意外かも知れないが、外国人から見て日本がとてもファンタスティックに見える理由として、バリエーション溢れる自販機がある。外国の自販機にもワインの自販機ぐらいはあるようだが、日本の自販機のように多様なバリエーションが無く、設置量も少ない。そのため、日本でごく普通に設置されている自販機が物珍しく映るのか、定期的に海外のブログなどで紹介されて反響を呼んでいる。
どうも国際社会では、日本人の常識として、自販機のバリエーションに詳しくならないといけない状況になっているようだ。そんな日本の自販機の中で、特に外国人に反響があったもの、反響がありそうなものを10機種ほどピックアップして見た。
1. やすかわくんのソフトクリーム屋さん
安川電機が開発した産業用7軸双腕ロボ「MOTOMAN-SDA10」に、やすかわヘッドを搭載した歌うソフトクリーム職人ロボ。産業機械のデモンストレーション目的なのだろうが、ドイツ人が作るとシンプルになるソフトクリーム自販機だが、日本人が作ると芸術の域にまで高められると言えなくも無い逸品。
Engadgetでは、みんなが好きなロボットとアイスクリームを組み合わせるとこうなると紹介されていた。
2. 風船自動販売機
風船にヘリウムガスを入れて膨らませて販売してくれる、自動販売機というのもある。池本車体工業株式会社のファンキーマルーンという商品のようだ。これはまだ海外では知名度が低いようだが、国外に情報が漏れれば恐らく反響を呼ぶであろう。
3. トースト自動販売機/カレーライス自動販売機
調理が必要なものであっても、自販機で売ってしまうのが日本人の心と言うものだ。
トーストの自販機は普通のトースト、ピザトースト、ベーコントースト、シーチキントースト等の種類があり美味しいらしい(山田屋)。海外ではまだ知られていない模様。
カレーライスの自販機は、何種類かある。下の動画のものは、調理済みで出てこないので手間隙がかかるため、やや評価が低いタイプだ。自販機のデザインは旧式だが、こちらの方が実用的かも。
なお、youtubeにつけられたコメントは、日本に移住したくなったとか、ラーメンより良いとかポジティブなものが目立つ。
4. カブトムシ自動販売機
ドア式の自動販売機で、生きたカブトムシをプラスチック容器に入れて販売している自販機もある(愛LOVEもりおか★徒然日記)。色々と検索して見ている限り、自販機の形態は回転式とか色々あるのだが、価格はオスが300円、メスが100円が相場らしい。やはり角がある分だけ高くなるのだろうか。
5. バナナの自動販売機
ドールのバナナの自動販売機(シブヤ経済新聞)。広く報道されていたので、知っている人は多いであろう。コンビニエンス・ストアにバナナが置いてある以上、自動販売機でバナナが販売されても不思議は無い。温度管理などが徹底できるため、実は自動販売機の機能が生かせる商品でもある。最初、品川に設置されたのだが、その後は人気で徐々に設置箇所を増やしているようだ。
ただし日本では話題になったのだが、英語で紹介された記事があったのにもかかわらず、動きが地味なせいか海外ではほとんど反響が無かったようだ。
6. 広告を見ると飲料無料になる自動販売機
広告代理店業務を手がけるウィル・ビーが、自販機サービスのアペックスと協力して展開している最安0円で飲み物を提供する広告付きカップ式自動販売機「メディアカフェ」だが、Engadgetでも紹介されていた。飲料カップに印刷した広告と、自販機のタッチパネル式液晶モニターに表示するCMで広告収入を確保し、飲み物の販売価格に還元し、モノによってはフリー・ドリンクなる仕組みだが、Engadgetの記事の書き方だと疑心半信と言った感じか。
7. 「マーケティング頭脳」付自動販売機
品川駅にまず設置された、高速無線通信技術WiMAXで動画を大量に扱うことができるタッチパネル式で、さらに顔認識技術で客が顔を自販機に向けるとカメラで顔画像をとらえ、性別や年代を推定し、最適な商品におすすめマークを付けて強調する押し付けがましい自販機だが、海外でも報道されていた。
なお、Engadgetでは、自販機で購入履歴も取得するようになるとか書いてあるが、そのような機能は日本では報道されていない。欧米人には未来すぎて、想像が混じってしまったのであろうか。
8. 「顔認証方式」のタバコ自動販売機
カメラによる年齢自動判別機能付のタバコの自販機。たばこを買う際、顔を見せるだけで成人識別ができるのだが、未成年者がオトナの顔写真を見せたり(神戸新聞)、しかめっ面をして自販機を騙してしまう事件(河北新聞)が多発しており、オトナに見られなかった(=若く見られた)と喜ぶ女性が出てくるイマイチ性能が悪い。しかし、人工知能を駆使した自販機としては、上述の“マーケティング頭脳”付自動販売機に先行するので、先進性は評価に値するだろう。
9. 牛の声がする自動販売機
埼玉こども動物自然公園内の自販機で、牛乳を買うと牛の声が鳴る。自然公園を演出するシンプルな仕掛けで、自然公園内の自販機自体が雰囲気を壊しているという感覚は、日本人には無い。
10. 太陽光発電パネル付自動販売機
みちのくコカコーラは、太陽光パネル付の自動販売機を展開している(岩手日報)。既存の環境配慮型飲料水自動販売機と同様に、ヒートポンプ冷熱機能やノンフロン冷媒、最新の真空断熱材を装備して、省エネ性能を高めているそうだ(Business Media 誠)。全国展開する予定。
上の自販機を見てきた後だと何だか味気なく感じてしまうが、普通に高機能で便利な自販機だ。
おまけ. 自動販売機型の都市型迷彩
旅8で防犯グッズとして紹介されていた、アーティスト月岡彩氏考案の自販機型の都市型迷彩。自動販売機が溢れている日本だからこそ成立するグッズだ。メタルギアソリッドのソリッド・スネークに、日本では段ボールより有効だと教えてやりたい。
まとめ
本当は、日本の自販機の8割は飲料水・タバコ・両替機などで、上述の中の風変わりな機種は数は限られている(2003年度森泰吉郎記念研究振興基金研究成果報告書)。しかし、特異なものが存在するのも確かで、売っているものでは金券、避妊具、女性用下着、卵、釣り餌など、機能としてはロボット自走型、災害対応自販機など多種多様だ。ガチャガチャも自販機であるし、あまりに膨大なバリエーションとなっている。そこで今回は、外国人が興味関心を持ちそうなものに絞り込んだ。
こうやって振り返ると、今まで意識してこなかったのだが、何でも自販機で販売しようと言うのが日本人の文化らしい。実例は山ほどあるので、外国人に自信を持って自販機こそ我々の誇る日本の文化だと自慢しよう。
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