韓国で統一教会の捜査が進み、統一教会の日本での活動に関する文書が出てきた*1と話題になっている。高市総理を含む290人の自民党議員と一部の野党議員が応援の対象とされていた。𝕏/Twitterでは壺議員と罵られている。統一教会が自民党を操っていたようなことまで言う人もいた。
しかし、自民党を操っていたと言うには、統一教会は規模が小さすぎる。組織票で数万を動員できると報じられているが、連立与党であった公明党は(比例と選挙区の得票数の差から考えて)何百万票と自民党に誘導してきた。公明党は税制に影響を与えるほどの政治力を有していたが、それでも好き勝手にはできていない。その百分の一以下の組織票である統一教会が政策に与える影響力は微々たるものである蓋然性が高い。
組織票の数以上の影響力を行使していた可能性はある。統一教会が秘書や運動員の斡旋をしていたと言う話は多数の証言がある。議員活動には人的リソースが要るらしく、苦労している議員もいるようだ。信者数から秘書や運動員として出せる数も程度が知れている気はするが、組織票の数よりは影響力は大きかったとは思われる。幹部が安倍自民党総裁と話をしており*2、取引する機会もあった。有権者の多数がさほど気にしないことで統一教会にとって重要な政策(や行政条の措置)があれば、配慮が得られると言うこともありえる*3。
だが、それ以上の話は分からない。統一教会が何かを要望し、自民党が(作為でも不作為でも)それに応えたと言う根拠がない。統一教会に利する不作為はある。まだ高裁判決までで最高裁の判断は出ていないが、可能であった統一教会の解散命令請求をして来なかった。2015年の名称変更問題も、届出であって許認可ではないとは言え、素通りさせた。2018年の消費者契約法の当初案には霊感商法対策は無く、立憲民主党の尾辻かな子議員の追求を受けたあとに追加した。だが、これらが新興宗教問題に無関心のためか、影響を受けたためかは判別ができない。
韓国司法が精査した統一教会の内部資料の中で、これら何かの不作為をするように日本の政治家に働きかけろという指示や、働きかけたという報告があれば、統一教会が自民党に影響力を行使した可能性が俄然高くなる。しかし、今のところはそのような文書は発見されていない。自民党議員で覚書に署名させられた人もいるそうだが、覚書の内容は統一教会の問題行為に利するものではなかった。署名した議員はもともと同じ意見であったか、いざとなったら反故にすると考えていたと言うほうが説得力がある。
統一教会が自民党を操っていたとは言えないし、自民党に何かさせていたと言うのにも証拠が足りない。韓国司法が何かを見つけて公表するかも知れないが、それまでは断定は避けよう。
*1旧統一教会「自民290人応援」 内部文書に記載―韓国報道:時事ドットコム
*2複数の議員を束ねる親分的な議員からの要望で斡旋することで、子分議員ではなく親分議員に取り入る方が影響力は大きくなる。親分らしく振る舞うリソースを提供することで、親分に影響を与え、斡旋を受けていない子分も含めて子分全体に影響を与えられるからだ。
*3全国霊感商法対策弁護士連絡会が要望を出した後も、自民党と統一教会の関係は続いていた。同会に関わる人々の数、影響力では、統一教会との関係は切れなかったことがわかる。


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