2010年8月20日金曜日

カナダ空軍戦闘機CF-18ホーネット墜落時の状況

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2010年7月23日、カナダ西部アルバータ州レスブリッジの空港で、週末に予定された航空ショーに向けて練習中だった同国空軍の戦闘機CF-18ホーネットが墜落、炎上した。奇跡的に事故直前に脱出装置で離脱に成功した事故機のパイロットに、Calgary Herald誌がインタビューを行った記事と動画がアップロードされて来たので、事故を振り返ってみたいと思う。

インタビューの動画は以下で、インタビューにあわせて事故シーンの映像(34秒~1分27秒)が挟まれている。

事故機のパイロットのBrian Bews大尉(37歳)によると、事故時の天候は曇りで雲が低く強風が吹いていたので、低空飛行の予行演習の一部として、ハイ・アルファ・パスを行う事を決めた。ハイ・アルファ・パスとは、離脱する前に仰角を45℃に向けて、低速・低空で観衆の前に進入する航空ショーの演目の一つだ(下の動画)。この演目をBews大尉は、シミュレーションと演習で100回以上行ったことがあるだけではなく、この夏の航空ショーで11回成功させている。

しかし、事故時は上昇をしようとしたとき、何か振動を感じた後に、仰角が上がる代わりに右に旋回してしまった(最初のインタビュー動画の57秒目)。大尉は機体を立て直そうとしたものの全く制御できず、すぐに墜落することを理解して、生き残るために離脱したそうだ。大尉は機体の外に射出され、即座にパラシュートが展開した。大尉の眼下では、機体が機体が横転して地面に直撃し、巨大な火の玉になって爆発した。2秒後、風がパラシュートを掴んで引っ張ったおかげで、飛行場の燃えていない所に着地できた。二日後に病院のベッドでビデオを見たときより、もっと脱出に時間がかかっていたように感じていたそうだ。なお、事故の原因は調査中である。

カナダ空軍はパイロットの訓練に重点を置いており、Bews大尉も優秀なパイロットであることが、一命を取り留めた要因だと考えられるそうだが、大尉はマーティン・ベーカー社製の脱出シートも褒め称えていた。マーティン・ベーカー社は、世界で始めて脱出装置を実用化したメーカーである。Bews大尉は3箇所の脊椎圧迫骨折を負っており、背骨を固定している状態だ。再び飛行するまでは、6週間かかるらしい。事故にも関わらず、小さい頃からパイロットに憧れていたBews大尉は、早く飛行へ復帰したいようだが、6ヶ月間をともにした戦闘機が大破したことには心を痛めているそうだ。

航空ショーでは低空で難しい演目を行うためか、ちょっとしたアクシデントが即大事故につながるケースがある。練習中とはいえ、これだけの低空から脱出できたのは奇跡的だ。日ごろの訓練や、大尉の能力、当日の天候、そして脱出装置の性能などの複合的な要因で助かったのだと思うが、運が良かったのは間違いない。なお、事故機のCF-18ホーネットは、自衛隊の次期主力戦闘機の候補にあげられているFA-18E/Fの姉妹機にあたり、日本人としても事故原因が気になる所である。

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