2013年3月3日日曜日

UV分析を知っているフリをするための知識

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ある経済評論家がUV分析のグラフを示しつつ、バブル崩壊後に構造失業率が上昇したと説明しているのだが、失業率と欠員率で示される点が、横軸に沿って動いている、縦軸に沿って動くようになったと怪しい説明を行っている。変化したのは図表に太線で書かれているUV曲線なのだが、良く分かっていないようだ。

短期的には失業率が高いと欠員率が低く、失業率が低いと欠員率が高くなるものだ。この関係を示したのがUV曲線で、理論的には強い裏づけは無いものの、失業率と欠員率が等しくなる点を構造失業率と見なしている。転職期間が長い世界では構造失業率が高く、短い世界では低くなる。

このように日本語で説明しても良いのだが、ホワイトボードに数式をさくっと書いた方が、より強くUV分析を知っているフリができるので、山上(2010)の説明を見つつ背景を確認していこう。

失業者数をU、欠員数をV、新規雇用者数をMと置くと、これらの関係は以下のようになる。

Mは凹関数としておく。失業者数が増えても、そうは新規雇用者数は増えない。この世界で欠員が充当される確率mは以下のようになる。

where

失業状態から脱出できる確率は以下のようになる。

生産性ショックの到来確率(=雇用喪失率)をqと置けば、失業者数の変化は以下のようになる。Lは労働人口で、L-Uが雇用者数、q(L-U)が失業する人数になり、θm(θ)Uが新規雇用者数になる事に注意。

失業率の変動は以下のようになる。

where

定常状態はになるため、短期の均衡条件は以下のようになる。

以上がUV曲線だ。図を描いてみよう。m(θ)はθの減少関数だが凹関数なので、θm(θ)は増加関数になり、原点に凸の曲線が描かれる。

均衡点は雇用逼迫率、もしくは有効求人倍率θに依存するわけだが、θが定常になるときが構造失業率となる。山上(2010)ではサーチ理論から定常点を議論しているが、内閣府の推定などでは便宜的にθ=1と置いている。

景気悪化したときはθが減少して(1/θが増加して)均衡点が上方に移動し、構造変化が起きたときはUV曲線自体が右上もしくは左下へ移動する。

これぐらい知っておくと、問題の経済評論家の解釈のどこがおかしいかが分かる。つまり、失業率と欠員率ではなく、UV曲線がどう移動したかで議論すべきだった。なお、引用されていたグラフは以下で、年代ごとのUV曲線が明確に書かれている(西川(2010))。

2 コメント:

Y_Kakizoe さんのコメント...

はじめまして。Facebookでシェアされていたものを見て、UV分析について全く無知で興味が湧いて少し調べたのですが、気になるところが二点あったのでもしよければお答えいただければと思っているのですが。。。

1. M(V,U)/V=M(1,U/V)としているのはどういった前提条件からですか?
2. 失業者数の時間微分は、雇用喪失者数-新規雇用者数と置いているように見えるのですが、これは何らか式変形した結果なのでしょうか?

不勉強なことで申し訳ありません(^_^;)
もしよろしければご回答お願いできませんでしょうか・・・?

uncorrelated さんのコメント...

>>Y_Kakizoe さん
コメントありがとうございます。

> 1. M(V,U)/V=M(1,U/V)としているのはどういった前提条件からですか?

一次同次を仮定しているのだと思います。

> これは何らか式変形した結果なのでしょうか?
ノーテーションの説明が欠けていて混乱させたようです。すいません(><)
Lが労働者全体になるので、L-Uが雇用者数数、q(L-U)が確率qで失業する人数になります。
一方、θm(θ)Uが就職する人数になります。よって、

失業者数の変化
 =失業する人数-就職する人数
 =q(L-U)+θm(θ)U

となります。

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