明治学院大学の稲葉振一郎氏が「因果因果いうようになったの割合最近」と言うツイートに、因果と相関の違いを気にするのは昔からでは無いかなと(やや意地悪な)リプライをつけてみたことから派生した議論なのだが、稲葉氏が途中で怒り出したために言及しそこなったポイントがあるので、リプライで指摘したことを繰り返すと同時に、言い損なったことを補足しておきたい。
2018年12月25日火曜日
2018年12月20日木曜日
喫煙者が不道徳な人間とされる理由
喫煙者は、一定時間経つと万難を排して喫煙を試みだして同行者を平気で待たせるだけではなく、喫煙後しばらくは自分がタバコ臭いことを自覚していないし、非喫煙者と同伴していても喫煙席に座るのが当然だと思っているし、吸い殻を排水溝に捨てたり公園の砂場に埋めたりするし、喫煙をしながら料理をつくって皿に灰が落ちても気づかないし、肺を煩って酸素吸入器をつけていても一服しだして火傷したりするものだ。こんな喫煙者たちを不道徳ではないと擁護するチャレンジャーが現れた。
2018年12月19日水曜日
ジェンダー社会学者が隠す恋愛観、結婚観
誰しも誰かに恋心を抱くもので、多くの人は私と違って何らかの恋愛経験を持つものだからか、恋バナは個人の主観が雑に入ったものになりがちだ。一週間前も、ジェンダー社会学者の澁谷知美氏が乱暴な言い回しで持論を主張し、炎上気味に非難されていた*1。会話が捩れていて澁谷氏だけが悪いとも言えないし、御題に対する結論の是非は何とも言えないのだが、澁谷知美氏が自身の恋愛観、結婚観を隠しているように思えたので指摘しておきたい。
2018年12月18日火曜日
「100の職業でどんな数学を使うのか」と言う表の奇妙さ
SNSでは何度か話題になって目の前を通り過ぎていてく図表があるのだが、改めて見ると何でこれが人気になるのであろうかと奇怪さに驚くことがある。
今日は読書猿氏の「100の職業でどんな数学を使うのか1枚の表にまとめてみた」の表をみたのだが、横列の数学の種類を見ていくと、暗算,基礎的な問題解決,集団問題解決,電卓の利用,ヤード・ポンド法,コンピュータの利用,科学電卓の利用とそれ数学なのか謎なもんが多数ある。数学的コミュニケーションはそれが何を意味するのか謎だし、公式の利用,基礎的な数学用語,数理モデルは項目に入れたらあかんだろう。公式と言うか定理が無い数学のカテゴリー、ちょっと想像がつかない。
2018年12月17日月曜日
スターリン — 「非道の独裁者」の実像
ネット界隈ではヒットラーと並ぶ人気のスターリンだが、ソ連の指導者であり暴力的で残虐な人であると言う漠然とした説明以外は、俳優の岡田眞澄と似ているぐらいしか知らない人は多いであろう。その悪行の詳細に詳しい人でも、なぜ名門の産まれでもなく、テクノクラートでもなかったのに出世できたのか説明できる人は多くは無いと思う。それで、どんなもんかを『スターリン — 「非道の独裁者」』を読んで確認してみた。
2018年12月16日日曜日
ジェンダー社会学者が、女性がサラダの取り分けをするのを嫌がる理由
かなり前からなのだが東北学院大学のジェンダー社会学者・小宮友根氏が居酒屋でサラダを取り分けるのが女性であることを問題視している。先日も、同じ趣旨の記事*1を書いていた。
曰く、サラダの取り分けが他人の世話と言う仕事、他人を補助する身分が下の人が実行する仕事の代表例であり、これを女性の担当とする習慣を容認することがジェンダー・ステレオタイプを人々に受け付けることになり、男女の性別役割分担に歪みが生じるそうだ。軽微なことが社会を構築していると言う思想。社会構築主義。ひとたび社会構築されると、人々はそれを前提にした人物評価や、それに対応した技能習得を行うので、自由に振る舞うようにいっても変化は生じない。
2018年12月14日金曜日
