2025年4月29日火曜日

フジテレビと中居正広の件は、裁判で有罪になる前でも、悪事があったと看做してよいケースだったよ

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今年の1月に表自界隈のネット論客が「フジテレビも中居さんも松本人志さんも、全員、刑事判決が確定したわけでもないにもかかわらず、性犯罪者(不同意性交等罪)があったみたいな言説がこんだけ流通してるのはやりすぎ」と言うような主張を繰り返しツイートしていたのだが、3月31日の第3者委員会の報告書が出た後はこの話題に触れていなかった。

不同意性交等罪になるかは分からないが、何らかの猥褻行為があったと看做してよい条件は満たしていた。中居正広氏の件については、(金額は誤報であったようだが)高額の慰謝料が支払われたと不法行為があったと信じるべき情報が週刊文春から出ていたこと、中居氏から文春の報道を否定する声明が出ていなかったことから、むしろ何も無かったと考えるのが難しい。松本人志氏は、当初、名誉毀損による損害賠償を求めて裁判を起こすなど、週刊文春記事を否定していたが、訴えを取り下げてしまったため、文春の報道内容に真実相当性がある極めて高い蓋然性が示された。大物芸能人と芸能人化した女性アナウンサーの問題であるが、国内外の芸能界で似たようなセックス・キャンダルは生じており、フジテレビ組織の関与も疑わざるをえない。狂言事件もあるので、未決の事件について外部からとやかく言うのはよくないが、1月の時点である程度は決していた。

当時、中居正広氏、松本人志氏への非難や番組降板、フジテレビのスポンサー企業のCM見合わせをキャンセルカルチャーだと抗議していた人々もいたが、中居・松本・フジテレビへの社会的制裁が良くない行為であるとするのは難しい。人気商売で高感度は業務に密接関係があり、キャンセルカルチャーと看做すべきかどうかは難しいところだが、中居・松本両氏はタレント活動が不能になり、中居氏は引退。松本氏も、現在もまだ復帰に苦労をしている。しかし、言論の自由の抑制にはなっておらず、また、第三者委員会による調査に消極的であったフジテレビの方針を変えたことから、社会的に大きな意義もあるボイコットであった。

推定無罪の原則やキャンセルカルチャーの害といった直観レベルの道徳では判断できない問題もある。中居・松本・フジテレビへの非難を批判する声は、表現の自由戦士界隈から見られたものだが、稚拙で単純な倫理観を示していた。まったく信憑性のない狂言を信じてデモを実施する人々よりは慎重に判断する方がずっと良いわけだが、常にそうするのが最善とは言えない。

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