2012年6月14日木曜日

資本市場のソブリン・デフォルトの確率計算は不正確

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元官僚の高橋洋一氏が、現時点の日本のCDS価格から、3年以内の財政破綻が無いと主張している。多少、金融に詳しい人から見ると、壮大なな冗談としか思えないと思う。

CDSは債券にかける保険のようなもので、デフォルトしそうな債券ほど、その価格が上がる傾向がある。つまりCDS価格が安いと言う事は、資本市場の参加者がデフォルト・リスクが少ないと考えている。だが、資本市場の参加者の判断が正しいとは限らない。

BloombergによるとGREECE CDS USD SR 5Yは2007年6月18日は4.7bps、つまり1万ドルに対して4.7ドルの保険料だった(*1)。高橋洋一氏の論法だと、ギリシャ政府は僅かな金額でCDSを買っておけば、破綻直後にCDSからの収入で復活した事になる(*2)。

要するに政府債券のデフォルト・リスクは不正確なのだが、これにも理由があって、政府のデフォルト件数は民間企業ほど多くは無いし、政治理由でデフォルトする事もあるので統計的に確率が定まらない。つまり、それらしい値を適当につけているに過ぎないので、それを元に政策判断を行うわけには行かない。

国債の市場消化が当面は堅調だと言う意味であれば、それなり説得力はあるが。

*12012年3月9日は25422.80bpsで、1万ドルに対して2万5422ドルの保険料が必要なような異常事態になっている。これはCDSが精算される前の為だったようだ。

*2言うまでも無いが、政府が自らのCDSを買って自発的にデフォルトしても、CDSの売り手はデフォルトだと認める事は無い。また、事故後に保険に入っておけば得をしたと言う論法になっているので、かなりリスクが高く見積もられている債券でも、デフォルトするならばCDSを買っておくと得になる。

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