アメリカの大学の入学選考で、アジア系が人種を理由に減点されていたことが発覚して裁判になっていたのだが、2023年6月、最高裁はアファーマティブ・アクションのうち人種別の加点を違憲と判断した*1。これによって、2024年の入試から、学力の高いアジア系の比率が高まるのかと予想されていたのだが、実際はそうはならなかった。
被告になったハーバード大学の2024年の入学者の人種内訳は「アフリカ系米国人ないしは黒人の学生が占める割合は14%と、前年の18%から低下したと発表。ヒスパニック系ないしはラテン系の学生は16%で、前年から2ポイント増加。アジア系米国人は37%と、横ばい」となった。アジア系は増えていない。NY Times誌の記事にある59大学のパネルデータでもアジア系の比率は同様に横ばいである。
どういう事なのであろうか。Grossman, J., Tomkins, S., Page, L. et al. (2024)にある分析と言うか、その紹介となる対談記事*2の話によると、親が卒業生だと加点されるレガシー入試制度と、あと白人から応募が来る地域に対する加点があって、アジア系不利は変わらないと言うことのようだ。なお、黒人とヒスパニックの比率が低下しているが、人種を公開しない入学者が増えた分と合致するので、アジア系とアフリカ系のハーフなど、これまでならば入学選考対策で加点が見込める人種として申告していたはずの人々が、そう申告しなくなっただけかも知れない。
白人とアジア系が本当に横ばいなので、これまでと同じ人種比率になるように、統計的に予測して配点を決めた可能性はそこそこある。2025年の数字がどうなるか注目だ。
*1Students for Fair Admissions v. Harvard (2023)
人種を考慮した入学選考は違憲 米連邦最高裁、従来の判断覆す - BBCニュース
*2The Asian penalty in college admissions is still here — even without affirmative action, per new study | Vox
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