2012年7月31日火曜日

原発ゼロを7割が支持でも、コスト増加を7割が支持とは限らない

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朝日新聞が、政府がエネルギー政策について国民の声を聞く意見聴取会で参加者の7割が2030年に原発ゼロを支持したと報じている。参加者の大半が反原発活動家でないか心配になるが、そうでないとして、参加者はそれがコスト倍増を意味する事を認識しているのであろうか?

原発以外の発電源を考えると、火力発電か再生可能エネルギーになる。火力発電はCO2の排出による気候変動と、燃料の高騰が問題になっている。2001年と比較すると2010年は原油で3.5倍、LNGで2倍、石炭で4倍だ。再生可能エネルギーは安定した発電が出来ない*1だけではなく、コスト的に大きな問題を抱えている。FITが始まったが「再生エネ買い取りに早くも疑問の声」と報じられる状態だ。ドイツでは(水力を含む)再生可能エネルギーの比率が約20%まで増加したものの、「一般家庭への電気料金上乗せ額は11年で月1200円程度まで増加」したそうだから、コスト増が懸念されるのも仕方が無い。

2011年3月11日以降で、福島第一原発の災害・事故で大きな被害が発生したのは確かなのだが、技術的な要件においては状況は変わっていない。事故後に発電コストを再調査したエネルギー・環境会議・コスト等検証委員会(2011)を読めば分かるが、基本的な原発のコスト的な優位性は変化していない。原発事故の発生確率や被害程度を最小化する努力の方が現実的に思える。核燃料サイクルが未完成? ─ 昨日、六ケ所再処理工場でガラス固化試験成功と報じられていたが、技術開発は進められている。

現行のエネルギー戦略では2030年に原子力5割・火力3割・再生可能エネルギー2割を計画している。これを原子力ゼロ・火力3割・再生可能エネルギー7割にすれば、電気代は2倍で済まない。安い再生可能エネルギーが出てくれば状況は一変するが、過去何十年と研究開発されてきたものだから、そう都合よくはいかない。コスト増加を覚悟した上で原発ゼロが支持されているのかが気になる所だ。

*1蓄電池などで長短周期変動を抑える方法はあるが、高コストの再生可能エネルギーを、さらに高コストにしてしまう。

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