2012年7月22日日曜日

あるブロガーが中央銀行が金の延べ棒を購入して通貨供給ができる事を理解できない件

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とあるブロガーが、国の債務が無くなれば、市中に流通するお金が無くなるとトンデモ主張している。「中央銀行は国債無しで通貨供給*1できる」と指摘したのだが、「市中銀行だけで信用創造ができる」と主語からして取り違えて批判を受けとめ、さらに頭が悪いエントリーを書いてきた。中央銀行の通貨供給がどのように行われるのか、全くイメージが出来ていないようだ。

1. 中央銀行の資産購入が通貨供給

中央銀行が通貨を世の中に供給するときは、何かと交換をする事で供給をする。通貨の信任を考えると、大きな損失が発生するモノは買えないが、金銀や国債、市中銀行への貸出(=債権)、社債、株式、株式投信、不動産投信など広範な種類の資産を保有している。これらを“購入”するときに、中央銀行は通貨を供給していると言うわけ。資産を中央銀行に“売却”した人の手元には通貨が残るからだ。

2. 兌換/不兌換は全く関係が無い

盛大な勘違いをしているそのブロガーは「金を基礎とした貨幣は皆無」と意味不明な供述を繰り返しているが、現在の不兌換紙幣で金や銀が購入できないわけではない。不兌換紙幣500万円ぐらい用意すれば「金の延べ棒」を買えるのでは無いであろうか。もちろん、中央銀行が「金の延べ棒」を不兌換紙幣で買えば通貨供給になる。

3. 国の債務を基礎とする紙幣???

そのブロガーが混乱してしまっているのは「国の債務を基礎とする紙幣」と言う自らが書いた言葉に惑わされているから。日本銀行法を見てもそんな事は書いていないし、上述の通り資産と通貨を交換してくれる人々がいる限りは、日本銀行は通貨供給を行う事ができる。

4. あえて通貨の基礎を探せば税金

なお政府と中央銀行を同一と見なせば、通貨そのものが債券となる。この債券を保有する究極の理由を意識している人は少ないであろうが、平安時代や開発途上国の事例を見る限りは、税金の支払いに使える事が最初の保有理由となるようだ。あえて現代の紙幣の基礎を何か探すとすれば、それは税金と言う事になるのであろう。

5. 日銀陰謀論者の金融システムへの理解度

このブロガーのエントリーを見ていくと、日銀陰謀論が大量に書いてある。陰謀論は愉しいし、日銀が批判されやすい組織なのは分かりやすいが、この金融システムへの理解度では心もとない。頑張って日銀陰謀論を書いたとしても、川口浩探検隊のように毒ヘビが尻尾から落ちてくるようなディテールになってしまうわけだ。「日本銀行の機能と業務」を読み込んだ上で、陰謀論の再構築を願いたい。

*1信用創造と書くと市中銀行を通じたマネーサプライの意味が強調されるので、通貨供給と表現する。問題のブロガーはハイパワード・マネーとマネーサプライの見分けがついていないかも知れない。

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