消費税の逆進性を緩和するために、民主党は給付金を、自民党は低減税率を主張している。新聞社の多くは、低減税率を主張しており、新聞および出版物も低減税率の適応を求めている(産経ニュース)。
損得勘定で行くと、ちょっと知能が足りていない。低減税率の対象になると、販売元は損になる可能性が高いからだ。
1. 消費税が無い世界
比較対象として、消費税が無い世界を考えよう。例として、毎月、100万円の在庫を仕入先から買い付け、100万円の家賃を大家に払い、300万円の売上を上げる店舗を考えると、利益は100万円になっている。
2. 消費税率が一律の世界
一律10%の消費税率がかかるとしよう。店舗は330万円を消費者から受け取り*1、仕入先に110万円、大家に110万円、さらに消費税として政府に10万円を支払うようになる。店舗の利益は100万円のままだ。
3. 軽減税率がある世界
仕入先と大家には10%の税率が、店舗は消費税が免除されるとしよう。すると、店舗は300万円を消費者から受け取り、仕入先に110万円、大家に110万円支払うようになる。店舗の利益は80万円になる。20万円の損*2。
追記(2012/06/28 12:30):輸出企業のように還付を受けられれば、この損失は発生しない。ただし、賃貸住宅のように非課税の場合は、還付されていない。
4. 複雑かつ不合理になるのに新聞社の利益が減る
軽減税率を導入すると、既に広く報道されている事だが、税金の計算が複雑になる*3。また、消費者の需要に影響を与えないようにするには、ラムゼー課税と言って、必需品に高い税率を、奢侈品に低い税率をかける必要があり、直観的に公正な税率は適用できない。さらに、軽減税率を適用された業界は、消費税の負担が大きくなりうる問題がある*4。
新聞社は揃って軽減税率の導入と、新聞など出版物への適用を求めているが、記者などの頭は大丈夫なのであろうか。医療機関は、現在は診療報酬に消費税を取る事ができないが、そのために消費税の払い損になっていると言う不満がある(医療介護CBニュース)。新聞記者なら取材して知っていそうなものなのだが。
0 コメント:
コメントを投稿