米サンフランシスコのLS9社が、大腸菌でディーゼル油を生産する方法を開発した。この方法は、従来よりも効率よく糖類を軽油に変換できる上に、同社はディーゼル油生産に関連する酵素を初めて特定している点が新しいそうだ(Greentech Media、Xconomy)。米国ではバイオ・エタノールが普及してきているが、経済性に疑問の声もある。効率の良いバイオ・ディーゼルが取って代わるかも知れ無い。
ガソリンや軽油の主成分は、アルカンと呼ばれる鎖式飽和炭化水素の仲間のうち、長鎖アルカンと呼ばれる分子である。同社のエンジニアは、天然で長鎖アルカンを生産する酵素を持つシアノバクテリアと、近縁だが酵素を持たないシアノバクテリアの遺伝子を比較し、長鎖アルカンの生産に関わる酵素の遺伝子を特定した。そして、この酵素の遺伝子を大腸菌に組み込み、C13~C17のアルカンとアルケンを分泌するようにした。
大腸菌はシアノバクテリアよりも取り扱いが容易であり、この大腸菌が生成するアルカンは、ほぼそのまま利用することができる。つまり、従来のバイオ燃料の生産は複雑な過程を経ていたが、同社の方法では糖類を直接、ディーゼル燃料にすることができる。さらにディーゼル燃料は水に浮くのでシンプルな装置で分離できるそうだ。
同社の試算では159lの軽油を$50のコスト(約27円/l)で生産でき、原油由来の燃料と比較して85%のCO2を削減できるそうだが、まだ1,000lのタンクでしか生産を行っていないためスケールアップが必要であり、現在は20%である酵素の効率をあげる研究が必要だそうだ。
LS9社は、2010年1月にも農業廃棄物をディーゼル燃料に変換する大腸菌も、政府や研究機関と共同で開発しており(AFP)、この分野では先駆的な技術開発を行っている大学発のバイオ・ベンチャー企業として知られている。
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