イタリアの付加価値税(VAT)が、2011年9月に税率を1ポイント上げた以降、税の受取額が減少しているとBloombergが伝えている。しかし、「イタリアの増税が裏目に、付加価値税収減少-緊縮策強化で」と刺激的な見出しをつけているが、記者は状況を良く理解できていないようだ。
現状ではイタリアの標準税率は21%で、主に生活必需品(食品や医療補助器具、住宅、水道、電気・ガス、出版物、etc...)を対象に10%と4%の軽減税率が認められる(ジェトロ,イタリアの住宅政策と付加価値税(VAT))。2011年9月に、標準税率は20%から21%に引き上げられたが、軽減税率に変更はなかった。
増税幅はごく僅かな上に、軽減税率の対象品目が多い事に注意しよう。VAT増税の影響はほとんど無い。景気後退で消費が落ち込んだ時に、所得の需要弾力性が高い奢侈品から消費が減っていく。生活必需品とされるものは、そうは減らない。標準課税の売上減少の影響を大きく受けたようだ。消費税の税収が安定しているのは、ラムゼー課税でもかけない限り、一律税率をかけているときになる。
このニュースに反応して消費税増税が逆に減収になると主張する人が現れると思うが、大した増税でもないし、軽減税率と言う構造上の問題もあるので、その結論は支持されない。逆に一般税率ではなくて軽減税率を増税すべきだった事を、示唆するものとなっている。
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