元駐レバノン特命全権大使の天木直人氏が朝日新聞の策略にはまっている(オスプレイ配備を葬り去った朝日の大スクープ)。オスプレイが米海兵隊の存続をかけて開発した 輸送機なので、本当は機体不良が原因で事故が起きたのに、米空軍の事故調査委員会が握りつぶしたと言う論調。
残念ながら三日前に、朝日新聞がソースとするドナルド・ハーベル退役空軍准将が産経新聞に対して以下のように語っている(産経新聞)。
過去の(試験飛行段階での)事故が機体の故障によるものだったからだと思うが、改良を重ねた現在は他のどのヘリコプターよりも安全だ。
2012年4月のモロッコの事故は対流速度計を確認せず、2012年6月のフロリダの事故は僚機に接近しすぎだったとも述べている。2010年4月のアフガニスタンの事故は、エンジン故障の可能性があったが、それを断定する証拠を見つけられなかったようだ。
なお、MV-22オスプレイのクラスA*1事故率が1.93だが、普天間基地でオスプレイが代替するCH-46の通算事故率は5.74に達している。
6 コメント:
オスプレイはまだ実戦配備が少ないので事故率の比較をCH-47と行うことは妥当性があるのかどうか疑問です。「朝日新聞」に、今後実戦配備が進めば事故率が上昇するのでは、という記述があったような気がします(「気がします」という曖昧な表現で大変申し訳ありません)。
また毎日の記事(http://mainichi.jp/area/news/20120722sog00m040006000c.html)ではリボロ氏の主張として「CH46よりは安全」「めったに起こり得ないが二つのエンジンが同時に故障した場合、コントロール不能になって大惨事になる。日米両政府はこのリスクを認め、日本国民に誠実になるべきだ」という意見を掲載しています。
そもそも住宅密集地に隣接している軍事空港という存在自体危険極まりないことです。その上新しく配備される機体が安全性の問題を抱えているとしたら、それに危惧を表するのは当然のことであると思います。イデオロギーの問題とするのは、それ自体イデオロギッシュであると思います。
>>高橋良平 さん
10万時間が一つの目安のようですが、MV-22は既にそれは超えており、また生産数も100機を超えていて少なく無い数です。
> めったに起こり得ないが二つのエンジンが同時に故障した場合
エンジン全停止で滑空など以外できなくなるのは、全ての航空機に共通する特徴ですね。
ヒースロー手前でエンジン全停止で墜落したブリティッシュ・エアウェイズ38便事故や、ハドソン川に墜落したUSエアウェイズ1549便が記憶に新しいところです。
> そもそも住宅密集地に隣接している軍事空港という存在自体危険極まりないことです。
ここも誤解が多いのですが、普天間飛行場自体は問題ないのです。
実は市街地への距離は伊丹空港と大差なく、年間離着陸件数は伊丹空港が10万回、普天間飛行場が7万回となっています。
伊丹空港は3,000m、普天間飛行場は2,700mの滑走路がありますが、伊丹空港に来るB777-300型機は2200m弱必要ですが、普天間飛行場に配備されるMV-22は中間モードで500m弱しか必要ないです。
CH-46、CH-53、AV-8Bなど飛んでいる機種が危ないのですよ。
uncorrelatedさん。
早速の返信ありがとうございます。uncorrelatedさんの過去記事の中に「V-22オスプレイの緊急着陸に関して」「オスプレイ―固定翼機でも回転翼機でもなくなる『魔の瞬間』って何時よ?」という記事を発見し読ませていただきました。大変勉強になりました。
その上で再度意見を書かせていただきます。
CH-46の事故率との比較に関してですが、CH-46の事故発生件数と配備数、それに発生した機体の運用日数との関係を見る必要があると思います。uncorrelatedさんはCH-46の事故発生件率が実際にはもっと高いと主張されています。その背景には運用期間が長いことが原因としてあるのではないでしょうか?またもしそうだとするならば、オスプレイの場合は今後どうなのかも検討する必要があると思います。整備に多大な労力を要すると「仮定」する私としては、運用年数が長くなればなるほど、事故率が上昇する危険性があると「仮定」(妄想??)しています。
私がオスプレイに反対する理由は、以下の伝聞を基にしてのものです。
それは、民間の航空会社が管制塔などで使用するPCのOSは、一般の家庭用のよりも非常に古いものを使用するということを、知り合いの元民間空港管制官に聞いたことです。そしてまた、なぜ古いものを使用するのかというと、バグが少ないからだとのことです。
徹底した安全優先が取られています。
民間でこうなのですから、軍事に関しては尚更徹底した安全性が必要であると思います。それもまた文民統制であり、民主主義国家においては必須です(お隣の社会主義国家では軍が民を率いていますが)。
話を戻します。また、事故発生率に対する死亡率の割合も気になるところです。
これらの事を考慮すると、もっともっと慎重に情報の公開と多様な視点からの意見と議論が必要なのではないでしょうか?
