2013年5月9日木曜日

デフレで財政再建は無理? - 19世紀の英国と1920年代の米国はデフレで債務圧縮

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

デフレで財政再建は無理と言う言説を良く見かける。予期せぬインフレには実質での債務圧縮効果があるため、逆に言えばデフレ時の財政再建は難しいとは思うが、19世紀の英国と1920年代の米国はデフレで債務圧縮が出来ていたようだ。

米山(2003)によると、19世紀の英国と1920年代の米国はそれに成功している。

  1. ナポレオン戦争後の1818年から1891年までの英国は、国民所得比で210%もあった政府債務残高を、43%まで低下させることに成功している。人口増加分を含め国民所得が300%増加しているのが大きい要因。
  2. 第一次世界大戦後の1919年から1929年までの米国は、国民所得比で30%になった政府債務残高を、16%まで削減することに成功している。こちらは財政再建で8%、実質成長で8%削減し、デフレで2%増えた。

古い事例に思われるが、デフレが多発していたのは金本位制度時代なのでそうなる。何はともあれ、デフレで財政再建は歴史的に不可能と言うわけではないようだ。

ところで日本の財政事情は、政府債務残高の削減と言うよりも、政府債務残高の拡大阻止が議論になっており、実は19世紀の英国や、1920年代の米国よりも目標は低い。また、増税による経済悪化が危惧されているが、減税の効果が確認されなくなっている昨今では、裏を返すと増税の効果も限定的と考えることはできる(関連記事:公共投資は効果薄で、減税は無駄)。

少子高齢化で労働投入量が限定されるので、国民所得自体がどんどん縮んでいく可能性はあるわけだが(関連記事:生産年齢人口の減少を直視する)。

0 コメント:

コメントを投稿