先月27日の安倍総理の全国一斉休校要請*1については、大きく(1)国民の警戒心を高めることによって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止に寄与した派と、(2)要請時には有効性の低い施策であり、むしろ休校要請の解除によって人々の気が緩み感染が拡大する派の二つに分かれているのだが、一ヶ月を経過したので評価してみたい。過去60日間のデータを使った、SIRモデルに沿った基本再生産数R?の推定値を見てみよう。
2020年3月31日火曜日
直近一週間のデータで基本再生産数R₀を推定する方法
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者がどこまで増加しうるのか、その大雑把な目安として使える数字に基本再生産数R₀と言うのがある。R₀<1であれば感染症はすぐに消えてしまうが、R₀>1であれば集団免疫を獲得するまで累積感染者数は増加していき、R₀に応じて累積感染者が定まる。
精緻にR₀を推定するのは専門的かつ労力が要る作業なのだが、教科書的なSIRモデルに準じて計算するのはそうでもない。推定モデルの導出までだったら、高校もしくは学部初年度の微分積分の範囲でいける。複雑なモデルは短期間のデータからは上手く推定できないし、今回は雑な方法で推定してみよう。
2020年3月30日月曜日
BCGワクチン接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防効果について確実に言えること
あなたが望むほど効果量は大きくない。
結核対策のBCGワクチン接種がされている旧東ドイツでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患率が低く、そうではない旧西ドイツでは高いと言うような複数の疫学データから、BCGワクチン接種がCOVID-19予防効果を持つのではないかと言う仮説が出され*1、ネット界隈で広く参照されているのだが、半信半疑をお勧めしたい。
日本航空(JAL)が女性の客室乗務員と地上職員のパンプス着用義務をなくした件の報道で
ラディカル・フェミニズムがどういう運動だったかが分かる『女のからだ』
2020年3月27日金曜日
セクハラ質問に怒りだす人工知能(AI)を検討してみよう
ツイフェミの皆さんが駅案内サイネージに使われている接客・窓口システム「AIさくらさん」を非難したことに関して、過去の架空の女性キャラクターの表現物への非難*1とあわせたネット論客の青識亜論氏のエントリーを見かけたのだが、ツイフェミの皆さんの説明不足もあって、彼らの問題意識を微妙に拾えていない。今日も過剰に「思いやりの原理」を働かせてみよう。
2020年3月26日木曜日
東京都のSARS-CoV-2の感染増加率がどれぐらいヤバいか基本再生産数R₀で見ると
偉い人の今後の算段が大きく変わりそうな感じである。
新たに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者が41名確認された。これまでの毎日の新規感染者数よりも大幅に大きいが、イマイチ問題の大きさが分からない。帰国者や旅行者もいるわけだし、無症状者や軽症者が街を歩いているのも確かなので、ぼちぼちと発生し続けるのは想定内だからだ。感染拡大ペースがどの程度か、それがどれぐらいひどい帰結をもたらすかの指標になる、基本再生産数R₀を雑に計算してみた*1。
2020年3月23日月曜日
セクハラや性暴力を減らす取り組みは、成果を挙げて来ている
ネット論客の青識亜論氏が「セクハラや性暴力を減らすというの、政治運動として結果を出しづらい・・・萌え絵や公共的な広告物をバッシングして取り下げさせるの、簡単に結果が出るので「成果としてアピールしやすい」」と言う、近年の法制度改革やその実効性の向上などを省みない、セクハラや性暴力の問題に関する強い無関心さを感じる主張を行っている。青識亜論氏が非難しているツイフェミも無視しがちなのだが*1、ここ30年間、社会風潮を含めて大きな改善が行われてきた。
2020年3月22日日曜日
ラディフェミは社会の価値観を書き換え、相容れない価値観は消し去る気だから
昨日のエントリーにネット論客の青識亜論氏にもらったコメントで、「現代社会は相いれない価値観の持ち主が共生しなければなりません・・・」と言うのがあったのだが、ラディカル・フェミニズムは「個人的なことは政治的なこと」と言うスローガンで、社会の価値観を書き換える運動を展開しているので、相いれない価値観と共生すべしと言う前提を共有していない事がよく理解されていないのが気になった。
2020年3月21日土曜日
飲食店従業員の新型コロナウイルス抗体検査と陽性時の休業補償はいかがですか?
兵庫・大阪で経路不明の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者が増えてきて、爆発的な感染拡大が危惧されている*1。対策として、兵庫と大阪の往来の抑制を呼びかけているのだが、もっと具体的な方法を考えるべきだ。学校閉鎖もする? — いやいや、感染者に学童や生徒が多いわけではないし、大きな効果量は望めない。飲食店従業員の新型コロナウイルス抗体検査と陽性時の休業補償はどうであろうか?