マクロン大統領を引きずりおろしてもフランスが進む道は変わらない
燃料税増税*1に端を発したフランスのデモと暴動「黄色いベスト運動」だが、増税延期になっても続いており、さらなる懐柔策*2が打ち出されても続いている。デモ組織者が明確なメッセージを掲げているわけではないが、マクロン政権の経済改革に対する不満が原因だと考えられている。しかし、不満をもたれている政策は、マクロン政権だからと言って出てきたわけではない。
2018年12月13日木曜日
社会学者は、違憲や違法と批判的レベルの理屈にならない運動家節を唱えるのをやめるべき
差別などを無くすための理由付けとして、それが違憲や違法と言い出す人々は少なくない。倫理学者ヘアの言う直観的レベルでは法律は守るべきだと言えるので、一般にその主張がおかしいとも思わない。しかし、この論法だと、合法だから正義、悪法も法と言う理屈も通ってしまう。法律や制度が倫理に叶っているかは、批判的レベルで検証せざるをえない。
2018年12月10日月曜日
外国人技能実習生の労災が多いのは、受け入れ企業の業種と規模が主因
朝日新聞が外国人技能実習生の労災死の比率と、日本の雇用者全体の労災死の比率を比較して、前者が多いと言う記事を書いている*1のだが、比較対象がちょっと雑なので指摘したい。
厚生労働省「技能実習制度の現状」を見ると、製造業、建設業、農業の中小零細企業での受け入れが多い事が分かるのだが、「労働災害動向調査」をみると製造業、建設業の中小零細企業の労災発生率が高いことが示唆される。業種と企業規模を制御すれば、日本の他の雇用者と比較して多いとは言えなくなるであろう*2。
2018年12月7日金曜日
ジェンダー法学会の被害告白はシンポジウムの内容に関係あった?
山口貴士弁護士が、ジェンダー法学会のシンポジウムで、"me, too"と宣言して不規則発言・演説をした女性を他の質疑応答の時間を潰した迷惑行為として非難し*1、他の参加者が被害告白を場違いと責めるのは不道徳*2、質問時間は残っていなかったから迷惑行為ではなかったと山口氏を批判し*3、さらに山口氏がいやいやもっと時間があったような反論をしている*4のだが、議論のポイントが忘れ去られているのが気になった。
2018年12月6日木曜日
社会調査でセンシティブな質問に正直に答えてもらう方法
人々の生活実態を探る一つの有力な方法にアンケート調査があるが、回答が漏洩すると回答者の不利益になりえるセンシティブな質問には、正直に答えてもらえない可能性が指摘される。たとえば、違法薬物を乱用しているかと言う質問に対して、調査員が警察に密告したら取り締まりを受けるので、本当は乱用していても回答者にはそれを否定しておく誘引がある。
2018年12月1日土曜日
凶悪犯罪は経済活動の邪魔になる
当たり前に思えるが、実データで観測するのが難しい社会現象は多い。例えば、凶悪犯罪は経済活動の邪魔になると言う話は、経済が悪くなると治安が悪化する効果も予想されることから、小うるさい経済学者が納得するような分析で裏付けることは難しい。しかし、上手い自然実験を探し出して、これを確認した人がいた。
文系の学生に数学を勉強させる方法
経団連が『ビジネスの現場ではシェアビジネスやデジタルマーケティングが広がり、統計などの知識が必要と考える経営者は多い。データを扱うために「最低限の数学」を学生が学び続けるよう求める』そうなのだが、そんな要請を大学側にする必要は無い。
渡辺真由子のマンガ・アニメ・ゲーム内の性的描写規制論を振り返る
ジャーナリスト/メディア・コミュニケーション学者の渡辺真由子氏が、著作の第6章が丸々が無断転載で剽窃にあたると批判されており*1、出版社が絶版・回収にいたることになった。渡辺氏はマンガやアニメにおける児童ポルノ規制を積極的に訴えることでネット界隈のオタクの皆様から敵視されており、また渡辺氏が剽窃を認め謝罪していないこともあり、容赦のない非難が浴びせられている。
