2018年10月に「各政党が独自のカラーを出しながらも、大きな部分だけを一致させ、あとの細かな政策の違いはお互いが譲り合う。そこをしっかり調整していけば、野党は必ずひとつにまとまる」と言っていた国民民主党の玉木雄一郎代表*1だが、今年の4月17日に連合を混じえて基本政策の合意を済ました立憲民主党の連立打診に逃げ腰の姿勢を見せ続け*2、昨日の日本維新の会と自由民主党の連立に向けた協議に対し、その直前の立憲民主党・維新・国民の三者協議は何だったのかと文句を言っている。
形式的には玉木代表が全面的に悪い。維新の藤田共同代表は、立民と国民がまとまれば維新の参加を検討すると言っていた。16日の立民・維新・国民の三者協議では、立民が玉木代表が言及していた政策に関して具体的な譲歩案を示したのにも関わらず、玉木代表は相変わらず立民と隔たりがあると逃げ腰の姿勢を見せた*3。藤田共同代表が、立民と国民の協議がまとまらないと判断したとしてもおかしくない。もちろん三者協議の前に自民党との協議が決まっていたのは確かではあるが、16日の結果を待たずとも玉木代表の言説は十分消極的であった。
自民と維新の協議がまとまるかは分からないが、玉木代表が首班指名される可能性はかなり後退した。もともと分の悪い勝負ではあるが、公明党が与党連立を離脱した機会を捉える事に失敗した。それどころか国民は勤労世帯にアピールする嫌税ポピュリズム色を出して支持率をあげてきたのだが、高市自民党が誕生すると政策が被るので埋没する可能性がある。参政党や日本保守党であればデマになろうが違憲になろうが極端な主張を続けることで差別化できるが、規模拡大を狙い労働組合の支持を頼りにしている国民民主党は道化師になりきれない。
立民としては連立成立に向けたチャレンジをすることで、世間に何かしている感をアピールした。国民は、連立に高い条件を求めることで消極的な姿勢を見せた。それを反映してか、政党支持率は立民があがり、国民が下がっている。16日の自民・維新の協議前の段階でなので、17日に調査をすればさらに差がつくであろう。国民・玉木代表のイメージは大きく低下した。二つ返事で歓迎しておいて、立民が要求を呑まないと喧嘩別れしておいた方がポジティブな印象を与えて良かったと思うのだが、後の祭りである。維新に文句を言っているので、首班指名されたかったのだと思うが*4。
玉木代表にとって幸いなのは、国政選挙がだいぶ先だと言うことだ。公明党との選挙協力が無いと50議席以上失うとも言われる*5自民党は、よほどのことが無い限りは自発的に解散を行わない。国民民主党に流れていた票が逆流するとしても、運が良くて相殺だ。立民・公明の選挙協力が成立してしまうと、さらに議席を減らす可能性が高まる。高市氏の相殺就任で自民党員が増加したという報道がある一方、自民党支持率は石破氏就任時よりも低い。自民と維新の連立協議がまとまり、玉木代表の決断力のなさが際立つ事になっても、3年後にはそんな事はみんな忘れてしまう。少数与党を切り盛りするのは困難な仕事だし、高市氏の言動には不安定性がある。玉木・国民が盛り返す機会は山ほどある。首相になる機会は、もうやってこないかも知れないが。
*1「民主党のトラウマ」をどうする? 国民民主党代表・玉木雄一郎「民主党のババは僕が全部引き受けますよ」 - 政治・国際 - ニュース|週プレNEWS
*2基本政策の合意を要求し、4月17日の基本合意の存在を指摘されると、「原発など大事なところで合意していない。私が求めているものとはレベルが違う。本質から逃げた文章だ」と言い出した(NEWSjp)。なお、原発に関しては立民はその後、譲歩を見せている。
*3立民・維新・国民民主が党首会談、首相指名選挙の協力巡り協議継続 政策折り合えず - 日本経済新聞
*4国民民主党の榛葉幹事長は「立憲・維新・国民・公明を足しても過半数ない(のに)安定した政権になるか? その神輿に玉木乗れっていうの?」と明らかに消極的な姿勢を見せていた(ABEMA TIMES)。立民・野田代表に譲ればよかったと思うが。
*5自公連立解消により、次期衆院選に生じる影響を選挙結果から試算してみた(米重克洋) - エキスパート - Yahoo!ニュース
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