今年はロシア全土が猛暑と干ばつに襲われている。首都モスクワの7月の平均最高気温は24℃、平均最低気温は14℃だが、7月29日に130年の観測史上最高となる気温38.2℃を記録した。記録的な熱波は、干ばつを引き起こし、結果として山火事と泥炭火災を各所で誘発している。非常事態省によると、8月11日現在で612件の山火事が続き、今も9万2700ヘクタールが延焼。少なくとも54人が死亡、約3500人が家屋を失った(毎日新聞)。
多数の山火事写真があがっているが、広大なロシア国土での被害範囲を確認するには、衛星からの写真等の情報が分かりやすいときもある。
以下はNASA Earth Observatoryの8月7日に撮影された衛星に取り付けられたMODISの写真だ(Smoke over Western Russia : Natural Hazards)。雲のように見える部分が、山林火災で発生した煙で、赤い小さな丸が山火事の発生現場だ。ウラル山脈の西側を、広く煙が覆っているのが分かる。
以下は8月9日に公開された、NASAの衛星に設置されたMODISで観測された、地表表面の温度を表した図だ(Heatwave in Russia)。冷帯のモスクワが日本の関東近辺よりも地表温度が高い事が分かる。
大規模な火災が発生しているので、空気中の一酸化炭素の濃度も上昇している。以下は、7月21日と8月1日のAIRSで観測した地上5.5Km(18,000 feet)のCO濃度を比較した図だが、図中左上のモスクワ周辺の色が赤く変化しているのが分かる(NASA Jet Propulsion Laboratory)。
山火事の直接の被害者だけではなく、モスクワでは火災の煙で健康被害が心配されているし、干ばつの影響もあり穀物生産量が大きく落ち込む事が心配されており、小麦価格は2割程度上昇した。日本の気象庁によると、この熱波は偏西風の異変がもたらしているらしい(毎日新聞)。煙は一時的な風向きで消えているそうだが、長期予報では熱波は続くそうで現在も被害の拡大が心配されている(Bloomberg)。
0 コメント:
コメントを投稿