SNS男女論界隈では、ここ数年でフェミニズムが急速に支持を失ってきたと言うような主張が、フェミニズム批判者から見られることがある。𝕏/Twitterでの議論では勢いが無くなっているようだ。しかし、日本全体で見るとそう大きな変化はない。
世論調査の結果を参照して、男女共同参画推進派フェミニストが数を減らしているという主張もあったりするのだが、これは解釈に難がある。
フェミニズムは女性の権利拡大・地位向上運動の総称だ。1990年代以降の政策では、男女雇用機会均等法の拡充や、セクハラや性暴力を減らす取り組みが成果を挙げて来ている*1。一方、フェミニズムを謳った主張は米国でも流行らなくなっているし*2、日本の男女共同参画云々も国民の広い関心を集めているわけではない。ここまで成果はあげてきたが、思想としては長期低落傾向。過去にそうであっても目標を達したと考えた人々は、フェミニストでなくなるからだ。
フェミニズム批判者から見ていた世論調査の数字を検討しよう。令和6年の「国民生活に関する世論調査」では、問20の「政府に対する要望」の項目24の男女共同参画社会の推進にチェックが入っている比率だ。問20は選択肢が32あり、多肢選択式でいくつチェックつけても良い。
この調査から、男女共同参画推進への支持が減ったと看做すことは、やや無理がある。なぜならば、「男女共同参画社会の推進を支持しますか?」と言う独立した質問があるわけではないので、問題関心の大きさを表しているだけの蓋然性が高い。「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年9月調査)」を見ると、色々と具体的な要望がある人の方はずっと多い。項目によっては6割超。問題関心があっても、現状の政府政策で満足していればチェックを入れないかも知れない。
そもそもフェミニズム批判者が言うほど、そもそも変動が大きくない。女性全体で見ると2010年から10%弱ぐらいで推移しており大きな変化はない。20代は上下が大きく、2018年から2021年が高くなったかなと言う印象があるが、2010年と比較してまだ高い。20代女性の数字をプロットしなおしてみよう。
あわせてプロットした少子化対策など、問題が解決されず状況に変化が無いものでも上下する。報道などの影響が大きそうだ。男女共同参画社会の推進に関しても、同様ではないであろうか。
0 コメント:
コメントを投稿