当選予想では自民圧勝で、支持率で見ると自民党17%、民主党13%、日本維新の会5%、支持政党なし49%と意外に接戦となっている第46回衆院選挙(読売新聞)だが、緊急に対策すべき問題が議論の俎上にあがっていない。少子化対策だ。コラムニストの冷泉彰彦氏がヘンだと指摘していた(Newsweek)が、これは確かにヘンな現象に思える。
1. 少子化による影響は深刻
高齢化対策として、税や社会保障の改革を前進させた事は、野田内閣の大きな成果ではある。しかし、少子化対策、つまり出生率を上げていかないと、やはり社会は立ち行かない*1。子ども手当は不評であったが、やはり同様の対策は行う必要があるであろう。その深刻度が分からない人は、『日本の将来推計人口(平成24年1月推計)』からのグラフを見て欲しい。
デフレ対策が先と言う人も多いが、少子化対策ができれば実質金利が上がるので、流動性の罠からさえ脱出できる(関連記事:世代重複モデルで見る少子高齢化と利子率)。順番を後に回す必要は無い。
2. 社会構造や価値観の変化を認める必要がある
まずは社会構造や価値観が変化して、子どもを持つモチベーションが減ってしまっている事を認める必要がある。ブサ面と家庭を持つよりは、イケ面と不倫をしている方が幸せな女性が多くなっているわけで、そういう女性に子どもを持つモチベーションを与える必要があるわけだ(関連記事:特殊出生率の引き上げ方)。
保守の人々には我慢ならない事態だと思うが、先進国で特殊出生率が高い国は、未婚の母の比率が高い。米国(特殊出生率1.9)は40%、英国(1.8)は44%、フランス(1.9)は50%で、日本(1.4)は僅か2%だ(CDC)。
3. リベラルな政策を打てる政党はどこか?
未婚の母が子育てしながら働ける社会を構築するには、かなりの財源と制度変更が必要になる。それ以上に、それへの批判に耐えないといけない。制度を悪用した不道徳な母親が出てきても*2、それを許容する覚悟が必要だ。
民主党の野田総理は少子化対策に意欲的に取り組む姿勢をアピールしているが、民主党のまとまりの悪さは大きな問題だし、前回の衆院選のマニフェストに関する責任も取ってもらいたい。
自民党の安倍総裁は、残業代の支給を無くせば残業時間が減って、少子化対策になると主張する一方で、子育て負担が増すような「親学」を推進しており、本質的に少子化対策に興味が無いように思える(関連記事:「美しい国、日本」な安倍晋三の政策にある問題点)。また、安倍氏は保守を自認しているわけだが、その保守とはかけ離れた価値観を持っている現代女性は少なく無い。
日本維新の会の橋下氏はリベラルな印象があるが、石原氏らのグループを取り込んだことで、内部統制に不安が残る。小沢氏の党と揶揄される日本未来の党や、みんなの党は相変わらず「埋蔵金」に固執しており、政治的困難を乗り越えて財源を確保するように思えない。
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