東部から南部の広い地域で、ウクライナ軍はロシア軍の防衛線を突破しようと試みており、ロシア軍は遅滞戦術で対抗している。
反転攻勢開始から10日ほど経過した現在では、ウクライナ軍の被害が目立つ状況になっている。ロシア軍の攻撃ヘリによる遠距離攻撃が、ウクライナ軍の被害を増加させている*1。ただしウクライナ軍は、反転攻勢の主力とされる機械化旅団の半分以上をまだ投入していない*3。
ウクライナ軍としては、ロシアの防衛線全域に攻撃を加えることでロシア軍の戦力を拡散させつつ、目標が手薄になるのを待っているようだ。それが分かっているロシア軍は、占領地を犠牲にしてでも、防御線を短くして戦力の分散を防ごうとしている。ロシア軍はカホフカダムを破壊*2することで、ウクライナ軍がドニプル川を大規模に渡河することを不可能にした*4。カホフカダムの破壊でドニプル側左岸を中心に集落に大きな被害が出た他、南部へルソン州とクリミア半島の灌漑用水や生活用水が不足することなった*5。クリミア半島の水不足*6は、ロシアの大規模侵攻理由のひとつとされている。
今後の展開として、ウクライナ軍がどこに温存している戦力を投入するのかが注目される。
*1ロシア軍の攻撃ヘリが集中運用されているらしいのだが、そのうち米軍から供与された地対空ミサイルシステム(NASAMS)を持ってきて、撃墜してしまうかも知れない。
*2アーチ式ダムとはいえ、表面はコンクリートで補強してあったりするので、砲撃程度ではなかなか壊れない。占拠していたロシア軍が、内部通路に爆薬を仕掛けたと考えられている(Why the Evidence Suggests Russia Blew Up the Kakhovka Dam - The New York Times)。
*3ドニプル川を渡る主要な道路のひとつが復旧が困難な状態で絶たれたので、ウクライナ軍のドニプル川右岸からの進撃は不可能になった。少数の部隊が渡河することは可能だが、十分な兵力とそれらへの補給は無理。
*4How is Ukraine’s counter-offensive going so far? | Reuters
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