2025年2月4日火曜日

日本保守党の支持者の皆さんが見落としがちなこと

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日本保守党が、国会に3議席、地方議会に9議席と、国政選挙や地方議会選挙で少数だが議席を獲得している。日本保守党は作家の百田尚樹氏の人気に支えられた、動画配信時代のネット右翼的な政党だ*1。排外主義者の党*2と評してもよいかも知れない。数で言えば泡沫政党だが、2023年10月の結党だ。出来て日が浅いので議席数が党勢を反映しているとは限らない。

無視できない勢力になってきているわけだが、日本保守党の支持者の皆さんの議論には粗が多い。党首の百田尚樹氏が動画配信でどう話をしているかは確認できていないのだが、

  1. 2015年3月施行の自衛隊法改正で第84条の3(在外邦人等の保護措置)と第84条の4(在外邦人等の輸送)が付け加えられた
  2. 2022年9月施行の重要土地等調査法で、安全保障の阻害になる場合は、政府が不動産を強制譲渡させたり、その利用を中止させたりする手順が明確化された
  3. 2023年6月の入管難民法改正で、難民申請が3回棄却された外国人は積極的に強制退去となる制度が導入された
  4. 2024年6月に、外国人技能実習制度と特定技能制度を育成就労制度に改正したときに、(日本社会への適応を考えて)日本語要件が強化された
  5. 外国人就労拡大方針が2018年の安倍内閣の頃からの方針である
  6. 長い間、革新的なLGBT差別解消法と保守的な理念法のLGBT理解増進法のどちらかにするか揉めた上で、LGBT理解増進法が立法された

ことが概ね忘却されている。日本保守党の重点政策で課題としている事案の多くは、既に立法措置がとられた済んだ話になっている。不十分かも知れないが、その場合はどう不十分か説明する必要があるので、やはり上に言及する必要がある。

根本的な部分での欠落した観点もありそうだ。つまり、

  1. 外交に相互主義の観点が必要
  2. 防衛には大きな予算が必要
  3. 国際社会と協調しなければ、国力的に日本は中国に対抗できない

なことが分かっているのか怪しい。

減税と防衛力の強化を同時に謳っているのだが、周辺国の防衛費の大きさを認識できていない。国際社会と協調しなければ、膨大な防衛費が必要になる。国際社会と協調するには、ある程度、欧米からの人道面からの要請などは検討して対応していかなければならない。日本保守党は価値観外交の推進を主張しているが、欧米もある程度は価値観外交をしているわけで。

さらに、日本保守党の支持者は

  1. 誰しも確証バイアスを持つ

ことが分かっておらず、デマに弱い。実際、𝕏/Twitterのデータの解析から、自殺した元兵庫県議に関するデマを日本保守党の支持者層が拡散したと指摘されている*3

そもそも党首の百田尚樹氏も、著作『日本国紀』で誤りやコピペを大量に指摘されたり*4、2024年11月17日の配信で2015年の電通社員過労自殺事件の自殺者について過労ではなく失恋が原因である可能性を示唆したりと、国民民主党の公認を取り消しとなった後に自殺した元候補者に関して、生活保護を請けながら接待飲食業で働いていたと言う不正確な話を拡散*5したり、著作のノンフィクション小説『殉愛』で虚偽の事実の摘示による名誉毀損が認定されたり、デマや恫喝*6で知られる立花孝志氏との動画配信をした*7りと、軽い面がある。

*1政策綱領で日本の国体や伝統の重視を謡っており、重点政策では防衛力の強化を指向している。

*2移民政策と通商政策で排外主義的な施策である、外国勢力(原文ママ)による不動産取得禁止、外国人の在留資格の縮小、エネルギー分野への外国資本の参入規制、出身国による留学生の制限や、外国人の健康保険の加入制限を主張している。農林水産業の就労人口の拡大も訴えているが、これも一次産品の輸入代替を狙ったものであろう。

*3元兵庫県議への批判はどのように拡散していたのか?(鳥海不二夫) - エキスパート - Yahoo!ニュース

*4売り上げ好調 百田氏「日本国紀」に「コピペ」騒動 専門家の評価は? | 毎日新聞「日本国紀」の悲しみ 単行本で修正繰り返したが…文庫版も誤り続々 | 毎日新聞読者が変えたベストセラー――『日本国紀』元版と文庫版を検証すると(前編)|じんぶん堂【魚拓】【日本コピペ紀】Wikipediaやウェブサイトなどとの類似表現報告まとめ【日の丸すら】 | 論壇net

*5悲報ライブ「国民民主の玉木代表、飯山あかりの応援拒否!」の2分45秒~の部分になる。

*6旧NHK党・立花氏の有罪確定へ 脅迫やNHK契約情報の不正取得で:朝日新聞

*72024年12月02日配信の動画なので、現在ほどデマを吹聴していたことが公に認められていた時期ではないが、それでも兵庫県の元県民局長に関して根拠が定かではない主張を繰り返し、2024年11月25日に奥谷謙一県議に刑事告訴されており、立花氏の言説に問題がある蓋然性が高いことは理解できたはずだ。

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