ツポレフ154(Tu-154)はロシア製の3発ジェット旅客機だが、今年に入って事故が相次いでいる。4月9日のポーランド空軍機の墜落事故が記憶にあたらしいが、9月7日のアルロサ(DRU)の滑空着陸が報道されていた(BBC、AFPBB News)。
シベリアのポリヤルヌイからモスクワに向かうDRU機は、高度10,600mでエンジン推力を失い、モスクワから1,500Kmの使われていないコミ地区イジマの軍用空港に滑空着陸を行った。軍用空港はもっと小型機用の滑走路であったため200mほどオーバーランし、茂みに突っ込んだものの機体への損傷は最低限で済み、乗客72名と乗員9名は怪我も泣く無事で、列車での移動を希望した2名を除く乗客は代替機でモスクワに向かったそうだ。原因は電気系統の故障だと報道されている。
ツポレフ154は東欧で主力旅客機として使われて来たが、ソ連時代の設計のために、安全性に疑問が持たれているそうだ。近年の大事故だけでも2002年のBAL2937便空中衝突事故、2006年のIRB航空機着陸失敗事故、2009年のCPN7908便と事故を多発している。しかし同型機は累計で1,000機以上の生産となっており、今後も旧共産圏や開発途上国では旅客機として使われ続ける見込みだ。
なお、ハドソン川のAWE1549便不時着水事故を連想した報道が多いが、高高度からの滑空着陸事故なので2001年のTSC236便滑空事故のA330-300型機に状況が似ている。今回の事故は、滑空着陸が可能であったことから機体設計の堅実さは示されたとも言えるが、整備面等で不安を残した状況であるのは変わらない。事故原因の究明が待たれる。
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