これまで名誉毀損で何回も問題になり、虚構を含めた情報を拡散させるなどしてクルド人への憎悪を煽っていると非難されている、ジャーナリストの石井孝明氏が出した埼玉県の外国人検挙率の数字を参照し、「リベラルや反差別を掲げる人々」は「統計的根拠に基づいて差別をすることを肯定するべきかどうか」「答えなければならない」と主張しだした人がいるのだが、その前に石井孝明氏の出した数字がミスリーディングなものでないか検討する必要があるので指摘したい。
埼玉県議会における野井祐一警察本部長の話から計算したのだと思うが、このように言っている。
川口市内の2警察署における昨年の刑法犯と特別法犯を合わせた外国人の総検挙人員は206人、前年比プラス55人であります。
特別法犯には「覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反、軽犯罪法違反、出入国管理法違反、銃刀法違反等」などがあるそうだ。なお、外国人技能実習生が(待遇が悪すぎる)研修先から逃走すると、出入国管理法違反になったりする。
こういう数字は、日本人が危険な状態に置かれているという主張の傍証のために参照されやすい。しかし、出入国管理法違反は役所にとって迷惑ではあるのだが、一般の日本人に危害を加えているとは言えない違法行為だ。石井孝明氏の出した数字をこういう留意点に無頓着に参照すると、ミスリーディングなことになりかねない。
なお、こういう数字は他にも留意点がいる。率を出しているときは、分子の部分にインバウンド客の迷惑行為も含まれている一方で、分母の方は在留外国人だけの人数になっていることが多い。実際、石井孝明氏が出した数字を参照して非難された人が、改めて数字をつくりなおしたときに、この間違いを犯して非難されていた。
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