2013年5月3日金曜日

右翼にも左翼にも勧めたい「韓国併合への道 完全版」

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韓国や在日韓国・朝鮮人の“歴史認識”には困惑する事が多い。しかし、彼らの主張の是非を判断する材料に事欠く人も多いであろう。中国史や欧州史のファンはいても、朝鮮半島史は人気では無いからだ。そんな知識の狭間を埋めてくれるのが、呉善花氏の「韓国併合への道 完全版」だ。

第1章から第10章までが、朝鮮半島から見た韓国併合までの政治史になっており、日清、日露戦争の経緯が描かれている。中華思想をより所とする古代社会的な朝鮮社会が、内部分裂を続けることにより、社会体制の刷新が出来ず、独立の維持に失敗していく様子が良く分かる。2012年の加筆により、第11章で併合後の日本統治の実情が示され、第12章で現代の反日感情事情が語られている。

1. そもそも李氏朝鮮はダメな国だった

本書では経済や風俗の描写がほとんど無いのだが、李氏朝鮮は古代社会的な側面を色濃く残し、極端に政府機能が弱かったようだ。奴隷のいる身分制社会で、科挙制度があり、中央集権的な体制なのだが、政府に軍事力がほとんど無く、中国に頼らないと外国勢力に対抗が出来なかった。また、極度の中央集権を維持するために規制が多く、経済的破産に瀕していた。さらに、異なる血族間の争いが絶えず、政治的に改革などが行えない状態であった。

2. 李氏朝鮮はダメから抜け出せなかった

欧米列強が極東にやって来たのだが、李氏朝鮮は外国勢力に対抗するために旧来の政治体制を刷新する事ができなかった。これは王府と政府の分離や、官僚機構や司法制度の刷新、清国との宗属関係の廃止などが含まれる。保守派と改革派の対立もあったようだが、血族への利益誘導を優先しがちな民族性が改革を妨げた。1876年に日朝修好条約が結ばれており、その前あたりから改革が急務だったはずだが、1910年までほとんど韓国社会の近代化はなされなかった。

3. 日本統治下で朝鮮半島は発展した

日本統治が始まったあとの方が急速に発展をしている。1910年に6%だった識字率は、1943年に22%になり、一人あたり実質GDPは年率4%で上昇したそうだ。総督府の土地収奪や創氏改名についての誤解*1も言及されており、欧米列強よりも日本の植民地経営の方が平和的だったと言及されている*2。日本の植民地経営を肯定的に捉えすぎなのでは無いかと思う面もある*3が、文献調査などを土台にしており堅実なものに思える。

4. 韓国国内では歴史検証はタブーとなっている

韓国国内では、このような史実を土台にした歴史認識は、世論や司法のために困難な状態らしい。李承晩が作り出した反日民族主義が原因だそうだ。研究者の主張が世間の批判にあうばかりでは無く、死者への名誉毀損も成立するため、歴史上の人物を記述すると訴えられる。歴史考証を許さない国家が、日本社会に“正しい歴史認識”を求めてくるわけだ。

5. 右派にも左派にも中道にも勧めたい良書

色々と興味深い話が詰まっているし、右翼の人々には体系的に歴史を整理しておくという意味で、左派の人々には韓国人が主張してくる“正しい歴史認識”に騙されないように、本書を一読しておく価値があるように思える。右派でも左派でも無い人には、社会構造の変革がいかに難しいかを知る教材として、本書は優れた事例を提供している。

追記(2013/05/04 09:38):なぜかコメントで、大韓民国が望んで併合されたと言う主張を批判している人々がいるのだが、呉善花氏は本書でそのような主張を行っていない。例えば一進会は対等な合邦を望んでおり、それは併合とは異なるものだったと説明されている。

*1土地調査事業の結果、総督府が40%の土地収奪を行ったと韓国では言われているそうだが、当時の記録からすると接収されたのは3%に過ぎない。創氏は日本式の姓を加えるもので朝鮮式の名前が無くなるわけではなく、改名は推奨されなかった。

*2ネトウヨが良く言う経済援助に関しても云々。

*3どんなに適切に植民地経営をしたとしても、そもそも日本人が朝鮮民族を指導するのはおこがましいと言う発想もあるはずだ。

2 コメント:

泰成 さんのコメント...

 はてさに、異常に評判が悪い記事ですね。
同情申し上げます

uncorrelated さんのコメント...

>>泰成 さん
賑やかで有難いことです。

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