2013年3月1日金曜日

池田信夫の浜田、岩田批判を採点してみる

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

経済評論家の池田信夫氏の「風が吹いたら岩田規久男氏の桶屋はもうかるのか」を採点してみよう。ブログのエントリーなので気楽に書いていると思うのだが、言わんとしようとしている事は分かる一方で、 細部で気になる所がある。

  1. タイトルと内容が半分しか合致しない。前半で浜田宏一イェール大学名誉教授が暗に言及している本多・黒木・立花(2010)を批判していて、後半で岩田(2013)を批判しているので、「浜田氏、岩田氏の桶屋」と書くほうが妥当であろう。
  2. 本多・黒木・立花(2010)に対する批判だが、誤りではないが少し厳しい。通常のVARは、過去の変数で未来の変数を説明する。つまり因果関係の方向は説明されるわけで、逆の相関は発生しない。池田氏は見せかけの相関を問題にしていると思うが。
  3. 「DSGEのような構造モデルがないので、因果関係については何もいえない」は、誤解があるように思える。DSGEも構造VARで計量分析をする事になるからだ。VARで計量的に因果関係を言えないなら、DSGEでも言えない。
  4. 『日銀が「インフレにするぞ!」と宣言しただけでは予想は変わらない』と言う部分が唐突だ。前半で量的緩和→株価↑、後半で量的緩和→予想インフレ率↑の因果関係を否定しているのだが、最後に唐突にインフレ目標政策を否定する話になっている。
  5. 岩田(2013)自体にもある問題だが、インフレ目標導入はFRBが2012年、日銀が2013年だから、岩田(2013)の『物価安定目標の達成にコミットした上で,流動性(マネタリー・ベース,準備預金,超過準備預金など)を適正に供給』と言う主張の検討に、過去の計量分析は直接は役立たない。

池田氏の主張は量的緩和→株価↑、量的緩和→予想インフレ率↑は、見せ掛けの相関である可能性を排除できず、理論的に量的緩和が予想インフレ率を引き上げる理由を十分に説明できないと言う所であろうから、100点満点で(1)が-10点、(2)は減点無し、(3)は-5点、(4)が-10点、(5)が-5点で70点と言った所か。

なお、本多・黒木・立花(2010)には他にも問題があり*1、独立して検証される事をお勧めしたい。VARが何か分かっていないと、読むのに苦労するとは思うが。また、WoodfordやKrugmanは量的緩和に否定的である一方でインフレ目標政策は評価していることから、インフレ目標と量的緩和を分離して考えた方が不毛な議論を避けられる*2と思われる。

査読つき学術雑誌に「量的緩和の効果があった」という論文

私が知る限り無いだから誤りではないが、ツッコミを。

学会誌は学術雑誌のことだと思うが、The Economic Journalに掲載されたChen, Cúrdia and Ferrero(2012)DSGEを駆使した分析で、米国でのQEの効果について僅かながら観察できるとしている。もちろん信憑性に議論はあるかも知れない。

0 コメント:

コメントを投稿