2010年8月28日土曜日

生合成された人工角膜が10人の被験者に移植され、6人で視力に改善が見られる

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

POPSCIが、右の写真でMay Griffith博士が見せている生合成された人工角膜を被験者に移植したところ、神経組織が再生して、被験者の視力を改善したと伝えている。また、拒絶反応は無いようで、免疫抑制剤の投入も不要のようだ。

このオタワ病院付属研究所のGriffith博士が先導した臨床実験は、人工的に製造された角膜が、神経組織を再生させることを示した初の研究だそうだ。実験では、深刻な角膜の損傷を受けている10名の被験者から、ダメージを受けた片方の目から角膜を除去し、組換え体ヒトコラーゲンから作られる、生合成された角膜をその代わりに移植した。手術後の2年間で、患者自身の角膜から細胞と神経が人工角膜の中へ成長し、その結果、角膜が再生された。手術の間は切断されていた神経は再生し、ハイブリッド角膜は通常の健康な角膜と似ていた。さらに、他の移植物と違って免疫抑制剤が不要だった。6名の患者で視力が回復し、2名が変わらず、2名が悪化した。

手術に用いられた人工角膜の主材料である組換え体ヒトコラーゲンは、米国サンフランシスコの企業FibroGenがイースト菌に人間のDNAを注入して作成したもので、人体に良く馴染むという面で優れているそうだ。

角膜は眼球の正面に見える「黒目」を覆う透明な膜で、手足の爪と同じくらいの硬さがあり、虹彩と水晶体を保護し、光学レンズとしての働きもある(日本アルコン株式会社)。角膜の異常は、近視、遠視、乱視、コンタクトレンズの痒みの原因で、さらに失明の最大の理由でもある。米国では角膜異常の治療には移植手術が一般的で、年間に4万人が手術を受けるそうだ。日本では待機患者が5,000人で、潜在患者数が3万人と言われている一方で、年間に2,000件程度の移植しか行えておらず、移植用の角膜のドナーが不足している(山口大学付属病院眼科)。また、角膜移植には拒絶反応が起きうる。

Griffith博士らの人工角膜は、ドナーが不要である点と拒絶反応が起きない点で利点がある。臓器再生技術や機械的な方法での角膜治療も試みられているが、難易度は高い。臓器移植の代替技術として、この人工角膜はかなり有望と言えるのでは無いであろうか。この技術が発展すれば、ドナー不足が慢性的に深刻な日本や、臓器移植が制度的に整っていない開発途上国においては特に、 多くの患者を救済できると考えられる。

1 コメント:

山田昇 さんのコメント...

最近は白内障だとか、網膜剥離だとか、加齢性黄斑浮腫だとか眼の切開が多くなり、切開やレザー治療で角膜に無理がかかているようで、角膜の病気が多いのに、治療法が進化していないのが残念だ、水泡性角膜症などかかったら現状角膜移植以外手当ての方法がないとのことがざんねんだ、早くIPS細胞を利用して治療のできることを期待しています。

コメントを投稿