2018年11月29日木曜日
現実はこんなもんだよねと納得できる『移民の政治経済学』
日本には名目はともあれ実態としては大量の外国人労働者が入り込んでおり、飲食店やコンビニなどで見かける機会は多いであろう。政府が何と言おうとも、国際基準で彼らは移民に分類される。これからさらに受け入れを拡大する方向になっているが、移民が何をもたらすのかについて、経済面に関しての議論が深まっていると言う感じはしない。
2018年11月28日水曜日
ジェンダー社会学の観点で反ワクチン派叩きを見ると
倫理学者の江口某氏が、社会学者の橋迫瑞穂氏(@_keroko)のコラーゲンを主成分とするゼリーから作るマシュマロを食べると美容によい*2と言う軽口に、偽科学批判批判をしている学者の態度としてよくないと苦言を呈していた。これ自体はそう目くじらを立てるほどでは無いと思うのだが*1、過去の橋迫氏のプチ炎上発言を検索してみたところ、反ワクチン派批判への批判を繰り返していた。ジェンダー社会学を学ぶと、こういう観点でモノを考え出すのだなと言う典型例になっていそうで興味深い。
2018年11月23日金曜日
従軍慰安婦は朝鮮に実質的にほとんど送金できなかった説の弱いところ
ネット界隈に限らずだが、左派の間に京都大学の歴史家、堀和生氏が唱えている「慰安婦が慰安所での稼働で一定の収入を得ていたことは事実であるが、占領地域から日本への送金には様々な規制があり、預金凍結措置によってその引き出しには厳しい制限が加えられていたので、(実質的な)利益を享受できなかった」と言う説*1が定着したようだ。信じている人は悪気はないのだと思うが、この説は脆弱な面があるので、もう少し批判的に検討する必要がある。
2018年11月21日水曜日
リンゴか恋人かの選択ができるのであれば、それと整合的な効用関数をつくることができる
朝日新聞の『(経済気象台)行動経済学は「学」か』が経済学徒の困惑を呼んでいる。「第一線で活躍している経済人、学者ら社外筆者」が書いているはずなのだが、人間行動の観察は政治学の領分と政治学者でも言いそうに無いことを主張しており、経済学における効用の理解も変なことになっている。
マンスプレイニングを語る前にフェミニストに知って欲しいこと
勘違いおっさんは、自分が学んだこともないことを、男性の専門家にも偉そうに説教をする。
武蔵大学の北村紗衣氏がフェミニストらしくジェンダー論の通説に沿ってマンスプレイニングについて解説している*1のだが、ジェンダー論の通説らしく体系的に統計をとった結果の話では無く*2論者の個人的体験談を超える根拠があるわけではなく、論が粗いのが気になった。
ハンガリーでジェンダー論の修士課程が規制される
ポピュリストとして名高いハンガリーのオルバン首相が、科学ではなくてイデオロギーだからと言う理由でジェンダー論の修士課程を禁止した*1。もともと入学者数が少なく、既に在籍している学生は適応除外されるが、ハンガリーの左派は、学問的に問題で、民主主義社会では前代未聞であり、ジェンダー論は(女性の?)雇用につながっていると反対している。
2018年11月19日月曜日
ある社会学者の卵の広島・長崎への原爆投下正当論について
韓国のヒップホップグループ防弾少年団(BTS)が1年前に着ていた原爆Tシャツを擁護するために*1、ネット界隈のフェミニスト2名が広島・長崎への原爆投下を正当なものだと言い張り出し困惑が広がっている。
2名のうち1名、シュナムル氏の方は2年前と逆の主張になっていると指摘されており、ネトウヨの皆様の逆を張った気になっているだけだと思うので、社会学者の卵の古谷有希子氏の方の主張を見てみよう。
2018年11月18日日曜日
外国人技能実習制度の機能しない不正対策
