2012年7月25日水曜日

消費税率引き上げ後の世論調査から雨乞い経済成長派の信任を見る

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教育学者の本田由紀氏が「雨乞い経済成長派」とネーミングした*1、増税反対で名目成長で財政再建を主張するグループがある。その主張の是非はともかく、増税を否定するところは大衆迎合的な面が少なく無い。

ところで、こういうポピュリズム的なものは、政治的な空気を判断するのに良いであろう。彼らの主張が社会にどの程度浸透しているか、事実上の消費税率引き上げ決定後の日本テレビ世論調査(2012年7月速報)を見てみよう。

野田内閣の支持率は順調に低下して21.6%になっており、消費税率引き上げも支持率39.0%(不支持50.6%)と不評だ。増税の方がまだ支持者が多いのが面白い。野田氏の支持率が低いのは、民主党が選挙公約違反だと思われているためであろうか*2

消費税不支持の理由としては、国会議員の身を切れと言うのが34.5%、景気回復まで増税を延期は30.6%、増税しても増収しないと言うのが16.1%、歳出削減等で解決が8.9%となっている。「雨乞い経済成長派」の意見浸透度は50.6%(不支持)×28.0%(増収しない+歳出削減)で14.2%ぐらいのようだ。

ところが消費税率引き上げ賛成政党の合計支持率は40.5%で、反対政党の合計支持率は8.5%。安易な増税への反対者は多いようだが、歳出削減・増税回避で済むと思っている人は少ないよう2だ。小沢新党も、期待しないが84.6%で信頼を得ていない。反対政党への支持が14%ぐらいあっても良さそうなものだが、面白い事に彼らは信頼を得ていない。

公約違反への責任追及と、安易に増税する事への懐疑心と、財政再建の現実的な解への諦めが同時に見られるが、「雨乞い経済成長派」が信任を得ていないと結論付けることはできると思う。具体的な施策が説得力を持たないと、単なる放漫財政の支持者に思えるのでは無いであろうか。

*1本来は経済成長で貧困対策などが不要になると言う主張を揶揄したものに思えるが、ここでは広い意味で捉えた。増税とリフレーション政策の主張するグループと、名目成長で財政再建を主張するグループは異なるため、濱口氏の「りふれ派」よりは適切なネーミングだと思う(関連記事:りふれ派の社会的機能について考える)。厳密には両グループは合致しないかも知れないが。

*2時事通信の世論調査では早期解散への賛成が58%となっている。

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