2010年10月28日木曜日

手先が球!ドラえもんの手は工学的に優れていた

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従来のロボットの手は、人間の手先を模倣していた。しかし、工学的に優れたアプローチとは言えなかったのかも知れない。シカゴ大学とiRobot社が開発した汎用的に使える「手先」は、指に該当するものが全く無い(Cornell Chronicle)。

ユニバーサル・グリッパー(universal gripper)と呼ばれるこの手先は、ラテックス製の風船に、挽いたコーヒー豆を詰めたものだ。この風船の手先を物体に設置させると、物体の形状にあわせて変形する。そして風船から空気を抜くと、その状態で堅くなり、物体を握ることができる。再び風船に空気を入れると、物体を離すことができる。

シカゴ大学のHeinrich Jaeger氏によると、固形粒子の集合であれば、内容物は特にコーヒーの粉である必要は無いようだ。粒子には、すれ違う事ができないと、流体状の振る舞いから固体状の振る舞いに変化するジャミング転移(jamming transition)と呼ばれる性質があるそうだ。ただし、この性質はコーヒーの真空パックで見かけるもので、コーヒー好きには馴染みの性質ではある。また、米・クスクス・タイヤ・砂と比較して、ジャミング転移と軽さにおいて、コーヒーの粉は優れた性質を持っていたそうだ。

開発に関わった、現在はコーネル大学機械工学・コンピューターサイエンス学部のHod Lipson準教授は、この汎用性は軍事や工業、医療などあらゆる分野に応用が可能であると言っている。彼らが開発したものの中で、最も商品化に近い発明のようだ。

Jaeger氏とポスドクのEric Brown氏と物理学科の大学院生Nick Rodenbergが、この手先に物体を掴ませる基本的な特性を調べ、Lipson氏と大学院生John Amend氏とiRobot社がプロトタイプを作成したそうだ。iRobot社は、民間から軍事までのロボットの設計開発をする企業で、自立型掃除機ルンバで知られている。

日本人としては、柔らかく表面に凹凸と油成分があるドラ焼きがつかめるかが気になる所。この食品に使えるぐらいなら、本当にユニバーサルな「手先」であると言える。ラテックス製の風船とコーヒーの豆、家庭用ポンプがあれば実験できそうなので、「ドラえもんの夢は終わらねェ!!!!!」と誰か実験をしてくれる事を期待したい。

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