安倍内閣が外国人労働者の受け入れ拡大の方向性を示したせいか、ここ数日、ネット界隈では長い間、実質的にそれとして機能してきた外国人技能実習制度の問題に注目が集まっている。
外国人技能実習制度は、日本にある技能、技術又は知識を開発途上地域等への移転を図るための国際協力が目的・趣旨だったはずなのだが、農業など単純労働者が不足している業界で開発途上国などの外国人労働者を雇う方便に使われている制度だ。2002年頃から不正が増加して来たと言われている*1。
2018年11月17日土曜日
解析学のさくらんぼ計算
小学校によっては桁上げのある足し算で、さくらんぼ計算なる小技を教えているらしい。7 + 5 = (2 + 5) + 5 = 2 + (5 + 5) = 2 + 10 = 12と言うような、回りくどい方法。
一桁同士の足し算45パターン全ての暗記をせずとも、合計して10以下になる足し算のパターン24を覚えれば桁上げ演算を行なうことができる省メモリ手法*1ではあるが、足し算に習熟した学童には回り道でしかないし、学童によっては余計に混乱するそうなので*2教えない方が良い。
2018年11月16日金曜日
ドイツ政治が何となく分かってくる気がする「アデナウアー — 現代ドイツを創った政治家」
日本ではビスマルクからヒットラーまでドイツ近代史は人気なのだが*1、ネット界隈で現代史が言及される事は相対的に少ない。同じ敗戦国として日本と比較することがあるぐらいであろうか。ドイツは欧州の経済問題の元凶のように言われることは多く、現在のドイツの政治体制の原型が出来たのは時期なのだが、不人気だ。
日米安保条約がそのままでも北方領土に米軍基地を設置させない事はできる
プーチン大統領が日米関係に揺さぶりをかけているだけな気がするのだが、北方領土の返還条件に北方領土に米軍基地を設置しないことを日米で合意することが求められているそうだ。日米安保条約は「米国が日本のどこにでも基地を置くことを求められる」ので、日米安保条約の改正がいるような話をしているメディアがある*1のだが、日米地位協定を読む限りではそんなことはない。
2018年11月10日土曜日
あるジェンダー論研究者の英語読解能力が示唆するもの
江口某氏が小松原織香氏の『性暴力と修復的司法』の第4章の引用元文献の原文と小松原氏の邦訳を比較して誤訳だらけだと批判している*1。簡単なものから訳せと言われたらちょっと悩みそうなものまであるので、英語のトレーニングとして何ページか目を通してみよう。私も語学力が無いので、こういうの反射的には理解できないんだよな…と小松原に同情せざるを得ないが、まぁ、よろしいとは言えない。
2018年11月8日木曜日
貨幣が語るローマ帝国史—権力と図像の千年
ネット界隈で貨幣の起源に関する話がたまに流れているのを見かけるのだが、追いかけるとだいたい胡散臭い。先日も『貨幣が語るローマ帝国史』に、古代ギリシャや古代ローマではインフレを防ぐために硬貨に意匠を掘ったような事が書いてあると言うツイートを見かけて確認してみたのだが、そんな事は書いていなかった。
2018年11月7日水曜日
ゲーム制作で女性キャラクターの多様化の流れがあるとまでは言えない
Twitterの凍結から復活を遂げたデザイナーの森次慶子氏が『欧米では「男性キャラクターは多様な体型で描かれ、女性キャラクターは常にセクシーな体型で描かれるのはおかしい。」という問題提起があり、ゲーム業界もその意見をとり入れる流れ』と主張していた。
不細工だったり、太っていたり、年老いていたりする女性キャラクターは確かに少ない。参照されていた動画では、この傾向が若く美形ではない女性が社会に不要に思わせ若者に悪影響だと主張しているので、広義する人々に確かにいるのであろう。しかし、そういう流れがあるかは、今後のタイトルを注視しないと結論は出ない。
