2023年8月1日火曜日

アメリカ人にとってマンハッタン計画の核実験は輝かしい栄光で、無差別殺戮を意味しないので

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

"Barbie"と"Oppenheimer"と言う対照的な映画が同時公開されて話題になり、まるで一つの映画かのように指し示す単語Barbenheimerができて、そのような映画があるかのようにイラストを描いたり、さらにTシャツや架空の動画のトレイラーを作成する人まで出ているのだが、TwitterのBarbieの映画公式アカウントがこのBarbenheimerを歓迎するようなツイートを行い、日本人からポリコレ違反だと非難を受けている。動画にピンク色のキノコ雲のトリニティ実験のシーンがBarbenheimerのイメージとなっているからだ。

人によっては不愉快なようだが、ポリコレ違反にはならない。アメリカの社会事情ではなく、その定義から。特定グループに不快感を与える表現がポリコレ違反と説明されることが多いが、挑発、侮辱、蔑視と看做される表現によって不快感を与えることがポリコレ違反だからだ。

虐殺行為からの生存者やその遺族の前で、虐殺を賞賛すれば無礼な侮辱行為と考えることができる。近年、一般市民を大量に巻き込んだ無差別殺戮と言う意味で、長崎と広島への原爆投下は非人道的行為であったと言う理解はアメリカ人にも浸透しているので、アメリカ人が日本人を「長崎!広島!長崎!広島!」と挑発すればポリコレ違反。韓国のアイドルグループBTSの原爆Tシャツも原爆投下を正当化するもので、確かに挑発的であった*1

マンハッタン計画はどうであろうか。マンハッタン計画なくして太平洋戦争での原爆投下はありえない一方、マンハッタン計画のもともとの目的を考えれば、原爆の実戦投入やその不適切な利用がマンハッタン計画で定まっていたとは言えない。アメリカ人からしてみれば、その後の冷戦などを考えても核兵器の開発は必須であったし、世界に先駆けて開発に成功したことは栄光だ。科学技術の金字塔。

バービーがマンハッタン計画に参加して、トリニティ実験でピンク色のキノコ雲つくりだしても、日本人を侮辱しているとは言い難い。『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』でも、トリニティ実験のキノコ雲が描かれていたが、日本人蔑視のポリコレ違反とは非難されなかった。栄光のマンハッタン計画に対して不敬で無礼だと、米国のタカ派の皆様が怒りして、これからポリコレ違反になったりするかも知れないが。

0 コメント:

コメントを投稿