2012年7月24日火曜日

最低賃金は生活保護を下回ってもいい

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フルタイムで最低賃金で働いても得られる給与が生活保護を下回っていると、今更ながら問題視されている(毎日jp)。

これに対して最低賃金を引き上げろと言う主張があるが、反対したい。雇用機会を喪失する一方で、生活保護も受けられないパートタイマーの主婦のような困る人が出るからだ。そして、もっとマシな解決方法がある。負の所得税だ。

1. 最低賃金を引き上げると雇用機会が減る

最低賃金を引き上げると、就労機会等を奪う可能性がある*1。貧困層を雇っている会社がワタミのように高収益だとは限らないわけで、労働コストの増加に負けて消えてしまうかも知れない。すると、生活保護しか選択肢がなくなる。

2. 家計には複数の稼ぎ手がいる場合もある

単身家計であれば生活保護の方が得になる場合も、家族がいると状況が異なる。働き手が二人なら生活保護よりマシになる。夫婦で妻が最低賃金だとしても、夫もそうだとは限らない。家計ベースで見ると、最低賃金が低すぎるとは言えない。また、雇用機会が喪失しても、家計全体の所得が高いのであれば、生活保護を受ける事もできない。

3. 賃金を統制しようと言うのは無理がある

最低賃金を引き上げると、生活保護受給者が増える一方で、パートタイマーの主婦がいる家計などが生活が圧迫される可能性がある。実際には非合法の事業者が増えるのかも知れないが、それはそれで問題だ。結局、賃金は労働の限界生産物に等しくなるであろうから、賃金を統制しようと言うのは無理がある。

4. 隠れた政策目標を整理する

新聞記事になると隠れた政策目標を曖昧にしたままになるので、ここで整理しよう。一つは、労働供給量を最大にする事だ。無駄に怠けさせてはいけない。シバキだ。一つは、憲法25条にあるように、健康で文化的な最低限度の生活を保障しないといけない。殺してはいけない。リベラルだ。シバキ系リベラルこそが、我が国の目標と言える。

5. シバキ系リベラルな解は「負の所得税」

世の理なので、賃金は動かせない。しかし、最低限度の生活は保障したい。さらに、労働供給量を減らしたく無い。このワガママな問題を解決する方法として「負の所得税」がある。

生活保護は出るのだが、働いた程度に応じて生活保護の水準が下がっていく制度だ。ただし、働いているのに生活保護と同じ生活と言う事は無くなる(下図は例)。生活保護の引き下げでも、最低賃金の引き上げでもなくて、生活保護制度を変えるべき。

なお身体障害者などは、障害者年金を所得に加えてから、所得税で調整してやればいい。一見、身体障害者だが実はとても稼ぐ人なども上手く処理する事ができる。

追記(2012/07/24 13:40):住宅扶助や医療費なども所得税の対象とすれば、役所が細かい支出の内訳を気にする必要も無くなる。特に医療費は自己負担分ができるようになるので、モラルハザードの防止になる。

追記(2012/07/24 14:30):現行の生活保護制度では勤労控除があり、最低賃金で月40時間程度までは生活保護に影響が無く働け、約12.6%が勤労控除を利用している。

*1都道府県別の賃金分布を見てみると、僅かなのだが最低賃金を下回る層がいるので、違法操業が増えるだけかも知れない。

1 コメント:

CANDY さんのコメント...

労働需要を増やさないまま、労働力の供給を増やせば賃金がますます低下するだけで、所得水準は下がってしまうだけではないの?

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