中国人の外国免許切り替えが話題になっており、「保守」界隈では中国人の外免切替自体を規制しろと言い出す人もいる。中国は道路交通に関するジュネーブ条約に入っていないので、中国の自動車免許取得者は交通ルールを理解していないと考えているようだ。しかし、これは短絡的な考えだ。中国の免許保有者は、アメリカの免許保有者などよりずっとマシなドライバーである蓋然性が高い。
外免切替は、外国で自動車免許を取得したことを持って、日本の自動車免許を交付する制度。日本の自動車免許保有者は外免切替自体で中国の道路を運転できるのだが、相互主義の観点から、中国人の自動車免許保有者も外免切替自体で日本の道路を運転できるようになっている。ジュネーブ条約に入っていない中国の免許が信頼されているのは、この理屈だ。なお、中国人は外免切替で交通知識と実技を軽く確認される。
安全面が気になるが、制度的には中国はしっかりしている。現在の中国の自動車免許制度を確認すると、教習所に通って訓練したあと、ペーパー試験を受けて取得するようになっている。日本を参考したのだと思うが、日本とよく似た制度だ。ジュネーブ条約に入っているアメリカを見てみよう。州によって制度が異なるが、教習所などはない。試験一発か、それに短時間の講習があるぐらいになっている。
日本において中国人が危険なドライバーであると言うこともない。令和5年(2023年)の数字で、日本における日本の免許を保有する中国人ひとりあたりの事故件数は0.00484で、これは外国人全体の0.00547より低い*1。日本人は0.00343でそれよりは高いが、日本人はペーパードライバーが多く一説には4割がそうだ。分母を6割にすると0.00571となり、中国人よりも相対事故件数が多くなる。
制度的、経験的に中国人の外免切替を危険と看做すべき理屈はない。住民票がない中国人の運転を規制しようと言う動きがあるのだが、それも安全面から言うと正当化はされない。国際免許で運転するアメリカ人の方が制度上はリスクが高いからだ。
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