員としては質問していないと思うが、代わりに両院に呼び出されてあれこれ発言をしている。忙しい方では無いであろうか。
2019年8月4日日曜日
開催側の配慮の足りなさ、根性の無さが伝わる「表現の不自由展・その後」
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の中の「表現の不自由展・その後」の一部の展示物が物議を醸し、開催側の愛知県知事の大村秀章氏と芸術監督の津田大介氏が中止を決定する事態に至った*1。そして一部の展示中止を求めていた河村たかし市長が関係者に謝罪を要求している*2のだが…この芸術祭の運営会議・会長代理は誰であったか忘れてしまったのであろうか。
2019年8月3日土曜日
2019年8月2日金曜日
2019年7月28日日曜日
ワクチン忌避は集合行為問題ではないよ
哲学者のジョセフ・ヒースが「ワクチン接種は集合行為問題だ」と言い出して、それを真に受けているような人がいたのだが、この議論においてはヒースさんの勘はよく働いていない。実際のワクチン接種の集団免疫効果はそれに依存できるほど高いものではないし、反ワクチン派の振る舞いは集合行為問題からは説明し難いから、安易に合理的な人々によるフリーライダー問題だと結論を出すべきではない。
2019年7月27日土曜日
ジェンダー社会学者の皆様、無根拠・無条件にDV防止法の保護命令は役に立たないと言うのは、DV被害者の利益にならないですよ
社会学者の千田有紀氏が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)にある、加害者が被害者への接近を禁じる「保護命令なんて、なかなかなかなか出ませんよね」と主張し、「保護命令の申立ての約8割、取下げを除けば9割以上が認容されている」から事実誤認だと批判され、「保護命令のハードルは高く、却下されたときのリスクを考えて、みんな申請を控えている」「保護命令自体が、加害者を刺激する割に使い出がない」と反論している。千田氏の主張は根拠やそれが当てはまる条件が明示されておらず*1、本当は保護適当なのにDV被害者にその申請を躊躇わせる可能性があるのだが、弱者女性の不利益になる可能性について考慮されているのであろうか。