2012年12月15日土曜日

日本国憲法の前文を巡り、安倍総裁の国語能力に関して疑義が発生

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Googleの政治家と話そうと言うイベントで、「自民党としては、今後どのような分野の政策に、もっとも力を入れて行きたいと思いますか?」と言う質問に対して、安倍総裁が現行憲法を「みっともない憲法」と酷評し、憲法改正に力を入れていく事を示唆したと報道されている(朝日新聞)。偏向報道かと思って動画を確認したのだが、本当に言っていた(24:27~)。

動画を見られない人のために、文字おこしも行っておく。

あの、日本国憲法の前文にはですね、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意したっと書いてあるんですね。つまり、自分たちの安全を世界に任せますよと、ゆっている。そして、えぇ、専制と隷従、圧迫と偏狭をこの地上から永遠に除去しようと務めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。自分たちが専制と隷従、圧迫と偏狭を無くそうと考えているんじゃないのですよ。国際社会がそう思っているから、それを褒めてもらおうと、いじましいんですけどね、みっともない憲法ですよ、はっきり言って。これは日本人が作ったんじゃないんですからね。こんな憲法を持っている以上ですね、えー、外務省も自分たちが発言すると言うのは、憲法上、義務づけられていないんだから、それは国際社会に任せるんですからね。精神がそうなってしまっているんですね。まぁ、そっから変えていくと言うのが私は大切だと思います。

国語の問題なのだが、解釈が極端になっている。

「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」は、平和を愛さない諸国民の公正と信義に信頼しろと言う意味ではない。隣国を侵略して安全と生存を保持することを目指さないと解釈するのが一般的であろう。「自分たちの安全を世界に任せますよ」とは言っていない。

「専制と隷従、圧迫と偏狭をこの地上から永遠に除去しようと務めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」は、専制と隷従、圧迫と偏狭をこの地上から永遠に除去しようと務めていない国際社会において、名誉ある地位を占めろと言う事ではない。「自分たちが専制と隷従、圧迫と偏狭を無くそうと考えているんじゃない」とどうやったら読めるのであろうか?

普通に読むと(1)諸国民と公正と信義に基づき交流しましょう、(2)安全と生存を理由にした侵略は辞めましょう、(3)専制と隷従、圧迫と偏狭を無くすように努力しましょうと言う意味だと考えられる。

追記(2012/12/15 16:40):2003年12月9日の自衛隊イラク派遣に関する記者会見で、小泉総理は『日本だけが「危険だから行くな」、「危険なことはほかの国でやってくれ」と言って、本当に国際社会の中で名誉ある地位を占めたいという憲法の理念にかなうんでしょうか。私はそうは思いません』と、憲法前文が積極的な国際貢献を求めていると解釈している(官邸)。

現行憲法にある日本人としてのアイデンティティー

安倍総裁から見たら、これらはみっともない考え方なのかも知れないが、現行憲法の前文を理念としては気に入っている人々は多いのでは無いであろうか。戦後の日本は、無駄な争いを避けて民主的な社会の構築を追求してきたわけで、むしろそれが日本人としてのアイデンティティーなのだから。

そもそも今後、最も力を入れるべき問題なのかが良く分からないが、安倍総裁は憲法改正が争点だそうだ。週末の選挙で自民党に一票を投じると、安倍氏の憲法論に信任を与えてしまう事になるのであろうか?

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7 コメント:

むしろっこ さんのコメント...

uncorrelated様
はじめまして、むしろっこ、と申します。

日本国憲法前文
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」
について本文中に「自分たちの安全を世界に任せますよ」とは言っていない、とあります。では誰が安全を守るのでしょうか。

uncorrelated さんのコメント...

>>むしろっこ さん
> では誰が安全を守るのでしょうか。

日本人です。平和を愛する諸国民の公正と信義を疑いだすと、結局は世界中を攻め滅ぼさないといけない事になるので、そういう軍事偏重を戒めていると考えるのが妥当かと。
なお、前文から各種法令が憲法違反になることは無いと思います。だから理想を書いておけば良いと言う面もあると思います。

むしろっこ さんのコメント...

uncorrelated様

憲法第9条第2項には
「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
とあります。日本人が安全を守るといっても、憲法により戦力を持つことができません。このような状態でも自分たちの安全を守れるのでしょうか。

uncorrelated さんのコメント...

>>むしろっこ さん
第9条第2項については「前項の目的を達するため、」と言う条件があるため、先守防衛の自衛隊は合憲と言う苦しい解釈を続けてきましたね。
安倍氏が前文ではなく、第9条第2項に集中して言及していれば、もっと説得力のある主張にはなっていたと思います。

むしろっこ さんのコメント...

uncorrelated様

質問に答えていただいてありがとうございます。
もう一つだけ質問があります。
私は、日本国憲法は中学校の社会の時間で勉強しました。
今もおそらく小学生か中学生のときに勉強すると思います。

例えば自衛隊の観艦式や、PAC3の配備、F15戦闘機などニュースで見れば、ニュースに関心があればあるほど「これは軍隊だ、第9条第2項と矛盾してないか?」と考える子供は多いと思います。

子供は大人を見て育ちます。私は「専守防衛の自衛隊は合憲と言う苦しい解釈」は、やはり苦しく教育上よくない、従って矛盾なくしっかり書きなおす憲法改正を支持しています。

uncorrelated様は
1.「専守防衛の自衛隊は合憲と言う苦しい解釈」はそのままにしておく
2. 自衛隊はどうみても合憲ではないので縮小する
3. 憲法改正などほかの手段をとる
いずれのお考えでしょうか。

uncorrelated さんのコメント...

>>むしろっこさん
自衛隊合憲を明確化する、最低限の憲法改正を推奨しています。
苦しい解釈を否定すると今までが問題になりますし、かと言って放置するのも健全ではない。また改正範囲が広くなればなるほど、国民的合意を得るのが難しいでしょう。
九条の改正にとどめ、努力目標的な前文は手をつけなくて良いと思います。

むしろっこ さんのコメント...

uncorrelated様

質問に丁寧に真摯に答えてくださりありがとうございます。
私も「自衛隊合憲を明確化する、九条の最低限の憲法改正」に賛成です。

私は、仮に憲法を「てにをは」1文字だけ改正するにしても
膨大な時間と国民的議論が必要であると考えます。
ネットを含むいろいろな場所で議論がおこればいいなと思います。

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