橋下市長の文化財への公的助成削減に反応して、『文化に税金が出るか否かの境界線』『「所得不足だから文化支援」という思考の短絡さ』と分析しているブログがある。最初のエントリーは外部経済を考慮し世論が許す範囲まで予算をつけるべき、後のは文化支援をしなくても芸術家はいなくならないと主張している。しかし世論が許すまでと言われても、意見を集計できないと意味が無い。
1. 現在の公的助成の『理由』が無い
予算削減を精力的に進める橋下氏の主眼は二つあると思う。一つは、大阪府・大阪市の債務圧縮で、無駄な予算は極力削りたい。特に大阪府は財政再建団体になる可能性もあると言われ、橋下氏らが聖域無き予算削減を求めるのは無理が無い。一つは、今までの公的助成を正当化するような理由が明確でない事であろう。橋下氏の前任者たちや、府や市の担当者の趣味的な理由で公的助成が決まっていた可能性がある。
2. 選挙で公的助成の『理由』は集計できない
そもそも文化予算は行政と議会が決定するし、選挙で公的助成の細かい支出が争点になる事は無い。文化財の公的助成に関しては、その困難性は計り知れない。結局、代表者たる知事や市長、府/市議会が密室の中で決めてきたわけだが、そこの正当性が無いわけだ。国家の威信とか評価が無理そうな外部経済性ではなく、まずは利用率や利用層、そして維持費用などのデータから事業評価を行い、必要性を考えていく必要があるであろう。
3. 大阪アーツカウンシルは良いアイディアに思える
だから散々、予算を削ると脅して回った上で、公的助成の評価機関としてアーツカウンシルを設立する方向に舵を切った橋下市長は、この問題に関しては妥当な政治的決断を行っているように思える。喧嘩政治なので周囲は心穏やかでは無いであろうけど。とりあえず、大阪フィルハーモニーも今年度は大幅な助成削減は免れた(朝日新聞)。来年度以降は事業評価次第だが、海外から楽団を招待する事が容易な時代である事を考えると、先行きが明るいとは思えないが(関連記事: 空の上のモーツァルト交響曲第29番)。
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