産経新聞によると、全国県代表協議会で公明党の山口那津男代表が、「軽減税率を(低所得者のための)逆進性対策として認めた(民主、自民、公明の)3党合意の当事者として、筋違いも甚だしい」と民主党を非難したそうだ。三党合意にそんな事を書いてあったかなと思い公明党が公開している少し前の政府案と三党合意を比較している資料を確認したところ、どうも山口代表が錯乱している事が分かった。
2016年2月28日日曜日
2016年2月27日土曜日
「アメリカの脱植民地化」を巡る混乱した議論
米国で女性問題などを扱っている活動家のエミコヤマ氏が『アメリカの脱植民地化(アメリカ合衆国を解体して主権を先住民各国家に返還すること)を支持しています』と言った事に対して、非先住民を追い出そうとする極左思想だと非難がされていた(togetter)。左翼思想のマルクス主義は先住民族の権利を盲目的に追求したりしないし*1、そもそも非先住民の取り扱いが詳しく説明されていないので不適切な非難だと思うが、それはさておき、エミコヤマ氏の「脱植民地化」も何かおかしい事になっている。法的に正当化は出来ないであろうし、脱植民地化にアメリカ合衆国の「解体」は必要ないからだ。
2016年2月26日金曜日
民主・維新の給付付き税額控除に賛成して欲しい
民主党と維新の党が軽減税率の対案として給付付き税額控除を出してきた*1。平均的家計の食料品購入額にかかる消費税額の2割を一人あたりの税額控除額とするようだ。2015年の二人以上世帯の年間食料品購入額は862,128円だから、これを平均世帯人数3.02で割って284,531円*2、さらに消費税率を10%として、だいたい5,691円/人の税額控除となる。なお、所得に応じて減額するように定めろとあるが、具体的なところは書いていない。
2016年2月25日木曜日
テスト・スコアが謎な論文と不注意なコメントに踊らされる
翻訳家の山形浩生氏がある論文の中のグラフを元に「学校行ってもちゃんと勉強しないとダメよねー、というお話&日本の教育はゴミクズらしいぞ。」と言うエントリーを上げている。横軸がTest scoreになるのだが、東・東南アジアの中で日本が低い部類に入ると言う話らしい。しかし、このTest scoreはPIAACのものでは無いのだが、PIAACのものだと推測する謎な展開になっている。
2016年2月24日水曜日
消極的な衆院選挙制度改革にも消極的な自民党
一票の格差の是正方法を巡って、自民党がアダムズ方式の受け入れを、拒絶しようとしている。1月14日に「衆院選挙制度に関する調査会」で提案された方式で、民主党や公明党など他の政党は支持している。アダムズ方式はなるべく現状を維持しつつ、最高裁の要求した一票の格差2倍以内に沿うような是正を目指した保守的なものなのだが、人口が少ない県から選出されている議員の多い自民党としては簡単には受け入れられないようだ。本来ならば県境越え選挙区の導入などにより格差をなるべく無くすべきである事を考えると、自民党の諦めの悪さが目立つ。
2016年2月19日金曜日
沖縄現代史 ─ 米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで
本当にセンシティブな国内問題なので、日韓関係などと比較するとネット上での意見表明すら多くは無い、普天間基地移設問題で揺れ続ける沖縄政治だが、右派でも左派でも沖縄の政治事情をはっきり認識している人は多くないと思う。しかし、抑圧された琉球民族と言う概念を持ち出す左派の人々が、徐々に増えてきたようだ。この概念、どの程度の実態を持つのであろうか。
琉球人と言うエスニシティ、つまり琉球民族としての自覚が沖縄県民にあるのかなどは、他の地域からは容易に分からない問題である。歴史的には1879年まで琉球王国は成立し、文化的にも沖縄の独自性は強いが、1872年からの琉球処分以降、これが公然と問題になったことはほとんど無く、関心も低かった。そう単純に抑圧された琉球民族と言う概念を受け入れるわけには行かない。
2016年2月17日水曜日
大学教育への公的補助が正当になる条件
社会学者の千田有紀氏の『大学というブラックビジネス 人生のスタートから借金漬けになる学生たち』というブログのエントリーが、事実誤認を含めて問題がある事が大学教員などから批判されている。日本学生支援機構の金利水準が実際とかけ離れている、担保の有無など金利を定める要素を理解していない、民間金融機関のローンに比べると日本学生支援機構の貸与奨学金は金利や条件が圧倒的に良いなどがそれで、千田氏も【追記】と【さらなる追記】で勘違いがあったことを認めている*1。この顛末を観察していて、千田氏への批判者を含めて、大学教育への公的援助が正当化される理由を明示的に整理していないのが気になった。公的補助の正当化の論拠が曖昧なのは、政策論としては問題であろう。
2016年2月16日火曜日
ある元慰安婦の証言の信憑性について
従軍慰安婦問題に熱心なネトウヨさんは元慰安婦の証言の辻褄があわない部分が気になって仕方が無いのか、ネット界隈では発言の端々が検証されている。よく槍玉に上がっているのが金福童氏で、本人の発言では無さそうなものまで批判されており*1、さらには偽者とまで言われている。これは不当な扱いで、本物の元慰安婦であろう事は示されているので、そこまで疑う必要は無いであろう。しかし、元慰安婦であることを示す証拠が、証言全体に強く疑いを投げかけるものになっている。
2016年2月6日土曜日
想定通り右往左往するインドネシアの高速鉄道計画
中国案に決まったと思われていたインドネシアの高速鉄道計画(東洋経済)が、暗礁に乗り上げているようだ。最終的に二大主要都市であるジャカルタ-スラバヤ間を結ぶ計画で、まずはジャカルタ-バンドン間の路線を造るものだが、もともとは日本が関わってきた*1のを、入札が停止された後に相対契約と言う不自然な形で中国国営企業が契約に漕ぎ着けた。こういう経緯からネット界隈では中国が悪いように言う人が多いようだが、インドネシア側にかなりの不備があるように思える。むしろ、インドネシア側の想定通りに右往左往しているのでは無いであろうか。
2016年2月3日水曜日
通信社の記者から見たインドネシア
ちょっと古めの新書なのだが、『インドネシア―多民族国家という宿命』を拝読した。開発途上国の本と言うと、やはり地域研究者が書いたものが多い*1のだが、これは共同通信社の特派員が書いたもので、時事的な話題がつらつらと書いてある。全体を通したメッセージは明確ではないのだが、インドネシアは多民族国家でアチェ、東ティモール、パプアなどの民族紛争を抱えて来ており、またイスラム国家としてのあり方についての考えの相違などから、アルカイダ等が問題になる以前からイスラム過激派が存在しているので、まだ民族を超えたインドネシア人としてのエスニシティが十分に確立されていない主張したいようだ。
2016年2月1日月曜日
日銀風マイナス金利と量的緩和の両立は可能なのか
変則的で運用での裁量余地が大きいものだが、日銀が日銀当座預金にマイナス金利を導入する事を決定した(日銀)。一方で、量的緩和の拡大も続ける事を約束している。既に各所から指摘されているのだが、この制度と量的緩和を両立させるのは困難かも知れない。日銀当座預金の金利設定がプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利の三段階になっているため、日銀の国債の買値に関わらず、十分な国債購入が出来ない可能性が出てくるのだ。