2018年11月6日火曜日
女の子を理工系の研究者にしたい人々に、女性研究者の伝記を薦めたい
ここ一ヶ月間ぐらいジェンダー論を学んで来た人々が、科学に関するインタビュー記事の先生役と聞き手の性別や設定で、それを読んだ女子生徒の進路が定まるような話を展開しており、その雑な議論がネット界隈から非難を受けている。影響があるかないか分からない創作物の配役を気にするよりも、理工系の学問の楽しさや魅力などを伝える方がよほど効果がありそうなのだが、そういう発想には至らないようだ。
2018年11月5日月曜日
韓国は徴用工問題も騒ぎ立てるだけで解決を目指さない
強制性の無い官募集と官斡旋、徴兵と同じく強制の徴用を全部まとめて「徴用」としてしまう語義曖昧論法*1で、新日鉄住金の戦時中の朝鮮人の使用は、徴用でも強制連行でも無い気がするのだが、最高裁にあたる韓国大法院は新日鉄住金に“元徴用工”への損害賠償を命じて、事前の予定通りではあるが、日韓の軋轢がさらに高まっている。
2018年11月4日日曜日
フェミニストの小松原織香さんにも社会調査を真面目にとらえて欲しい
フェミニストの小松原織香氏(font-da氏)が江口某氏の「EUの女性に対する暴力の調査はすすんでるなー」への返信「[性]性暴力・DV被害の実態調査の記事の追記」を返しているのを傍目で見ていて、気になる点が幾つかあったので指摘しておきたい。統計学に関する初歩的な誤りが2つあり、小松原氏が社会調査を拒絶するために援用している仮説に脆弱さがある。
2018年11月3日土曜日
朝日新聞で紹介されたネット右翼の実態調査に関して注意すべきこと
大阪大学の辻大介氏へのインタビュー記事が朝日新聞に掲載されていて*1、ネトウヨの皆様がどういう存在なのか論じているのだが、そこの操作的定義に注意すべきことが幾つかあるので指摘しておきたい。厳しい判定基準のためにネトウヨを自認する人すら漏れる可能性があるし、65歳以上を調べていないため高齢者の動向は追いきれていない。
2018年10月31日水曜日
夫から殴られても暴力を受けたと認知しない妻の割合
一昨日のエントリーで、怒鳴ったり、ちゃぶ台を返したりするのではなく、夫に殴られた事を暴力だと認識できない妻は日本にはいないのでは無いかと書いたら、申告数の何倍もの数がいると言うかのような反応が返ってきたので、実際にどれぐらいいるかを確認してみた*1。いないと言うのは大袈裟だったが、申告数の1割弱~4割弱ぐらいに留まるようだ。欧州の方が日本よりも殴られた事を暴力と認識する程度が高い余地は多くない*2。
オタクの皆さんにも、公共空間はどうあるべきかを考えて欲しい
ちょっと無理のある萌え絵批判が編集者の岩渕潤子氏からされている。その主張の問題点はネット界隈のオタクの皆さんが指摘していて概ね正論なのだが、岩渕氏の主張を上手く拾えていない気がする。萌え絵を見るとイタリアでのキャットコールを思い出すと言う話や、萌え絵の女性の身体特徴は整形手術を行なう風俗嬢と同じく客に媚びていると言う話*1に、思いやりの原理を過剰に働かせて、岩渕氏の萌え絵批判の論点を整理してみたい。
プログラマも、そうでない人も、手にとってみて欲しい「白と黒のとびら」
ここ十年間ぐらいで数学ラノベ的な本は何十冊も出ているのだが、小説としてのクオリティを持ちつつストーリーの鍵に数学を取り込めたものは殆ど無い。登場人物間の会話のコンテクストとしてのみ数学が使われているライトノベル、説明される数学の内容と乖離したストーリーが他作品の雑な模倣に思える人物設定で展開される学習ガイドと、人気作品でも求める水準とは言えない。
2018年10月29日月曜日
日本では女性への暴力は少ないと言う調査結果に困惑するフェミニスト
