経済評論家の池田信夫氏が「2%のインフレ目標は可能か」と言うタイトルで、2%のインフレ率実現が可能かと言う議論を展開している。インフレ目標≠実現されるインフレ率だと言うのが理解できないようだ。
インフレ目標に達するように金融政策を行う*1のであって、極端な事を言えば目標インフレ率が達成される必要も無い。インフレ率が目標より低ければ金融緩和、高ければ金融引締。それがインフレ目標政策だ。
他にも奇妙な点はある。「世界の実質金利は均一化」は、少なくとも国際資本移動が完全でないと成立しないし、流動性の罠がそれを不可能にする*2。また実質金利が定まっていたとしても、期待インフレ率*3が名目金利を定めるのであって、名目金利が期待インフレ率を定めると言う池田主張は無理がありすぎる。
*1もしくはインフレ目標と整合的な、金融政策を行う。
*2「平成24年度年次経済財政報告」の「第3-1-21図 主要国の実質金利の推移」を見ると関連はあるが、一致はしていない。同じユーロのフランスとドイツの動きは近いが、通貨が異なる英国と米国はそれから乖離する傾向があり、特に日本は他国と傾向が大きく異なる。
*3一般にフィッシャー方程式には、期待インフレ率が入るが、池田氏は「期待」を省略している。
2 コメント:
最近の風潮は2%のインフレ目標を設定&達成できなかったらペナルティだ!みたいな感じですから、分からんでもないですが。
>*2一般にフィッシャー方程式には、期待インフレ率が入るが、池田氏は「期待」を省略している。
省略しているというよりむしろ、文字通り「インフレ率」として扱っているように見えます。
名目金利=国内の資本収益率としていますし、金融政策の無い世界?
それにしても、リフレ派の田中秀臣氏が「ほぼすべての構造原因説をキャンセルする基礎になる」とのたまう円高シンドロームと同じような話を、構造派の池田信夫氏も始めてたりして何だかカオスです。
>>POM_DE_POM さん
> 名目金利=国内の資本収益率としていますし、金融政策の無い世界?
そこも気になるところですね。
イデオロギー闘争では無いのだから、理知的な文章を期待したいところです。
コメントを投稿