WSJのある記事が経済学101で紹介されたためか、エンロン事件がインサイダー取引で防げたと思っている人々がいるようだ。無理だから。エンロン事件の首謀者がインサイダー取引の容疑で有罪になっている(NYT)。
エンロン事件は巧妙な詐欺スキームで、全体像を知る人物は限られていたようだ。最高経営者のKenneth Lay氏とJeffrey Skilling氏とその側近のみが、エンロン社が破綻寸前だと言うインサイダー情報を持っていたと言って良いと思う。インサイダー取引で、このインサイダー情報が株価に反映されると言う事は、彼らが競って限界無く株を売却する必要がある。
彼らは大企業の上層部と言えども個人投資家だから、与信枠には限りがある。インサイダー取引で空売り攻勢をかけたとしても、株価が下がるとも限らない。場合によっては損だ。限界まで高値で空売りをした後に、不正を暴露したら大儲けになるが、そのまま監獄行きが確定する。高い株価で増資を続けて会社存続をさせた方が、彼らはには得だ。
Lay氏とSkilling氏らは、従業員に自社株買いを勧めつつ、高値でストックオプションを行使したり、手持ちの株を売却してインサイダー取引で利益を上げていた。経営状態が悪いときは、株価が高い方がインサイダー取引の利益も多くなる。フリードマンが言うように、インサイダー取引でインサイダー情報が株価に反映される事は無かった。
0 コメント:
コメントを投稿