ask.fmで紹介されて拝読したのだが、大阪府立大学人間社会学研究科で学位を取得したフェミニストの小松原織香氏(font-da氏)が、「女性に対する暴力被害は、EUと比較すると、少ない。暴力の形態に限らず,EUのほぼ半分である」と言う龍谷大学の津島教授と浜井教授の調査結果*2に困惑をして難癖をつけていた*3。フェミニスト vs 犯罪社会学と言うのが興味深いが、それはさておき難癖になっていることを言及しておきたい。
2018年10月27日土曜日
ポストモダン思想の流れを汲むジェンダー社会学者の弁は詭弁だらけ
社会学者の小宮友根氏は朝日新聞記者の丹治吉順氏に延々と、過去にジェンダー・ステレオタイプだと問題にされた広告と、NHK NEWS WEB上のページ「まるわかりノーベル賞2018」におけるキズナアイの利用の類似性を主張し、最後は面倒になったらしい丹治氏がそういう事は論文を書いて学会で報告しろと言い出して終わりになる言い合いがあった*1。よくあるSNSの光景なのだが、小宮友根氏の主張は詭弁なので指摘しておきたい。
2018年10月26日金曜日
女子の理工系進学は、必ずしも彼女の利益に叶うわけではない
理工系に分類される学問に興味があって進学したい女の子を止めるべき理由はほとんど無い*1のだが、どっちでも良いな~と思っている人をナッジして理工系に放り込むのは止めた方がよいかも知れない。講義や実験がきつい、そして私学ならば学費も高めと言うデメリットがあるのだが、それらに見合う対価が得られない可能性がある。
2018年10月24日水曜日
個人の経験に頼ってマンガやアニメやゲームを語ると抜けが出る
サブカルチャーなど気軽に語ればよいと思うが、身近に接することができるものだけにアタリマエのことが見逃されがちのようだ。
昨日もポストモダン擁護者の一八世紀科学技術史研究者が、新世紀エヴァンゲリオン(1995年~)までは少女キャラは戦いでは役立たないヘタレだった論*1、米オルタナ右翼がジャパニメーション好きで、それに影響されて日本人女性好きである論*2を展開していた。
2018年10月23日火曜日
ジェンダー論をやっている社会学者にも「マンガ 化学式に強くなる」を読んで欲しい
そして発狂して欲しい。
ある秀逸なエントリー*1を眺めて興味をもって「マンガ 化学式に強くなる―さようなら、「モル」アレルギー」読んだのだが、面白かったので紹介したい。日本のポピュラーサイエンスの雄、講談社ブルーバックスの一冊なので同人本ではない。中学生向きなのだが、オトナにも3つの意味で懐かしいと思う。
2018年10月22日月曜日
オカルト化する日本の教育—江戸しぐさと親学にひそむナショナリズム
「オカルト化する日本の教育」は、江戸しぐさと親学の発生から普及の経緯、関係者のモチベーションを整理し、教育現場にに浸透した理由を考察した本だ。
江戸しぐさの部分は著者・原田実氏の前著*1のおさらい感があるが、江戸しぐさと親学の関係や、これらを普及促進しようとしている集団についての説明がある。TOSS/日本会議/「生長の家」系の右派社会運動家といかにもと言う名称が並んでいた。
2018年10月20日土曜日
最高裁「裁判官は担当外の裁判であっても安易にケチをつけるな」
Twitterでの発言に関して分限裁判にかけられていた白ブリーフこと岡口基一裁判官への処分が確定した。SNSでよく発信している弁護士は概ね岡口氏の支持者であり最高裁の判決を非難しているようだが、全員一致の最高裁判決なので無碍にはできない。法曹界の究極のお偉いさんの思考形態を検証する価値はあるはずだ。岡口氏自身が分限裁判の決定理由の書面をアップロードしているので、素人ながら中身を確認してみたい。
2018年10月19日金曜日
きちんとした批判をするための『哲学思考トレーニング』
