「経済大国インドネシア」は、日本人のインドネシア研究者の中で、最も広範にインドネシアに通じている佐藤百合氏の著作。
内容が多岐に渡るため軽快感は無いのだが、最近のインドネシアについて語るなら読んでおくべき一冊なのは間違いない。人口2億を超える大国である事を考えると、東アジアの国際関係に関心がある人も読んでおくべき一冊だと思う。
書かれている内容は、要約すると明るい話と暗い話の両方がある。暗い方から言うと、90年代に工業化と言う面で中国に追い越されて、置いていかれている。明るい方は、他の東南アジア諸国や中国、韓国、台湾などと違い、まだまだ少子高齢化の影響を受けないこと、アジア危機後に政治システムが大きく改善されたこと等から、経済成長の余地が大きい事が上げられている。
著者の知識からすれば、かなり絞り込んだ内容だと思うが、恐らくインドネシアに詳しくない人が読むと眩暈がすると思う。人名にしろ企業名にしろ初見のモノばかりだろうから。しかし、詳細を省きすぎるとリアリティーを失うもの。開発独裁やエスニシティに関して空論を振り回しがちな人には、ぜひ一読することを薦めたい。
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