2025年7月16日水曜日

安野たかひろ率いるチームみらいの永田町エンジニアチーム作成案の問題点

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都知事選で4位につけたことで政治の世界でも知られるようになったAIエンジニアの安野たかひろ氏が、新政党*1チームみらいをつくって参院選にも出馬し、子育て世代の中でも高所得に有利な施策を提案*2する他、(政党要件が満たされればだろうが)政党交付金を使って永田町エンジニアチームを作成すると主張している。

この永田町エンジニアチーム作成案はかなり無理がある。

  • デジタル庁が既にあって、外部からエンジニアを雇用してチームをつくり、新技術の導入で強いリーダーシップを発揮している*3
  • 官庁や自治体は政治的に中立でないといけないので、永田町エンジニアチームと協業するのが難しく、官庁や自治体の詳細なニーズや開発に必要なデータなどを、永田町エンジニアチームが知ることができない*4
  • 政府も大小様々なアプリケーションを開発しているが、困難の大きなシステムでは、小規模政党への政党助成金で雇える人数では頭数が足りない
  • システム開発では技術面だけではなく、予算の策定や執行などの運用面での課題もあり、技術よりも大きな課題なこともある*5

こういう批判に反応して、チームみらいの元厚生労働省官僚の古川氏が、発注が生じる前にプロトタイプがあれば、開発がうまくいくような話をしている

しかし、官庁や自治体は民間のIT活用を取り込んでいるだけなので、模範/参考になる事例は既にある。デジタル庁が外部デジタル人材を登用しているのは、そういうことだ。そして雇用しているので、発注が生じる前にプロジェクトを検討させることができる。デジタル庁の広報を見ていれば、生成AIの活用なども方針が検討されているのが分かる。

*1報道では会派のときもある。

*2子どもの数に応じて親の所得税率を下げる「子育て減税」を提唱しているが、もとの家計所得で優遇の大きさが変わってしまう。一律給付にしなかった理由が気になるところである。

*3業務要件を重視しないテックギーク感がある。

*4秘密保持契約(NDA)を結べない。稼働中のシステムを評価できない。エンドユーザーの時間をつかうことになるコンサルティング業務も行えない。よって、既存システムの評価ができない。

*5バガクラで、複数の自治体でシステムを共用したときの費用の按分で混乱が起きていた。

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