ネット界隈で調子にのって誰か/何かを非難したら、炎上案件になってしまうことは多い。褒める事をよしとし、貶す事を避けるべき*1なのだが、それでも何か言いたいときはあるものだ。炎上リスクとネガティブ自己表現のトレードオフとも言えるが、批判の仕方が分かっていれば炎上リスクをかなり抑制できる。伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』を読んで、きちんとした批判の仕方を学習しておこう。
2018年10月18日木曜日
藤原興「低賃金カルテル」説の弱いところ
ネット界隈で「低賃金カルテル」なる言葉を見かけるようになって久しい。運動家の藤原興氏によるとついったーらんどで出来た造語だそうで、氏はその存在を確信をもって主張している。この藤原興流の低賃金カルテル説が、どの程度強固な主張なのかを考察してみた。結果、学者の説ではないので脇が甘いのは仕方が無いが、経験的にも理論的にも説得力は低いように思える。
2018年10月16日火曜日
野党がなぜ軽減税率の不合理を騒がないのかというと
作家で投資家のやまもといちろう氏が「野党はなぜ消費税増税や軽減税率の不合理を騒がないのだろう」と書いているのだが、民主党政権時代に増税は決めていて消費税増税を不合理とは言えず、2015年の世論調査だが有権者の7割以上が軽減税率に賛成*1で、声高に*2反対を主張すると野党支持率の低下が予想されるから、答えは自明のように思える。
2018年10月15日月曜日
千田有紀さん、社会学の会話分析の知見からも、女性の相槌はジェンダーロールとは言えないのでは?
炎上時に焦って弁解をすると、おかしい言説を重ねてしまうときがある。先週の社会学者・千田有紀氏の炎上記事の追記を見たところ、社会学の会話分析の研究を示唆しつつ『(相槌)は、従来「女性」に与えられてきた役割』と主張しているのだが、一般に観察される現象からも、(よく知らないのでこちらは誤解な気もするが)社会学の会話分析の知見からも、何かおかしい事になっている。しかも、会話分析と言う専門性の高い分析結果に言及しているのに、参照した文献すら挙げられていない。
ポンタくんたちを効率賃金仮説で説明すると
ネット界隈はやりがい搾取に敏感だ。先日も無償労働を美徳とする道徳の教科書がケシカランと言うツイートが流れていた。しかし、そこでは狸のポンタくんたちがタダでも働かせて欲しいと懇願しているのだが、ポンタくんたちが被害者とは限らない気がしてならない。
経済学にはシャピロ・スティグリッツ・モデル*1と言う有名なモデルがあって、賃金をゼロに置いたときに何がおきうるかと言うのを教えてくれる。そこでの状況を考えると、むしろ経営者の方に危機が迫っているようにしか思えない。
2018年10月14日日曜日
社会運動家「みんな労組に加入して賃上げ要求しろ」「富裕層にはもっと課税しろ」
社会運動家/聖学院大学人間福祉学部客員准教授の藤田孝典氏が、なぜか株式会社ZOZOの社長と従業員を狙い撃ちにして富裕層への課税強化と労働組合への加入と労使交渉を呼びかけ、批判を受けている*1。
論点が見えづらいのだが、マルクス経済学用語とちょっと下衆なデモ隊ノリのスローガンに違和感があり、株式シェア3%以上保有する創業者などが受ける配当に対する課税は総合課税になるためZOZOの社長はかなりの実効税率で納税している*2ので、豪遊していることは非難には当たらないと言うところであろうか。
2018年10月13日土曜日
海外の女性キャラクターの露出度規制論争
キズナアイ騒動に関連して、海外では女性キャラクターの乳房の線を描いたら年齢制限のレイティングが上がる*1と言う話をデザイナーの森次慶子氏が言い出し、案の定、反例を投げつけられて炎上していた*2。映画「ロジャー・ラビット」のジェシカ・ラビットあたりは、所謂えろい格好のおねーさんを絵にしているが、確認する限り映画はR指定はされていなかった。