2023年12月6日水曜日

杉田水脈のアイヌ活動家蔑視の問題点

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自民党の杉田水脈衆院議員が、動画でアイヌの特定個人をごろつきと中傷したと報道されている。2016年にブログのエントリーで、国連女性差別撤廃委員会でアイヌの民族衣装を着た人をコスプレなどと揶揄し、それが2023年9月に非難を浴びて、札幌法務局に人権侵犯があったと啓発されていた。また、アイヌ文化振興事業を公金チューチューと言って、非難もされた。

1. 発言自体はアイヌ活動家への非難

杉田水脈議員に民族差別だと非難が集まっているのだが、それに従事しているアイヌ活動家への非難なので、アイヌ蔑視とは言い難い。少数民族の活動家が嫌いなだけかも知れない。しかし、政治家が好き嫌いだけで話をするのは奇妙である。アイヌ文化振興事業への反対姿勢をあらわしているのかも知れない。過去のブログのエントリーから、杉田氏はアイヌ文化振興事業に反対であることが推察できる*1。すると、是非はさておき、もう少し意味のある主張にある。

2. 本音はアイヌ文化振興事業反対?

コスプレは政治運動のときしか民族衣装を着ないことを揶揄し、実態としてアイヌ文化など途絶えていることを主張しているのかも知れない。杉田氏がコスプレと揶揄していた国連女性差別撤廃委員会での写真を拝見したのだが、帯をしないで着物をシャツやセーターの上から羽織るという中途半端な格好になっていた*2。悪意をもって見れば、ちゃんとした着方が分かりません感がある。公金チューチューは、アイヌ文化振興事業が目的のために機能しておらず、事業従事者の所得源にしかなっていないという主張かも知れない。アイヌ文化振興事業の関係者を、ごろつき、品格に問題がある、同じ空気を吸いたくないなどと侮辱したのも、アイヌ文化振興事業への非難を表したものかも知れない。

3. 言いたいことははっきり主張しましょう

しかし、かも知れないだらけになってしまう。これが問題だ。侮辱になりうることは言わないようにしましょうと言う以上の賛否を考えることができない。アイヌ文化振興事業を批判しているのであれば、どちらも同じ日本人を構成する民族なのだから、ヤマトの文化振興と同様に、アイヌの文化振興も行わなければ衡平性に欠ける、長らく途絶えていたアイヌの文化の復興事例もあるし、少なくとも民族行事は実行するだけで継承・記録にはなっており、実際に動画が公開されていたりするなどと反論を加えたいところなのだが、杉田氏がそもそもアイヌ文化振興事業に反対を表明するために、アイヌ活動家を蔑視した発言をいているのか確信が持てない。

本音を隠して蔑視発言をしても建設的な議論につながらない。本音が他にあるのであれば、もっと態度を明確にすべき。所属している自民党の方針と対立するので、歯切れが悪いのかも知れないが。

*1杉田議員のアイヌ民族、アイヌ政策への言及を探したのだが、特段、目立つものがない。アイヌ民族を日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住していた民族であると認めた決議に関して、「琉球がアイヌの二の舞にならないように守らなければなりません。」と言っているので、先住民族と認めるのには反対だったようだ。決議によって「「人種差別撤廃条約」に基づいて「先住民族に対する法整備や政策(箱物の整備等)」を次々と行わなければいけない」と指摘しており、アイヌ政策関係予算について「31年度当初予算と30年度第二次補正予算合わせて120億円!昨年は大きな震災に見舞われた北海道。これにはちょっとビックリしました。」と肯定的とは言えない言及がある。

*2現場(国連)に行けば、みんな繋がっていることがよくわかります。の画像

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