2020年3月20日金曜日
エロ可愛い格好は女性に有害
ネット界隈でフェミニストがメディアの女性表現を非難するのはよく見かける光景だが、主張が十分に整理されておらず、性的モノ化などの実は無関係そうな概念*1をよく理解せずに持ち出し議論を混乱させるので、ずっとマンガやアニメの愛好家を困惑させ続けている。フェミニストは気に入らない女性表現に難癖をつけているだけだと言うお気持ち説にたどり着かざるを得ないのだが、そのお気持ちの根源を探り根拠をつける事が不可能と言うわけでもない。
2020年3月19日木曜日
あるべき統治を考える『はじめての政治哲学』
民主国家の一般市民は、統治形態が民主制度であるべき理由をどこまで説明できるであろうか。民主制度を肯定できたとして、なぜ複数の民主国家が統合されずに共存しているのか、その理由を説明できるであろうか。昨年、文庫化されたデイヴィッド・ミラー『はじめての政治哲学』は、こういう現代の民主国家の政治制度を肯定的に説明してくれる本だ。網羅的に政治哲学者を紹介していくような教科書ではなく、読み物になっている。
2020年3月18日水曜日
新型コロナウイルス感染症の治療薬のニュースを見るときに心に留めておきたいこと
他の疾患のための認可済みの薬剤を、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に流用する試みが行われており、富士フィルムのアビガン錠(の中のファビピラビル)などの話がぼちぼちニュースに流れているのだが、効くと言っても特効薬とは限らないので注意したい。報道では効果量・副作用・被験者数について言及されていない事が多いし、研究や治験のどの段階かも強調されていないことが多いからだ。後で残念な結果が出てくることは十分あり得る。
2020年3月15日日曜日
サトウヒロシさん(@satobtc)、感染者数のピークを抑えるということは、感染者や死亡者数の延べ人数も減らすということだから
ビットコイン好きの個人投資家らしきサトウヒロシ氏が、ゆっくりとみんながコロナに罹ることによって感染者数のピークを抑えるピークカット戦略が最終的に破綻し、より多くのコストを払うことになると、ネット界隈の人々を煽っている*1のだが、出だしから変なことになっている。デマを流して楽しむにしても、もっと上手くやって欲しい。
厚労省に早々に打ち出して欲しい新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査キットの使い方
これまで日本では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染検査はRT-PCRで行われて来たのだが、手間隙時間がかかり、作業者によって精度が大きく左右される問題があった。ここに来てより簡便な免疫グロブリンを見る検査キットが輸入販売されだした*1のだが、昼間の報道番組のコメンテーターを含めて後先考えずに検査したい人々が一定数いるので、厚労省にはなるべく早く適切な使い方をアナウンスして欲しい。
2020年3月12日木曜日
ブラジル式新型コロナ・ウイルス感染予防法
2020年3月10日火曜日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策は、来月以降、何ヶ月も続ける必要があるのを忘れていませんか?
2020年3月9日月曜日
中国の未成年者の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率の低さは、学校が感染防止に役立つことを意味しない
ノロ・ロタ・インフルエンザ「新型コロナ・ウイルス(SARS-CoV-2)のせいで、商売あがったりですよ」
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で、感染症予防が徹底されてきたためか、ノロ・ウイルスやロタ・ウイルスを原因とする胃腸炎や、インフルエンザの発生件数が激減している。インフルエンザについては1月末ぐらいからぼちぼちと医療関係者がSNSで指摘していたのだが、国立感染症研究所の速報*1を見る限り、インフルエンザのみならず、ノロやロタなども巻き添えを受けているようだ。
2020年3月4日水曜日
なぜ女は昇進を拒むのか — 進化心理学が解く性差のパラドクス
所得などに関するジェンダーギャップに関して、ネット界隈のジェンダー社会学者の主張に困惑することは多い。彼らは、男女で能力や選好に違いがない事を前提に、ジェンダーギャップの原因のすべてを男女差別が起因だと主張しだしたり、男女の選好の違いは、メディアや教育などによってつくられた性別認識、つまり社会構築物に過ぎないから変えられると主張する。しかし、雇用機会均等法が導入・拡充されて久しく女子教育の高度化も長い間されてきたが、男女の振る舞いには依然として大きな違いがある。これは日本だけではなく、北欧も含む欧米でも変わらない。
2020年3月3日火曜日
グラビアに載ることで性的モノ化されたと言う石川優実さんの体験談を、青識亜論さんが読み落としている件
プロレスだったはずなのに*1、なぜか相互に人身攻撃をしている気がするネット論客の青識亜論氏と元グラビアアイドル/現ライターの石川優実氏の言い争いなのだが、青識亜論氏が「おおもとの発端はこれでした」と、石川優実氏のブログのエントリーを批判している昨年の自身のブログのエントリーを参照していたので拝読してみた。石川氏の作文も不明瞭でよくないのだが、青識亜論氏は石川氏のエントリーにある重要な情報を読み飛ばすことで、石川氏の主張にある論理の飛躍を大きくしてしまっている。