2013年5月30日木曜日

浜田宏一イェール大学名誉教授がインタビューでインフレ目標について言及したこと

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経済評論家の池田信夫氏が『浜田宏一氏「2%のインフレ目標はもういらない」』『浜田宏一氏もインフレ目標は「なくてもいい」と認めた』と主張しているのだが、その元になったインタビューを視聴したところ、そんな事は言っていなかった(Bloomberg)。他にも誤解している気がする*1のだが、インフレ目標について言及しておきたい。

1. 浜田氏の発言内容を誤解している

インタビューでの英語が整理されているわけではないが、聞き取れる限りでは、インフレ目標2%は雇用と生産を回復するための補助目標に過ぎないから、その達成を心配しすぎる必要は無いと言っているものの、インフレ目標2%が不要になったとは言っていない。

分かりやすい議論ではないが、こういう事であろう。インフレ目標と、期待インフレ率と、実現インフレ率の三つの“インフレ率”があるのだが、インフレ目標≠期待インフレ率=実現インフレ率となっても、景気回復する限り問題ない。

これはインフレ目標が無くてもいいと言う事ではない。インフレ目標と言うより、インフレ許容水準と考える方が適切なのではあるが、インフレになっても中央銀行の引き締めが無いと分かっていたら、平均的な実現インフレ率は高くなると考えるであろうから、期待インフレ率を引きあげる事ができる。

2. クルッグマンのモデルも誤解している

池田信夫氏は関連して、山形訳のIt's ba+k!論文*2を引っ張り出して来て金融緩和が効果が無いと議論しているが、これも誤読しているようだ。

クルーグマンのモデルの弱点は、予想物価水準P2が外生変数なので、(予想インフレ率)Eの決まるメカニズムが欠けていることだ

It's ba+k!論文ではP2は内生変数で、以下のように定義されている。

M2は将来のマネーの量で、中央銀行が決定できる外生変数だ。将来が流動性の罠になければ、物価を決定できる。だから(予想インフレ率)Eの決まるメカニズムは明確だ。批判をするならば、現在の家計が中央銀行のM2のコミットメントを信じるか否か分からないと言う点であろう。

3. It's ba+k!論文をもっと良く読んで欲しい

It's ba+k!論文をもっと良く読めば、クルッグマンは将来のマネー(モデル中のM2)を増やすと約束しろと言っていて、高橋洋一氏らが現在のマネー(M1)を増やせと言っている事に気付くはずだ。池田信夫氏が叩きたいのは高橋洋一氏らであろうから、良く読めば、It's ba+k!論文は重宝するはずだ。

*1浜田宏一氏のインタビュー、リーマンショック前の競争環境に近いと言っているけど、1ドル100円が適切だとは言っていないし、第三の矢の政策優先順位を聞かれて市場メカニズムを機能させる必要があると言っただけで、潜在GDPを達成したとも言っていないと思うのだが。

*2クルッグマン論文を使って、池田信夫を応援する」を参照。

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