2025年3月25日火曜日

ドナルド・トランプとオリガルヒのお金

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トランプ大統領が非難している先に自分が嫌いなものがあると、我が意を得たりと親近感を抱いて熱心なトランプ支持者になる人々がいる。しかし、トランプ氏の過去の虚言の多さから考えて、深く考えないタイプのおっさんの放言でしかない。一貫性があるのは、親ロシア政策ぐらいだ。

有権者がロシアよりと言うことではない。世論調査では有権者の52%がウクライナ側につくと答え一方、ロシアを支持した人は4%に過ぎなかった*1。アメリカは世界の警察官である負担に耐えられなくなったと言うストーリーで説明する識者もいるが、軍事的・経済的負担がほとんど無いロシア非難をやめている。対ロシア制裁の解除に一貫して努力してきている。特に、ロシアの新興財閥オリガルヒへの規制緩和になる政策に熱心だ。

第一次トランプ政権は、2019年1月にはロシアの企業や個人への制裁を解除した*2。第二次トランプ政権も、対ロシア制裁の解除を模索する作業部会を設置し*3、オリガルヒ制裁の作業部会を解散した*4。さらに、バイデン政権のときに成立したマネーロンダリング規制強化策を実行しないと言っている*5。これはロシア人が第三者名義で、米国の不動産を買うのを困難にするものだ。さらには、米国市民権を金銭で売る制度をつくり、オリガルヒがそれを利用することを否定していない*6

トランプ氏はビジネスが上手いほうではなく、何度も事業を破産させている。しかし、米国の金融機関との取引が不能になった2004年に、ロシア資本とのパートナーシップで生きながらえた*7。一連の取引は、トランプ氏に有利なものであったとされる。金融危機で不動産価格が急落していた時期の2008年に、ロシアの億万長者ドミトリー・リボロフレフ氏に、4000万ドルで購入した6エーカーのパームビーチの不動産を1億ドルで売却し、2008年竣工のトランプ・ソーホー*8では、トランプの名前を冠することだけに18%もの株式資本の持分が認められた。

成功体験から、ロシアに好感を持っていると言うだけの話とは限らない。トランプ氏の事業が上手く行っているのかは常に疑いの目で見られている。実際のところはトランプ氏の申告の倍の負債を抱えており、純資産は大きなものではないと報じられている*9し、大統領選挙における資金不足も富豪のイーロン・マスク氏の政治献金で解消していた。リアリティー番組の出演によって作り上げたイメージとトランプ氏の実像はかなり異なる。オバマ政権とバイデン政権で困難になったオリガルヒとのビジネスの再開を望んでいたとしても、不思議は無い。

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