まずは反対ありき、ではありませんが、安全性に対しては過敏であるべきであると思います。
最後に、確かに軍事利用に関してのみ、安全性を重視していることは、イデオロギッシュであると思います。伊丹空港の例などそうでしょう。そのような意味では民間航空機の安全性に関しても注意を払う必要があると思います。規制緩和により激安航空会社が乱立している状態においては、ますます必要な視点であると思います。
>>高橋良平さん
> その背景には運用期間が長いことが原因としてあるのではないでしょうか?
通常は、CH-46もそうですが、運用期間に応じて事故率は低下していきますね。
耐用年数を超えると、事故率は上昇するでしょうね。
> オスプレイの場合は今後どうなのかも検討する必要があると思います。
CH-46の経験から言うと事故率が低下するはずですが、既にかなり低いレベルなので、このままかも知れません。
> もっともっと慎重に情報の公開と多様な視点からの意見と議論が必要なのではないでしょうか?
MV-22の事故に関しては、かなり情報公開がされていると思います。
今年のモロッコの事故も、追い風による対流速度不足などが指摘されているので、恐らく機体構造の問題ではないでしょうね。正式な報告はもっと後になりますが。
CV-22の事故率が気になる人が多いようですが、特殊戦機なので地形追随飛行などの危険性の高い運用が多いようです。
クラスA事故の中には乗員の転落死も含まれています。
普天間基地周辺の運用で考えると、対流速度計を見て操縦してもらうとか、飛行高度を高めにとってもらえば良いのだと思います。
uncorrelatedさん。
たしかに軍用機であることから、軍事作戦を想定した激しい訓練が予想されます。軍事作戦を想定した激しい訓練をすれば、その分事故率は上昇するはずですから、かなりパイロットの訓練は高度化する必要があるのでしょう。たくさんのお金がかかりそうですね。でもこの機体はCH-46に比べ、航続距離、積載量ともに数倍の性能を有するので、海兵隊はこれを非常に重宝するようですね。
基地周辺での航空規則(機体運用含めて)をしっかりと整えることは有効な対策だと思います。出来れば専門家を交えて、地元自治体と共に策定出来ればと思うのですが、それはまだまだ先のような気がします。
今回、uncorrelatedさんとの議論で、自分自身の不安はだいぶ払拭されました。とはいえ、沖縄の人々は、またしても沖縄が軍事上の拠点にされてしまうことに対して懸念と怒りを表明しているわけでして、その点に関しては慎重な判断が必要だと思います。平和ボケかもしれませんが、オスプレイを今この時点で緊急に配備しなければならない理由は見当らないと思います。慎重に、地元の理解を得る必要があると思います。
>>高橋良平さん
> 軍事作戦を想定した激しい訓練をすれば、その分事故率は上昇するはず
オスプレイは地上シミュレーターがあるので、一定の練度を積んでから、実機訓練に移れるメリットもあります。
> 沖縄の人々は、またしても沖縄が軍事上の拠点にされてしまうことに対して懸念と怒りを表明
普天間基地が存在する事は、オスプレイ配備の有無で変わる事はないです。機種替えですから。
> オスプレイを今この時点で緊急に配備しなければならない理由は見当らないと思います。
緊急配備ではなく、以前から予定されていた事です。
後はCH-46の老朽化が背景にあるので、リプレースしたいと言う事でしょうね。
交換部品の問題もありますし。
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